フレームワークを活用したDXの進め方

世の中で大きなムーブメントとなっているDX。DXはデジタルを使った変革を意味する用語ですが、なぜDXが必要なのでしょうか?デジタルを使った業務効率化、デジタルを使った顧客体験の向上という視点も間違ってはいませんが、本質的には急激に変化する外部環境に対応し、従来の方法から現在のビジネスに手法や技術を合わせるだけでなく、未来も視野に入れた持続可能性の高い事業・組織へと変革させることが狙いです。そのためには自社のビジネスをきちんと分析し、変革のビジョンを組み立てるだけでなく、現状(As-Is)と将来(To-Be)のギャップから課題をきちんと抜き出して、持続性の高いデジタル技術での解決を検討することが必要となります。

今回は、DXの基本的な進め方について、有効なフレームワークとともにご紹介します。

 

1.現在の姿(As-Is)を可視化する

まずは現在の姿を可視化しましょう。最初はビジネスモデルキャンバスを使って会社の顧客の姿やビジネスとしての価値、マネタイズの手段などを言語化して、どのように既存のビジネスが回っているのかを把握することが大事です。(ビジネスモデルキャンバスとは

変革を意識する上で現在の姿(As-Is)を描く理由は、後述する変革後の姿(To-Be)と比較することで、「この部分をこう変えていく」という明確な目標を捉える必要があるからです。中でも特に意識したいのはビジネスモデルキャンバス上段中央部で言語化する「提供価値」です。「提供価値」を時代に合わせて変えていくことで持続可能性の高い事業・組織へとDXを推進できます。

DXには顧客体験価値を高め、売上や利益を追求していく「攻めのDX」と、業務効率を上げてコストを削減していく「守りのDX」が考えられますが、「攻めのDX」であれば顧客に対する提供価値を、「守りのDX」であれば従業員に対する提供価値を記述すると良いでしょう。

この時点で「提供価値」を書き出すことが難しいということであれば、「バリュープロポジションキャンバス」を使うことをおすすめします。(バリュープロポジションキャンバスとは

バリュープロポジションキャンバスを使うことによって、顧客や従業員に対してきちんと価値を提供できているか?どうすれば価値を上げていけるのか?を考えることができますので、この後決めなければならない変革のビジョンやモデルのヒントにもつながります。

ビジネスモデルキャンバスやバリュープロポジションキャンバスにより、どの辺りに現状課題を抱えていそうか、どの部分を変革させていきたいのか、変革の目処をつけておきましょう。

 

2.変革のビジョンを作成する

次に変革のビジョンを作成します。変革のビジョンを検討するために必要な要素は外部環境と内部環境の把握です。

外部環境は、変革を目指す時期や変革後に成果を期待する時期などの時間軸を意識して、市場や業界の動向がその時どう変化しているかを想像することと、計画された未来の情報を収集することが必要となります。未来の市場や業界については各リサーチ会社から提供されたデータなどを参照して業界動向を分析したり、国の政策、法規制、SDGsなども参考にしながら、PEST分析や5フォース分析を使ってイメージすることができます。(PEST分析とは5フォース分析とは

内部環境は、想像した外部環境の未来に対して、どのような価値や強みを伸ばしていくべきかを検討する上で必要な情報です。先にご紹介したバリュープロポジションキャンバスだけでなく、VRIO、SWOT、バリューチェーン分析などを活用して、今後伸ばしていくべき価値や強みを把握しておきましょう。(SWOT分析とはバリューチェーンとは

外部環境と内部環境の把握ができたら、変革のビジョンを考えましょう。

ビジョンを考える際、「誰のどのような課題をどう解決するのか?」を念頭に置くとイメージしやすいです。「誰のどのような課題」は外部環境をヒントに、「どう解決するのか?」は内部環境をヒントにすると良いでしょう。

 

3.変革後の姿(To-Be)を可視化する

変革のビジョンが定まったら変革後のビジネスモデルを描いていきます。再度ビジネスモデルキャンバスを使って可視化しましょう。このとき、現在のビジネスモデル(As-Is)と顧客セグメントや提供価値が変わっている可能性があるので、ポジショニングマップなども使いながら改めて競合との差別化を考えることも重要です。

 

4.As-Is と To-Be のギャップを可視化する

現在の姿(As-Is)と変革後の姿(To-Be)が可視化できたら、ふたつを比較してギャップを把握します。このギャップを把握することにより、変革に対する課題が見えてきますので、ひとつずつ書き出していきましょう。

小売業を例にあげると、顧客セグメントを「近隣在住のお客様」から「遠方在住も含めた広範囲なお客様」に、提供価値を「来店されたお客様に対する丁寧な商品説明」から「来店せずとも商品を確認でき、丁寧な説明も受けられる」に変革する場合、来店せずとも商品が確認できる手段や、オンラインでの接客の手段を考えることが課題となります。

課題を書き出す際、現在の姿(As-Is)と変革後の姿(To-Be)のふたつのビジネスモデルキャンバスを俯瞰して、変化のある部分をチェックしながら優先度や重要度を決めていくと整理しやすくなります。

 

5.課題に対する解決策を検討する

課題を書き出せたら、解決策を模索していきましょう。お気づきの方も多いと思いますが、ここで初めてデジタル技術が登場します。先ほどの小売業を再び例にあげると、「来店せずとも商品が確認できる手段」という課題に対しては「オンラインサイトで360度の視点で確認できる写真の提供やビデオでの商品紹介」であったり、「オンラインでの接客の手段」という課題に対しては「AIチャットボットやビデオ商談システムの導入」で解決したりすることを検討します。

単にデジタル技術による業務の置き換えではなく、どういったデジタル技術を用いると顧客体験やビジネスモデルが変革するかを意識すると良いでしょう。

なお、解決のためのデジタル技術は特徴や種類が千差万別で選定に困るケースがありますので、顧客に対する課題であればペルソナキャンバスでペルソナを想定したり、事前に社内や顧客にインタビューをしておくと見極めやすくなります。(ペルソナキャンバスとは

 

「人」に対する配慮を忘れずに

DXは事業・組織の変革であり、実際に動くのは現場の人たちです。そのため、変革に直面する人たちに対するリスペクトや配慮をしつつ、変革の目的や必要性をきちんと伝えていくことが成功の鍵となります。DXに対するビジョンをMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)などに落とし込むことで指針を明確にし、OKRなどで成果目標を与えることも有効です。(ミッション・ビジョン・バリューとは

 

DXの進め方についてご理解いただけましたでしょうか?冒頭でもご説明したようにDXはデジタル技術を活用して持続可能性の高い事業・組織へと変革させることが重要です。一過性のものではなく、刻々と変化を続ける外部環境に合わせて柔軟に変化できる組織をつくるため、この先何度も事業を見直し、その時に必要な技術を取り入れていくことが求められます。BizMakeでは今回ご紹介したビジネスフレームワーク以外にも、事業創出やDXを進めるうえで役立つツールを無料でご利用いただけますので、ぜひお気軽にご登録ください。

 

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