ビジネスにおけるストーリーテリングとは? 書き方やメリットをご紹介

まだ子どもだったころの母親からの読み聞かせから始まり、小学校の読書、友人との雑談、そして社会人になってからの友人との会話など、人はみな「物語」と近い距離で生活をしています。「ストーリーテリング」とは自分の考えをストーリーに落とし込んで伝えること。もちろん口頭だけではなく、文章やマンガ、演劇などの表現方法を使っても構いません。

しかしビジネスにおいてストーリーテリングは過小評価されています。プロジェクトの問題を把握するため、またはチーム内で課題を共有するために、物語を用いることは稀でしょう。ストーリーテリングを用いればプロジェクトが抱える現状の問題や個人のビジネスアイディアが、より具体的になります。たとえ前例が無い革新的なビジネスモデルでもわかりやすく伝わるのです。

今回はビジネスシーンで役立つ「ストーリーテリング」についてご紹介メリットや書き方のコツなどについて解説しますので、ぜひご覧ください。

 

 

ストーリーテリングが発揮する3つのメリット

ストーリーテリングは主にプレゼンをするうえで役に立ちます。「新規事業をマネジメント層に周知するとき」や「ビジネスアイディアを投資家に伝えるとき」「プロジェクトの概要やゴールをチーム内に共有するとき」などのシーンで活用してください。コミュニケーションが円滑になり、共感を得やすくなるでしょう。

 

1. 新しいビジネスアイディアをより具体的に見せる

たとえば新しいビジネスアイディアを会社のマネジメント層にプレゼンする際にストーリーテリングは役に立ちます。上層部が求めるのは「数字」と「事実」です。文章や図で「顧客はどのような価値を求めているのか」「自社の商材はどういったプロセスで要求に応えるのか」などのビジネスモデルを説明しても、却下される可能性が高い。そこで優れた物語を用いて説明しましょう。上層部も鮮明にイメージできるうえリスナーの共感を呼びます。実績のないビジネスモデルだからこそ、具体的なプレゼンが求められるのです。

 

2. 顧客のニーズや自社商材の提供価値を、より分かりやすく

長々と話した末に「何を説明してしたのか分からない」ということはプレゼンをする際に発生しがちなミス。ビジネスモデルをより鮮明に伝えるためにストーリーテリングは大きな効果を発揮します。たとえば起業家が投資家に向けてプレゼンをする場合、顧客に問題が発生し、自社商材で解決するまでのフローを背景から説明するとよいでしょう。プレゼンに説得力が生まれ、モデルをわかりやすく解説できます。

 

3. 周りの人間を巻き込む

ストーリーテリングは、チーム内でプロジェクトの内容を共有するときにも効果を発揮します。ただ単にパワーポイントでロジックを淡々と説明していては、プレゼンに没入できません。物語を盛り込むことによって「これから自分たちがローンチするサービスやプロダクトがどのようにして顧客のニーズを叶えていくのか」を疑似体験させながら説明できます。プレゼンに「感動」が生まれるのです。新規事業は責任者以外、誰もその全貌を知りません。まずはストーリーテリングで身近に感じてもらいましょう。

 

 

ストーリーテリングの書き方のコツについて

しかしビジネスマンは脚本家や作家ではありません。いきなり優れたストーリーを作成するのは難しいでしょう。そこでストーリーテリングを書くコツをご紹介します。

 

1. 主人公は「企業の従業員」か「顧客」に

ビジネスモデルをストーリーテリングで説明する際は、必ず「従業員」か「顧客」のどちらかを主人公にしましょう。従業員は新しいビジネスモデルで顧客の問題を解決するのを何度も目にします。またコスト削減や生産性向上、収益源の増加など、新ビジネスモデルの優れた点を体験する人間でもあります。内部の構造を具体化させてくれる存在として従業員は適役なのです。

顧客視点で物語を進めると、顧客が直面する問題やその解決方法、対価を得るまでのプロセスをリアルに提示できます。企業が顧客の生活を豊かにしていく過程をがはっきりと分かるのです。

 

2. 登場人物のペルソナ設定をする

リスナーが物語に没入しやすいように、人物のペルソナを決めておきましょう。年齢や性別、家族構成などはもちろん「従業員」であったら勤続年数、ポジション、業務のフローなどを、「顧客」であれば職業や居住地、抱えている問題、理想の生活などを考える必要があります。これらの情報を冒頭に説明することでストーリーに具体性がプラスされるのです。

 

3. リアリティを追求する

ストーリーは虚構と現実との橋渡しになります。ただし実際に発生した事実ではなく、未来の予測として使われる場面が多いので、聴き手に実感を持たせるためにはリアリティを忘れてはいけません。「実際に発生する可能性があること」からブレないような展開を構築する必要があるのです。

 

 

場面に合わせて最適なストーリーテリングを

ストーリーテリングは先述したようにテキストだけで進めるものではありません。画像と組み合わせてもいいですし、映像やロールプレイングなどを駆使するのも1つの手でしょう。最後に場面に合わせた最適なストーリーテリングの形をご紹介します。

 

1. グループやカンファレンスでのプレゼン

多数を相手にするので、画像を用いながら物語を口頭で伝える手法が適しています。トークと画像でのストーリーテリングはコストが低く済むのでオススメの手法です。

 

2. 重要な業務に関する社内プレゼン

確実に周知するためにビデオクリップを活用しましょう。現実と虚構との境界が曖昧になります。ただしコストが高いのがデメリットです。

 

3. 新規のビジネスアイディアを共有し合うワークショップの場

くだけた表現が受け入れられる場なので、シナリオに基づいて人々に物語の人物を演じさせるロールプレイがおすすめです。現実感と具体性が増すので、新規事業でもわかりやすく伝わります。

 

4. 多くの観衆を相手にしたレポート

テキストと画像を使って説明しましょう。多くの観衆がいる場合はスクリーンに対して視覚と聴覚で訴えることによって、分かりやすくプレゼンできます。またコストに余裕がある場合は漫画を利用するのも効率がいい手法でしょう。

 

ストーリーテリングの手法

ストーリーテリングはもちろんコンテンツで形式で発信するのが最も一般的です。ただし一言でコンテンツといえども種類はさまざまあります。具体的にはどのような形式があるのでしょうか。

 

1.記事コンテンツ

オウンドメディアがある場合は記事コンテンツに起こして発信することが可能です。ただし日々、更新されていきますので、いつの間にか埋もれてしまう可能性もあります。ですので上部固定表示にしたり、SNS広告で発信したりと「見てもらうための工夫」もセットになるでしょう。

また第三者メディアのインタビュー記事などは客観的情報として見込み顧客に伝えられます。こうしたマーケティング施策によってファンが増える可能性も多いにあるでしょう。

 

2.ダウンロードコンテンツ

ホワイトペーパーなどをはじめとしたダウンロードコンテンツは「競合が多い市場」「購買ハードルが高い市場」などで役立ちます。そのうえで自社のストーリーに共感してもらい、意思決定を後押しするようなコンテンツに仕上げましょう。

 

3.YouTubeコンテンツ

YouTube動画コンテンツも最近では主流になっています。直接的に自社商材などを押し出すのではなく、その背景にある「想い」を動画を通して伝えることが重要です。お手本となるのは株式会社ハウスコムが運営するEC「北欧、暮らしの道具店」でしょう。「青葉家のテーブル」というWebドラマをYouTubeで展開し、非常に多くのファンを獲得しました。同コンテンツは2021年に映画化も決定。非常に優れたストーリーテリングを展開しています。

 

 

プレゼンとともにビジネスモデルを作成

新たなビジネスモデルを周知する際には、ストーリーテリングでより具体的かつ鮮明にプレゼンしましょう。また同時にビジネスモデルキャンバスを利用してビジネスモデルを構築することをおすすめします。

1枚の紙上で作成されるので、俯瞰的にビジネスモデルを把握できるうえにチーム内にも共有しやすフレームワークです。ストーリーテリングとビジネスモデルキャンバスを併用すれば、より効率的かつ具体的にビジネスモデルを構築できるでしょう。

 

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