
事業創出のやり方と具体的な手順を紹介!論理的に新規事業を生み出す方法
ここ数年でビジネス環境はさらに多様化、複雑化しています。その一方で、現在は起業や新規事業に対する技術的なハードルが下がったことで、幅広い分野でさまざまな事業が登場するようになりました。さらにスマートフォンの普及によりインターネットへのアクセスが増加、顧客行動が見える化されるようになり、SNSの口コミ情報が行動要因になる場面も増えました。
このような変化のなかで、商品ライフサイクルのスパンが短くなったことで、すぐに市場トレンドが変化するようになりました。これまで好調であった事業がいつ不振に陥るかわかりません。
「事業創出」は経営にとって、大事なキーワードの1つです。しかし事業創出を任されても、何から始めて、どう整理していいかわからないこともあるでしょう。
今回はこれから事業創出を考えている方、社内の新規事業担当者に向けて、まったく新たな事業を考え出す手順を紹介します。
目次
事業創出の流れ
社内事業を発想するためには、どのように思考をすればいいのでしょうか。いきなりブレインストーミングで自由に発想することも悪くはありませんが、細部の裏付けが不十分なまま進んでしまうリスクもあります。
ここでは「会社の現状」を見つめ「あるべき姿」を描き、その差分を浮き出してから、どうやって埋めていくべきかを考えるというアプローチを紹介していきましょう。
1. ビジネスモデルキャンバスで現状把握・可視化
まずは「会社が現状、どのような状況にあるのか(As Is)」を明確に言語化します。「いまの事業はうまくいっているのか」「お客様は何を求めているのか」「売上推移は堅調か」「現事業に足りないものはなにか」などを挙げていきましょう。
この際に現在の事業モデルをビジネスモデルキャンバスで整理していきましょう。ビジネスモデルキャンバスとは「顧客」「提供価値」「収益」「コスト」など、ビジネスを形成する9つの項目で事業や会社のビジネスをまとめるフレームワークです。
2. シナリオシナリオプランニングで俯瞰する
改善点が判明したら「シナリオプランニング」を進めていきましょう。シナリオプランニングとは未来に発生する可能性があるシナリオを複数考えたうえで、自社の対処法を考える手法です。「インパクトの大きさ」と「不確実性の大きさ」のマトリクス図で4つの領域に分けたうえでシナリオを当てはめていき「今後、自社がどう動くべきか」を決めていきます。
このうえで「PEST分析」や「5forces分析」などのフレームワークを使いましょう。PEST分析は「法律」「経済」「社会」「技術」の4項目からマクロの外部環境を見ていくフレームワークです。「5forces分析」とは「売り手」「買い手」「競合」「新規参入者」「代替品」の5つからミクロの外部環境を考えていきます。
3. あるべき未来とビジネスモデル選定
シナリオプランニングを踏まえ、自社が今後あるべき姿(To Be)を考えていきます。数あるシナリオのなかから、自社のあるべき姿を定義していきましょう。「既存事業の顧客にさらなる提供価値を加えるのか」「まったく新しい顧客を開拓するのか」なども含めて定義していきます。
この際にもビジネスモデルキャンバスを利用しましょう。新事業のビジネスモデルをはっきりと決めていきます。
4. As IsとTo Beの差分可視化
ここで最初に定めた現状のビジネスモデルと、今後の新事業のビジネスモデルとを照らし合わせましょう、2つのビジネスモデルキャンバスに記載された内容はそれぞれ特徴が出ているはずです。
各項目において「何が不足しているのか」を導き出していきましょう。注意しておきたいのは「差分=課題」ではないことです、本当に課題となり得るかどうかは慎重な判断が必要です。
5. 課題解決とアクションの定義
「どうすればTo Beを実現できるのか」を考えていきます。自社内でコントロールできることか、既存の収益事業と競合する可能性はないか、または自社の影響範囲を大きく超えて社会情勢・規制緩和などが待たれるケースもあるでしょう。
見えてきたギャップをどう埋めていくか、そのための具体的なアクションまでを考えることで「何をすべきか」が決まります。
具体的なアクションを考える
ここまでで新事業のゴールが完成します。その後は施策の戦略と内容を決めていきましょう。課題を解決するためための、さまざまな手法から最適な施策を選ぶために、ここでもビジネスフレームワークを使うことをオススメします。なお詳しい内容は、以下の記事で紹介していますので、ご覧ください。
具体的なアクションの流れ(と活用したいフレームワーク)は以下のようになります。
・顧客分析(ジョブ理論)
・提供価値(バリュープロポジションキャンバス)
・競合・代替品(STP分析)
・仮説検証(MVPキャンバス)
・ファイナンス(バランススコアカード)
・オペレーション
まずは「顧客が求めていること」について分析をしていきます。ビジネスを進めるうえで最も重要なものは「顧客」ですので、しっかりと分析をしていきましょう。その後、顧客の願望に合わせて提供価値を考えます。自社の商材のバリューを決めた後には、競合や代替品に目を向けてください。
ここまでで顧客の求めること、競合との差別化のポイントなどの仮説が決まったら、実際に検証をします。MVP(必要最低限の機能を搭載した製品)を作って実際に顧客に使ってもらい、フィードバックを得ながら柔軟に戦略を変えることが重要です。
そのなかで「いつごろ、損益分岐点をむかえるのか」「価格設定をどう定めるのか」という部分を決めていきます。ファイナンスの部分が定まったら、オペレーションが定まります。「どのように顧客に製品を届けるのか」をファイナンスや提供価値をもとにしながら考えていきましょう。
論理的に事業創出をすることが大切
「新規事業」という言葉にだけとらわれてしまうこともあるかもしれません。その場合、なんとなくでアイディアを出して、新しい事業をつくってしまうこともあるでしょう。
しかし、それではスムーズに事業をスタートできない可能性もあります。今回ご紹介したように、最初に「会社としてどうなりたいのか」「そのために何が足りないのか」という視点をもつことが重要です。
BizMakeでは今回ご紹介したビジネスフレームワーク以外にも、事業創出をするうえで役立つツールを無料でご利用いただけます。ぜひお気軽にご登録ください。
