
ジョブ理論を活用したイノベーションの起こし方
ビジネスシーンに欠かせないワードとして長く使われている「イノベーション」。日本語に訳すと「技術革新」となりビジネスシーンに新しい切り口やメソッド、見方などを創造することを指します。
「イノベーション」と聞くと、新しい発想をもとにサービスやプロダクトを設計していくようなイメージあるでしょう。しかしそれでは顧客のニーズとかけ離れてしまいます。「奇をてらった商材」をつくりだしても開発費用の無駄です。あくまで顧客に寄り添い、顧客の動向を見つめるからこそ、本当に必要なサービスやプロダクトが生まれます。
では、どのようにしてイノベーションを起こせばいいのでしょうか。今回はそのために「ジョブ理論」をご紹介します。もちろん、確実に正解を導き出せる理論ではありません。しかし、あなたのビジネスにイノベーションを起こすためのヒントになることは間違いありませんので、ぜひご覧ください。
イノベーションを起こすためにはまずニーズを探ろう
顧客のニーズを注目しなければ、イノベーションは起きないことは先述した通りです。イノベーションとは決して突飛な発想ではありません。次の2つの条件を満たしていれば、どの会社でもできます。
1. 「顧客自身でも必要だと考えていないニーズ」を発見し、解決する
2. 解決するまでの物語や手段などを顧客目線で細かく設計し「利用者が最も幸福だ」と感じるようなサービスを構築する
つまり新しいサービスを構築するのではなく、既にあるサービスやプロダクトのニーズを深掘りしていくことでイノベーションは果たされるのです。顧客より先にニーズを発見し、顧客が使用する手段やニーズを叶えるまでのストーリーを最適化できます。
事例としてアイドル業界にイノベーションを起こした「AKB48」を取り上げましょう。
これまでのアイドルはすべて運営側がグループ内の立ち位置を決めていました。センターに据えられるのも、バラエティ番組に出演するのも、すべて運営側がコントロールを握っていたのです。
AKB48は「投票券」を導入して、アイドル業界にイノベーションを起こしました。ファンがゲーム感覚で、自分の「推しメン」を応援できるシステムを構築したのです。メンバーを動かす実権をファンに委ねること。これは「1」で紹介した「顧客ですら気づいていなかったニーズを発見した」ことの事例ですね。
また「推しメンを応援します」という顧客のゴールまでのストーリーも描けています。CDを買えば買うほど、またはSNSなどで魅力を発信するほど、好きなアイドルが活躍してくれることが自己実現につながっているわけです。
「ジョブ理論」がイノベーションのヒントに
「顧客のニーズ」と「自社商材が提供できる価値」とを照らし合わせてイノベーションを起こすことは簡単ではありません。なかなかビジネスアイディアが浮かばないでしょうし、そもそもなにから考えるべきか分からない方もいらっしゃることでしょう。
そこで「ジョブ理論」を活用することをおすすめします。
ジョブ理論はイノベーション研究の権威であるクレイトン・クリステンセン教授が導き出した理論で、顧客の顕在化していないニーズ、いわばウォンツを拾い上げるための考え方です。
ジョブ理論では「顧客が望みを叶えるためにとるべき行動」を「ジョブ」、「ジョブを果たすためにサービスやプロダクトを利用すること」を「ハイア(雇う)」といいます。そのうえで顧客のニーズを「台頭するジョブ」「関連するジョブ」「感情的なジョブ」「社会的なジョブ」の4項目から分析することで、多角的に探れるのが魅力です。
その後は「ジョブ」を叶えるためのストーリーを決めます。「事前に顧客が計画すること」から始まり「調査すること」「準備」「確認」「ジョブの開始」「監視」「修正」「継続」と常に顧客目線で細かくフェーズを定めることで、顧客が描く理想の物語を作成していくのです。この段階で、先述したイノベーションに欠かせない項目を両方とも満たせます。
ここまでの作業が終われば、ジョブのレジュメを作成して自社の商材を細かく分析。最後にジョブを中心として組織を組み直すことで、新事業のビジネスアイディアをロジカルにカタチにできるのが魅力です。
ジョブ理論を簡単に設定できる「ジョブマップ」とは
ジョブ理論によって顧客のジョブ(=自社の商材)を分析すると、イノベーティブな事業の創造に役立つことは分かりました。しかし、どんな手順で作成するべきなのか分からない方もいらっしゃることでしょう。
そんな方のためにおすすめしたいのが「ジョブマップ」です。ジョブマップとはジョブ理論を作成するために用意されたフレームワーク。手順にしたがって項目を埋めていくことで時間や手間をカットしながらジョブ理論を自社のビジネスモデルに当てはめられます。
詳しい作り方や作成手順については以下の記事をご覧ください
