
プレゼン資料の作成の際にフレームワークを使うべき理由|代表的な”型”の紹介、論理構築の順番など
新規事業を起こす際にプレゼンテーションは必要です。プレゼンの目的は「相手に行動を起こしてもらうこと」。つまり新規事業の場合は、経営層を「やってみよう」という気にさせることがゴールです。そのために「プランを理解してもらうこと」が必要になります。プレゼンの場は1回限りですので、分かりやすく伝えることが必要です。しかし「どうしたら考えをうまく伝えられるだろう」と困っている方もいるかもしれません。
社内・社外に向けたプレゼン資料を作るうえで、活用できるのがフレームワークです。思考する際の「型」があることで、より簡潔かつ分かりやすく訴求ができます。今回は新規事業のプレゼン資料を作る際に役立つ「型」をご紹介しましょう。またその際に活用できる「ビジネスモデルキャンバス」についても、使い方を紹介します。
目次
新規事業のプレゼンの際に失敗してしまう理由
新規事業の説明をする際に失敗してしまう理由の1つに「要点が見えてこない」という点があります。担当者として内容が厚い事業企画書を作って話すこともあると思います。熱意は伝わるものの、聞いている側としては「なぜ私がその行動を取る必要があるのか」という大事な部分が分からないこともあるのです。
また「ロジックが通ってない」という問題も起きがちです。「なぜその商材が顧客に求められるのか」「どんなオペレーションが必要なのか」などの論理性が分かないと、プレゼンに説得力がなくなってしまいます。
大事なことは要点を完結に伝えることです。そのためにフレームワークに当てはめることをおすすめします。「新規事業のプレゼンの型」に当てはめて話を展開することで、逃してはいけない大事な点を間違いなくクリアできるのです。
プレゼンのフレームワークとは
他者にアクションを促すプレゼンをする際のフレームワークには「伝え方」という意味でさまざまな種類があります。ここでは4つの代表的なフレームワークを紹介しましょう。
PREP
Point(結論・要点)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(再度、結論・要点)の構成で伝えるフレームワークです。先に結論を述べることで、要点がつかみやすくなります。
DESC
Describe(描写)、Express(表現)、Suggest(提案)、Consequence(結果)の頭文字を取ったフレームワークです。課題を出発点として、どのように解決するのかヲ臨場感をもって伝えるために役に立ちます。
FABE
Feature(特徴)、Advantage(利点)、Benefit(顧客特有の利益)、Evidence(証拠)の頭文字を取ったフレームワークです。商品の特徴、どうしてユーザーが求めていることを満たせるのかなどユーザーのベネフィットを伝えることでバリューに説得力が出ます。
TAPS
To Be(聞き手の理想)、As is(聞き手の現状)、Problem(聞き手の問題)、Solution(提案)の流れで伝えるフレームワークです。聞き手は基本的に自社となります。自社の問題点とあるべき姿を明確にしたうえで、打ち手を伝えられるのが魅力です。
新規事業プレゼンの内容をまとめるうえで役立つ型
ただしここで紹介したものは、実際に話すうえでの構成をまとめたものになります。実際に伝える際の内容としては「ビジネスモデル」を的確に伝えることが重要です。「顧客の求めていること」を出発点にして「どのようなバリューを発揮するのか」「なぜ自社がそのバリューを伝えるべきなのか」「そのためにどんなオペレーションが要るのか」といった内容を話しましょう。
これらの内容を網羅しているのが「ビジネスモデルキャンバス」になります。プレゼン資料を準備する前に、ビジネスモデルキャンバスで戦略や計画をアウトプットすることを考えましょう。
ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスモデルキャンバスとは事業のビジネスモデルをまとめるフレームワークです。「顧客」「提供価値」「チャネル」「顧客との関係性」「収益の流れ」「主要な資源」「主要な活動」「主要パートナー」「コスト構造」の9つの要素から成り立ちます。
これらの要素は「誰にどんな価値を届け、どのように顧客との関係を構築すべきなのか」「そのために必要なリソースとパートナーは何なのか」「そして損益はどのように推移するのか」といった内容を表します。
ビジネスモデルキャンバスは、まさに事業計画書といえるものです。ただし長くて内容がつかみにくい事業計画書とは違い、1枚のフレームワーク上でビジネスを説明できるツールになります。他社に説明する際にも重要な事柄をシンプルに整理できるのです。またビジネスモデルキャンバスの各項目はそれぞれがつながっています。「顧客の課題」をスタート地点として「提供価値」「顧客との関係を築くもの」「チャネル」が分かり、またそのために必要な「リソース・パートナー」が分かるといった具合に、すべてがロジックでつながっているのです。
ビジネスモデルキャンバスでまとめるべき事業の要素について
ではプレゼン資料作成する前の段階としてビジネスモデルでまとめておくべき内容について具体的に紹介しましょう。実際にプレゼンをする際にはきちんとロジックがかみ合っているかを前もって把握しておくことが重要です。
顧客と課題
どんなビジネスも、何らかの課題を解決するために存在します。プレゼンの最も重要なパートは、商品そのものの特徴よりも「どの顧客のどんな課題に取り組むか」です。顧客が何を求めているかを分析したうえで、新規事業が捉えているであろう課題をクリアに話しましょう。
解決策
課題を提示した後に「製品がどのように課題を解決するか」を話します。また課題を解決することで、どのような価値が生まれるかを強調することが必要です。ただしひとつの課題を解決する手法はさまざまです。だからこそ「なぜこの解決策なのか」を詳しく伝えましょう。競合や代替品がある場合は、他社とは違う価値についても紹介します。
トラクション
トラクションとは顧客からの引き合いのことを指します。実際の顧客数、顧客とのチャネル(購買前、購買時、購買後)、どんな関係を構築しているのかについて説明します。ここでは顧客と課題、その解決策を踏まえたうえで説明をすることで説得力が増します。
優位性・ユニークネス
サービス自体の優位性・独自性について書く部分です。まだ他社が気付いていない顧客課題、自分しか知らない技術、複数のテクノロジーの組み合わせによる予想以上の価値の提供など、これまで市場が知らなかったことについて説明します。
マーケットサイズ
顧客をもとに潜在市場、有効市場、現在のシェア率などを紹介しましょう。市場規模がこの後の収益にもつながってきます。
ビジネスモデル(マネタイズプラン)
ここまでのプレゼンを踏まえて、収益やコスト構造などファイナンスの部分について紹介します。さまざまなマネタイズプランを思いつく方も多いと思います。しかしあれもこれもは書かずに、1つの軸に絞って書きましょう。
オペレーション
このモデルをどんなオペレーションでやるのかを紹介します。なぜ、自社が取り組むのかの要素を入れておくと厚みがでてきます。
大事なのはプレゼンとフレームワークを行ったり来たりすること
ただしここで紹介したビジネスモデルキャンバスは、事業や戦略のロジックを構築できても人を巻き込むためのストーリーを説明するためには不足しています。行動を起こしてもらうプレゼンの場合はストーリーをプラスする必要があります。ビジネスモデルキャンバスで要点を整理したうえで「なぜこの計画を始めるに至ったのか」「どのようにこの事業が成功するのか」「この事業を成功させた後に会社はどのように成長をしていくのか」などのストーリーを付け加えましょう。ビジネスフレームワークは相手の理解があってはじめて会話できるツールとして成り立つので注意が必要です。
またプレゼンで発表した後に、リスナーである経営層やマネージャーからフィードバックがあるはずです。そのフィードバックをもとに再度フレームワークに立ち返って資料を作り直してから次回の発表に備える……といったようにプレゼンとフレームワークを行ったり来たりすることで、だんだんと話す内容がブラッシュアップされていきます。資料のページを行ったり来たりするのではなく、1枚絵での可視化がビジネスフレームワークの利点です。
「型」があることでロジカルかつ簡潔な資料になる
今回はプレゼンをする際にフレームワークを利用する方法について紹介しました。フレームワークでまとめておくことで、思考を整理できます。また当日のプレゼン自体も、無駄を省きつつ、論理的にできるでしょう。
今回、紹介したビジネスモデルキャンバスは、BizMakeを使ってどなたでも無料でご利用いただけます。社内新規事業を任された方も、これから起業を考えている方も、ぜひお気軽にご利用ください。
