ニーズを把握する手法と役立つフレームワーク3選

既存事業、新規事業問わず、あらかじめニーズを把握しておくのは成功するための絶対条件です。「市場が広そうだから」と収益性だけを気にしたり、「悩んでいる人が多そうだったから」と何となくの予想で判断してしまったりすると、利用客をキャッチすることはできません。新規事業のリリース前にニーズを知っておくことは必要な要素であり、事業を継続していくうえで、外部環境の変化に合わせて、顧客のニーズを見つめ直すことも大切です。

そこで今回は顧客のニーズを把握する方法をご紹介します。顧客ニーズの把握が必要な理由やニーズを導き出す方法、また役立つフレームワークもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

 

そもそもニーズとは何か

まずは「ニーズ」という言葉を再確認してみましょう。ニーズとは顧客が抱えている願望や解決したい悩みのことを指します。

具体的に解説するために例を出しましょう。たとえば、ファミリー向けのワゴン車を買おうとしている男性がいたとします。彼のニーズは「家族でどこかドライブに行って楽しみたい「会社まで自動車通勤をして、ストレスを軽減したい」などです。そのための手段が「ワゴン車」というだけであって「車が欲しい」が最終的なニーズではありません。「車を買う」という手段は「ウォンツ」と呼ばれます。

よく「ドリルを売りたければ、穴を売れ」という話がありますが、ニーズは「穴を開けたい」であり、そのために「ドリルを買う」ことがウォンツなのです。ウォンツばかりに注目していては、顧客の願望を満たすことはできません。本質的なニーズを探し当てることが重要になります。

 

 

ウォンツからニーズを把握するためには質問をする

ニーズを把握する際には実際に顧客に質問をしてみるのがイチバンです。その際に犯しがちなミスが「ウォンツ」でインタビューが止まってしまうこと。解決手段だけを聞いても、自社の商材がお客のニーズを満たせるかどうかは分かりません。ニーズを引き出すために「WHYクエスチョン」を心がけましょう。

「なぜ」を繰り返すことで、相手の本質的なニーズが見えてきます。先ほどのワゴン車の例ならば、

A. 「6人乗りのワゴン車が欲しいんだ」
B. 「どうしてワゴン車なのですか?」
A. 「うちは5人家族だからだよ」
B. 「どうして家族でワゴン車に乗るのですか?」
A. 「休日にドライブに行くからね」

といった具合に、ウォンツからニーズを導き出すためには「WHY」を繰り返してロジックを見つけ出すとよいでしょう。

 

 

「ジョブ理論」でニーズを発掘

小売店や飲食店などの場合は、顧客がプロダクトを購入するウォンツが見えます。しかし新規事業を立ち上げる際はウォンツも見えず「顧客が何を欲しているのか」の市場調査から進めなければいけません。WHYクエスチョンをする以前の段階です。

この段階でウォンツとニーズを探るために役立つのが「ジョブ理論」です。顧客が実現したい願望、または解消したい悩みを「ジョブ」、実際にプロダクトやサービスを用いて、ジョブを解決することを「ハイア」としてニーズを探る理論になります。

ジョブ理論では「機能的なジョブ」「社会的なジョブ」「感情的なジョブ」と3つの角度から顧客のニーズを探ります。ニーズは必ずしも1つではないので、多角的に探ることが必要です。

たとえばスターバックスでコーヒーを飲むときのジョブは「おいしいコーヒーを飲みたい」「ゆっくりと休憩したい」という機能的なジョブのほかに「おしゃれに見られたい」という社会的なジョブがあります。またその結果として「楽しいと感じたい」という感情的なジョブもあるでしょう。

つまり、ジョブ理論を用いることで、多様なニーズを把握できるのです。だからこそウォンツすら見えていない場合は、ジョブ理論を用いて、実際に顧客(候補)にインタビューをしましょう。

インタビューで重点的に聞き出す部分については、以下の記事をご参照ください。

 

 

おすすめしたいフレームワーク

ではニーズを把握するうえでおすすめしたいフレームワークをご紹介します。

 

1. ジョブマップ

ジョブ理論を体系的にまとめたツールです。機能的、社会的、感情的なジョブを記載する欄があり、そのジョブを解消するまでの顧客のフローも記載できます。顧客がどのような流れでニーズを解決しているのかを時系列的に判別できるのが魅力です。


 

2. 共感マップ

共感マップによって、さらに顧客のニーズを深堀できます。顧客が普段どのような行動をして、どのような情報を仕入れているのか、そして何に喜び、何を嫌がるのかを記載していくことで、顧客の一日の生活が見えるとともに、よりニーズを深堀りできるのが魅力です。またペルソナの形成にも効果を発揮します。

 

3. ペルソナキャンバス

ニーズを把握したあとに設定するのが、ペルソナです。そこでジョブマップと合わせて使えるのが「ペルソナキャンバス」になります。ペルソナでは「〇歳の男性、職業は○○、趣味は○○で、休日はよく……」と顧客の詳細なプロフィールを設定するでしょう。しかしその「顧客像」はあくまで作成者の予想であり、根拠があるわけではありません。

ペルソナキャンバスはジョブ理論と組み合わせることで、確固たるロジックを踏まえてペルソナを設定できるツールです。ニーズと合わせて比較しながら確認できるので、チームメンバーとしても腑に落ちやすくなります。

 

 

ニーズを把握して“必要”な商材をつくるのが鉄則

ビジネスにおいて顧客のニーズは何よりも優先されるべきものです。どれだけ自身の想いが強くても、ニーズに合致しなければ、それは不必要な商材になってしまいます。だからこそ、市場調査で質問を繰り返したり、フレームワークを駆使したりして「必要」な商材を作りましょう。

今回、ご紹介した3種類のフレームワークはBizMake上で誰でも作成できますので、ぜひご利用ください。

 

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