
仮説検証のやり方を徹底解説|使えるフレームワーク・サイクルの回し方
事業開発、また新機能の追加などをするうえで「仮説」を立てることは重要です。「顧客は○○に不安を持っているから、○○の機能が必要だ」「顧客が支払う金額は○○だ」などの仮説がなければ、事業推進をするアイディアができません。
ただし組み立てた仮説をもとに事業開発、アップデートなどを進めてしまうのはリスクが伴います。コストを費やした結果、仮説が外れていた場合、大きな損をしてしまう可能性があります。だからこそ、低コストで仮説を検証することが大事です。
今回は「仮説検証」について、プロセスや注意点などについて紹介します。
目次
仮説検証とは
「新事業を創出する」「既存事業をアップデートする」といった際にはさまざまな仮説が生じます。ですので複数の仮説から、正確そうなものを選択することが必要です。仮説を選んだあとは先述したように「仮説検証を進めることが大事」です。
仮説検証とは、低コストで部分的に新商材や新機能をつくって顧客に提供することで「学び」を得ることを指します。顧客の声を開発中の商品や機能に生かすことで、より高レベルな確度で仮説を構築できるわけです。
仮説検証をする目的は学びを得ること!自分の考えを確定することではない
仮説検証のゴールは、素直に顧客の声をもらって、より角度の高い商品を作ることがゴールになります。目的は「学びを得ること」と「学んだことで必要のないことを棄却すること」です。仮説の確度を高めることで、安心して商品開発ができます。
しかし「学びを得る」という仮説検証の目的からそれてしまうこともあります。その理由として大きいのが「新商品・新機能を気に入りすぎて思考にバイアスが入ってしまうこと」です。検証結果のうち、計画を見直す必要があるケースでも素直に受け入れられずに正しく検証できない場合があります。
仮設検証の際には「どれだけ多くの学びを得られるか」を考えて、素直に顧客からのフィードバックを受け入れ、仮説の確度を高くすることを考えましょう。
なぜ仮説検証が大事なのか
では、仮説検証の目的が分かったところで、具体的なプロセスと手法を紹介していきましょう。
調査・分析
関連する書籍・論文、また競合調査、Web上での検索やYahoo!知恵袋などでの調査があります。クリティカルな答えが出にくいですが、時間・費用ともにコストはほとんどかかりません。
顧客へのインタビュー・観察・議論
想定顧客へのインタビューや、ディスカッションなどにより学びを得る方法です。社内の新規事業や、既存事業の新機能開発などの場合は、既にロイヤルカスタマーにインタビューなどをするのをお勧めします。できるだけ忌憚ない意見をもらえる顧客に話を聞いてみましょう。
MVPの開発と検証(実験)
MVPとはMinimum Viable Productの略であり「必要最小限の機能」という意味です。例えばWebソフトウェアやアプリの場合は機能の一部を搭載してβ版としてリースします。そのうえで顧客の反応を見ましょう。MVPは他の手法に比べて開発コストがかかりますが、そのぶん多くの学びを得られます。
MVP作成の際に利用できるフレームワーク「MVPキャンバス」
MVPを使って仮説を検証をする前に、使うのをお勧めしたいのが「MVPキャンバス」です。
MVPキャンバス
仮説検証をするために使えるフレームワークが「MVPキャンバス」です。MVPとは「Minimum Viable Product(必要最小限の機能をもった製品)」の略になります。新しい機能や商材をリリースする前にはMVPを出して顧客の反応を見ることが必要です。そのうえでMVPキャンバスによって「どんな仮説をどのように検証するのか」を設計しておきましょう。
MVPキャンバスには以下の項目があります。フレームワークに当てはめることで、目的から離れることなく仮説検証をするための前準備が可能です。
1. 仮説 Hyphothesi/Assumption
2. 何を学ぶのか What to lean
3. どのようにMVPで仮説を検証するのか How to Validate the Hypothesis with MVP
4. 実証に必要なデータ・条件 Criteria of Validation
5. 何を作るのか What to Build
6. MVP構築に必要なコスト Cost of Developing MVP
7. 実証に必要な期間 Time of Validating Hypothesis
8. 回避できる/発生するリスク Estimate of Future Risk/Chance
9. 結果 Result
10. 得た学び Goal
MVPキャンバスについての詳しい解説は以下の記事で紹介しています。
MVPの仮説検証のプロセス
先述した検証方法で仮説の確度を高めていきますが、具体的にはどのようなプロセスをたどるべきなのでしょうか。フレームワークの構築も含めて具体的に3つの流れでMVPを作る際の手順を決めていきましょう。
仮説を生成・選択する
まずは新事業・追加機能に合わせて仮説を生成し、確度の高い仮説を選択する必要があります。この際に「顧客にインタビューをする」「アンケートを取る」「社内で壁打ちをする」などの手段で複数の仮説のうち優先順位をつけていき、「学びたいこと」を考えていくこと大事になります。
MVPキャンバスを組み立てて「目的」をはっきりさせる
続いてMVPキャンバスをつくりましょう。先述した通り、MVPキャンバスには「何を学ぶのか」「何をつくるのか」の要件を先に定義しておきます。
MVPを作成
実際にMVPキャンバスにもとづいて「MVP」を作成していきます。「どんな学びを得たいか」によって、搭載する機能の取捨選択をしましょう。
改善点を把握
MVPで得た学びについて収集をします。先述したようにその際に固定観念を捨てて、素直な目線で確認をしましょう。学びを得た結果、当初の予定とは違った商品ができるかもしれません。
本番のリリース
検証結果をもとに十分に改善をした後に、本番の状態でリリースをします。
仮説検証は本リリース後も続く
今回は仮説検証の手法、使えるフレームワーク、検証プロセスなどについて紹介しました。
ただし重要なのは本番でリリースした後も検証は続くということです。顧客の思考は日々変化していきますし、新規参入者がいつ現れるかも分かりません。常に顧客の声を収集しながら、アップデートを繰り返していきましょう。
今回、紹介したMVPキャンバスはBizMakeから無料でご利用いただけます。お気軽にご登録ください。
