
ジョブの視点を組み込んでカスタマージャーニーマップのレベルアップ!
カスタマージャーニーマップとは顧客が自社の商材を利用するまで、また利用した後の行動を予測し、的確なアプローチをするためのフレームワークです。顧客を「個」として把握し、マーケティングをする必要がある現代のビジネスにおいて、効果を高めています
しかしなんとなくカスタマージャーニーを予測しただけでは効力を発揮しません。「タッチポイントは把握したけど、適切なアプローチの方法が分からない」「実際に想定したチャネルが正しいのか、イメージが付かない」などの問題が起きてしまいがちです。カスタマージャーニーマップの作成に失敗してしまう原因の1つが「顧客視点になっていないから」でしょう。
今回はカスタマージャーニーをうまく構築するために「ジョブ理論」を組み合わせる方法をお伝えします。顧客との接点をたしかなものにするためのツールだからこそ、顧客視点を大事にしましょう。
目次
そもそもカスタマージャーニーマップはなぜ作るのか
カスタマージャーニーマップは近年、多くの企業で用いられているフレームワークであり「効果を把握できていないが、一応作っておこう」と考えている方もいらっしゃるでしょう。もちろん、それではいけません。まずはカスタマージャーニーを作る目的をはっきりさせておきましょう。
カスタマージャーニーとは直訳すると「顧客の旅」となります。その名の通り、顧客がどうやって自社商材を認知するのか、どうやって興味を持つのか、そしてどの流れで購買に至るのか、といった顧客の行動フローを構築します。市場にはモノが溢れ、顧客は商材を選べるようになりました。
例えば冷蔵庫を例に挙げましょう。以前であれば、大手メーカーのみが製品を市場に出していました。しかし現在ではサイズや機能ごとにあらゆるメーカーが商材をリリースしています。消費者はニーズに従って、あらゆる製品を選べます。デザインやカラーリングを重視したいのか、または機能性か、収納の多さかなどであらゆるメーカーの製品から好きなものを選べるようになりました。また企業側しては広告をはじめとする集客施策も細分化されました。テレビや新聞だけでなく、デジタル広告やタクシー、店内モニターに至るまでタッチポイントが増えましたし、細かいデータも取得できるようになったのです。
この場合、顧客を「層」ではなく「個」で考えなければいけません。個人に向けたクリティカルな集客施策が必要になります。今まで以上に顧客の行動を追いかける必要が出てきたのです。最適化されたマーケティングをしなければ顧客には届きません。無駄なコストを払ってしまうことになります。だからこそカスタマージャーニーマップによって顧客とのタッチポイントを定める必要があるのです。
カスタマージャーニーに関する詳しい説明は以下の記事からご覧ください。
失敗しがちなカスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーは「誰に届けるか」という視点が必要なものです。顧客視点が不足していると、ただ作っただけになってしまいます。またはタッチポイントが不確かなものにになってしまうでしょう。例えばよくある失敗例に「ターゲティングができていなかった」という原因があります。広い顧客に向けて構築してしまうと、結局マス向けのチャネルを使ってしまうということになりかねません。
また「作成者のバイアスがかかってしまう」という原因で失敗することもあります。顧客にインタビューをすることもなく、自身の主観で作ってしまうとレベルの低い仮説になってしまうのです。結局、顧客は計画とは全く違う行動をとっていた、という結果になります。
顧客視点が不足していると、カスタマージャーニーマップの作成は失敗に終わります。だからこそ、組み立てる前に顧客の分析を細かくしておくことが重要です。「顧客が自社の商材をどう捉えているのか」「何に魅力を感じているのか」を事前に考えましょう。以下に記載する「ジョブ」と「ペルソナ」を定義したうえでカスタマージャーニーマップを作ることが必要です。
「ジョブ理論×カスタマージャーニーマップ」で顧客視点を得る
顧客の視点を把握するためにおすすめのフレームワークが「ジョブ理論」です。ある状況下において顧客が抱く「願望」や解消したい「不満」、処理すべき「用事」などを「ジョブ」として「なぜ顧客が商材を用いるのか」を考えるツールになります。
あらかじめ想定する顧客にインタビューをして、機能的、感情的、社会的の3つの側面で「ジョブ」を捉えることがスタート地点です。自社の商材が、どのチャネルでなぜ顧客のジョブを解消しているのかを判断できます。
ジョブ理論とそのインタビュー方法に関する詳しい内容は以下の記事からご覧ください。
そのうえでカスタマージャーニーマップを作成しましょう。顧客はどのチャネルで、なぜ自社商材を認知するのか。またどんなジョブを解決できそうだと感じるから興味を持つのかが、より論理的に判断できます。するとカスタマージャーニーマップを成功に近づけることができるのです。
ペルソナキャンバスで「ジョブを持つ顧客」を定義する
その後、ジョブをもとにペルソナキャンバスを使って顧客を確固とした形にしましょう。顧客像をカタチにすることで「ジョブ」から「(ジョブを持つ)人」にターゲットを設定できます。すると「どの集客手法を使えばいいのか」「誰に届ければいいのか」といったレベルで、マーケティングができることになります。
ペルソナキャンバスには「ジョブ」を書く欄があります。「そのジョブはどんな制約のもとで生まれるのか」「ジョブ満たした結果、何を成し遂げたいのか」「どんな感情になりたいのか」「すでにジョブを満たしている代替手段は何か」、または無消費の市場なのか」などを書き出すことでジョブをはっきりさせたうえで人物像を定義できます。ジョブから離れないように、まずはジョブを起点にペルソナを組み立てましょう。そのうえで「支払い意思」や「人口動態・属性」「好きそうなメディア」などの具体的な人物像を考える必要があります。
ペルソナを書き出したら、最終的に定義した顧客がどのようなカスタマージャーニーを歩むのかを考えます。はじめからカスタマージャーニーマップを作ってしまうと「個」ではなく「集団」に向けたフレームワークになってしまいます。しかもその集団は想像のなかでしか存在しないものです。あらかじめジョブをもとにペルソナを構築することで、よりリアルなカスタマージャーニーマップをつくれます。
カスタマージャーニーマップは「利用後」も考えることが重要
今回はジョブ理論を用いることで、カスタマージャーニーマップをより濃く作る方法についてご紹介しました。カスタマージャーニーマップは「認知」や「興味・関心」「比較検討」など、利用する前段階の顧客の行動を考えるために用いられることが多いです。
しかしSaaSが流行しているのを見ても分かる通り、現在のビジネスでは長く顧客と関係を保ちながらロイヤルカスタマーを1人でも多く作るコトが重要になっています。利用後に顧客はどんな行動を取るのか、自社はどうやったらチャーンレートを下げられるのかを考えることも重要です。
カスタマージャーニーマップは2020年の10月からBizMakeで無料で利用できます。URL共有機能もあり、社内での共通言語づくりとしても有用ですので、ぜひ使ってみてください。
