カスタマージャーニーの前にペルソナを作るべき理由とは?

現在、マーケティング施策を進めている方であれば、多くがカスタマージャーニーを作成した経験があるでしょう。以前に比べ、顧客の行動が多様化した現在、カスタマ―ジャーニーによって行動を予測することはより重要になりました。

しかしカスタマージャーニーを作っても、なかなか予定通りに顧客が行動をしてくれない、といった悩みはあると思います。カスタマージャーニーは顧客の行動を予測したうえで、自社の施策を当てはめていくものです。顧客のアクションが変わってしまうと計画している打ち手がすべて効果を発揮しなくなってしまいます。

今回は「顧客の行動に関して精度の高い仮説を立てられない」とお悩みの方に向けて「カスタマージャーニーの前にペルソナを作る方法」を紹介します。具体的に複数のフレームワークを使いながら、考えていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

なぜカスタマージャーニーの前にペルソナを作るべきなのか

そもそも「なぜカスタマージャーニーの前にペルソナをアウトプットすべきなのか」という部分から解説しましょう。ペルソナとは簡単にいうと「顧客像」を指す言葉です。

自社がどのような顧客に商品を販売すべきなのか、を確定させるために顧客の詳細な姿をアウトプットしたものになります。似たような言葉に「ターゲット」があります。ペルソナはターゲットよりもさらに細分化した顧客像を指します。

カスタマージャーニーは「顧客がどのような流れで商品を認知して、興味を抱き、購買に至るのか」を考えるものです。そのうえでまずは「顧客」を確定させなければ、ジャーニーも描けません。

例えば新商品の「高級食パン」を販売するとしましょう。高級食パンを買う顧客像はさまざまです。家計に余裕がある、40~50代の主婦もいるでしょう。20代後半から30代前半の一人暮らしのキャリアウーマンもいます。これらの顧客はそれぞれで、高級食パンを購買するまでにたどるルートが違います。前者であれば、日中は住まいで家事をしており、家族を喜ばせようとしているかもしれません。後者であれば出社をしており、たまには贅沢をしたいと考えているはずです。

すると、広告を出稿すべき場所も違えば、興味を惹く訴求も違います。まず顧客像を確定させなければ、マーケティング活動をクリティカルにできないのです。

 

 

カスタマージャーニーの前にペルソナを設定する方法

では続いて、ペルソナを設定する方法についてご紹介します。「ペルソナ」と聞いて「職業」「性別」「年齢」などのプロフィール情報をイメージする方も多いでしょう。もちろんこうした要素は顧客像の輪郭を濃くするためにも必要です。

ただしプロフィール情報だけを確定させても意味がありません。大事なのは「その顧客は何を求めているのか」という部分です。まずは初めに「求めていること」をはっきりと確定させましょう。

 

ペルソナを作る前に「顧客が求めていること」を考える

「顧客が求めていること」の前に、ペルソナをすべて構築してしまうのはいけません。プロフィール情報から確定し始めてしまうと、想像の顧客像に引っ張られて、確かではない計画になってしまう恐れがあります。

例えばペルソナを「50代前半の企業の役員クラスで裕福な方」としましょう。するとイメージとして「普段は高級料理を食べている」としてしまいます。しかし、もしかしたら庶民的な居酒屋が好きかもしれない。家庭では小遣い制でお昼はコンビニの弁当をよく買うかもしれません。

ですので、まずはインタビューをもとに顧客が何を求めているかを考える必要があるのです。確証をもったうえでペルソナに落とし込んで顧客像の輪郭を濃くしていきましょう。

 

顧客が求めていること=ジョブを確定させる

ある状況下において顧客が求めていることを「ジョブ」といいます。ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した言葉です。

例えば先述の例でいうと、高級食パンを買う場合「普段とは違った朝食を取って特別感を味わいたい」「周りの流行に乗り遅れたくない」などのジョブがあるでしょう。

前者のジョブは「朝食のメニューが代わり映えしない」、後者のジョブは「高級食パンがブームになった」という状況があります。顧客(候補)が置かれてる状況を踏まえたうえで生まれたジョブです。状況が違う場合はまた変わったジョブが生まれます。

例えば仮に市場の食パンの平均的な質が高まれば、ブームも終息し、高級食パンを食べるジョブはなくなるはずです。ジョブについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ジョブを確定するうえでも想像で組み立てるのはいけません。客観的なエビデンスを創出するために、前もって顧客(候補)にインタビューをしましょう。ジョブ理論に基づいたインタビューについては以下の記事をご覧ください。

 

必ずジョブから離れることなくペルソナを構築する

さて、ジョブが確定したら、続いてペルソナを作って顧客像の輪郭をはっきりとさせます。この際に基本になるのはあくまでジョブです。想像に左右されることなくペルソナを構築する必要があります。インタビューをした顧客(候補)の声は確かなものです。客観的な情報をもとにペルソナを作りましょう。

ジョブをもとにペルソナを構築するうえで有用なフレームワークが「ペルソナキャンバス」です。プロフィール情報とは別に「ジョブそのもの」や「ジョブが生まれた状況」など記載する項目があります。ペルソナキャンバスの書き方については以下の記事を参考にしてください。

 

 

ペルソナをもとにカスタマージャーニーを構築する

ジョブと顧客像がはっきりとしたら、実際にカスタマージャーニーを構築していきます。この際にも最初に考えたジョブとペルソナを基本にしなくてはいけません。ジョブによって顧客の行動は左右されるからです。例えば広告を出す際にも「顧客が普段から何を見ているのか」「何を検索しているのか」といった視点が重要になります。カスタマージャーニーについての詳しい記事は以下をご覧ください。

カスタマージャーニーを考える際にはカスタマージャーニーマップを使うといいでしょう。「顧客の行動」や「タッチポイント」「施策」を書く欄があり、フレームワークを埋めるだけで、自社がどの顧客にどんな施策を打つべきかを1枚のシート上で確定できます。カスタマージャーニーマップについては以下の記事で作成方法などを詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

ジョブ→ペルソナ→カスタマージャーニーという流れが大切

ペルソナを構築しなければ、カスタマージャーニーは作れません。またジョブを構築しなければペルソナは作れません。つまり、ジョブをもとにぺルソナを作って、最終的にカスタマージャーニーに落とし込むことが大切です。カスタマージャーニーだけに限った話ではないですが、ペルソナを作る際には「顧客が求めていること」を必ず考えておきましょう。

BizMakeではジョブ理論やペルソナキャンバス、カスタマージャーニーマップなどのテンプレートを無料で開放しています。ぜひお気軽にご利用ください。

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