3C分析の目的・やり方は?8社の事例や4C・5C・6Cなど(テンプレート付)

ビジネスの基本になる「自社」「顧客・市場」「競合」をまとめるためのフレームワークが3C分析になります。3C分析はビジネスフレームワークのなかでも初歩的なものですが、基本中の基本であるため、決しておろそかにはできません。

今回は3C分析について、概要や作り方、事例、無料のテンプレートをご紹介します。基本をおろそかにしてしまうと、思わぬ落とし穴にはまる可能性もありますので、はじめに作成してみてください。

3C分析とは

3C分析とは「Company(自社)」「Customer(顧客・市場)」「Competitor(競合)」の3つの言葉の頭文字から名付けられたビジネスフレームワークです。1982年に経営コンサルタントの大前 研一氏が自著内で発表しました。

そもそもどうして3C分析をやるのでしょうか。それは「競争市場内において、どうやって勝利するかを考える必要があるから」です。自社の強みや弱み、顧客のニーズ、思考、そして競合の強み、弱みを知ることで、成功するための鍵を見つけ出すことができます。

成功するうえで、大前氏は「KSF(Key Success Factor)」を見つけることがカギだといいます。では、KSFとは具体的にどういった要素を指す言葉なのでしょうか。

 

 

3C分析の目的はKSFを明確に設定すること

KSFとは、外部環境と内部環境を照合した際に、事業を成功に導くための要因を指す言葉です。自社の強みを発揮したくても、外部環境にチャンスがなければ事業は失敗してしまいます。

極端な例を挙げましょう。あなたが若者向けのアパレルブランドを出店するとします。既に多くのフォロワーを持つデザイナーが社内にいる。その出店場所としてふさわしいのは渋谷や原宿などの若者が多く訪れるスポットだと思います。もし競合がすでにシェアを奪っているのなら近隣の若者が多い土地に構えると思います。この場合は、KSFを最低限満たしているといってもいいでしょう。

しかし、もしご年配の方が多い巣鴨や、ビジネスパーソンが多い新橋などに出店してしまうと、とてもKSFを満たしているとはいえません。3C分析のゴールとは、まず自社と顧客・市場、競合を照合することで、自社の強みを生かす。そのうえでKSFを明確に設定することです。

KSFについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

 

 

3C分析の各要素をご紹介

では3C分析の概要とゴールが分かったところで、各要素について解説しましょう。3C分析は設定する順番も大切です。

 

1. 顧客・市場Customer

はじめに、顧客・市場を分析しましょう。自社を取り囲む競合のトレンドや変化を知らなければ、自社の強みや競合の隙が分からないからです。ただし「顧客・市場」といわれても、抽象的過ぎて、どのような要素を記載したらいいか分からないかもしれません。より細分化して考えることで、具体的な要素が見えてきます。

例えば市場には「ミクロ」と「マクロ」の2つがあります。マクロとは比較的広い領域であり景気の変動や政治の動向、法の改正などが当たります。一方、ミクロ経済とはマクロのなかに位置するものであり、主に業界全体の動向を意味する言葉です。この両方に着目して気づきを記載していきましょう。

また顧客はミクロの市場のなかに位置する存在と言ってもいいでしょう。業界のトレンドのなかで顧客は何を望んでいるのかを、明確に定めるのがコツです。

 

2. 競合Competitor

自社を記載する前に外部要因である「競合」の強みと弱みを記載しましょう。成功例と失敗例がある場合はそのどちらも記載しておくことをおすすめします。

それぞれについて、費やしたコストやリソース、チャネルとビジネスモデル全体を記載しましょう。見比べることでKSFが具体的に見えてきます。また自社が秀でている部分、足りない部分も分かるでしょう。さらに「なぜ成功したのか」という成功理由も深堀できます。

 

3. 自社Company

最後に自社の強みや弱みを分析します。顧客や競合を先に分析しておくことで「顧客のニーズが○○の状態に動いているから、自社の○○な部分がフィットする」「競合は○○が弱い。その隙を突けるような強みが自社にはある」などと、自社の強み弱みを論理的に分析できるのです。

 

 

フレームワークを併用することで、より詳細な結果が

3C分析をするだけでは、どうしても内容が抽象的で薄くなってしまいます。そこが大きなデメリットなので、他のフレームワークを併用してより詳細なフレームワークを作成していきましょう。

 

1. マクロ環境の分析には「PEST分析」を

PEST分析は「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の代表的な4つのマクロ環境をフレームワーク化して分析するためのツールです。

 

 

2. ミクロ環境と競合の分析には「5forces」を

5forcesとは「新規参入者」「代替品」「買い手」「売り手」「既存競合他社」という5つの力を分析するためのフレームワークです。ミクロ環境である業界の状況が分かるのはもちろん、ミクロ環境を踏まえたうえで顧客の強みと弱みを分析できます。

 

 

3.顧客と自社の分析には「ビジネスモデルキャンバス」を

ビジネスモデルキャンバスとは顧客セグメントや提供価値、コスト、リソース、チャネルなどの9つの項目から会社のビジネスモデルを丸裸にするためのツールです。同業と自社の互いのビジネスモデルの違いについて分析できます。

 

 

3C分析とSWOT分析の違いとは? 自社の特徴から強み・弱みを把握する

3C分析とSWOT分析の違いについて気になっている方も多いようです。先述した通り、3C分析とは顧客のニーズからブレずに、競合・代替品との差別化をするフレームワークになります。一方のSWOT分析とは「Strengths:強み(内部)」「Weaknesses:弱み(内部)」「Opportunities:機会(外部)」「Threats:脅威(外部)」という4つの内外環境を1つのフレームワークにまとめられるツールです。その後、「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」の4つの状況を記載して「自社がどのように立ち回るべきなのか」を定義していきます。これを「クロスSWOT分析」といいます。

両者は「内外環境を分析する」という意味では似ています。しかし外部環境の視点としては、まったく違う性質をもつフレームワークです。SWOT分析では「顧客(市場」や「競合」などの視点はありません。一方で3C分析のデメリットとして、内部環境(自社)と外部環境(顧客と競合)を並列化して比較できない点があります。

だからこそ、順番としては、まず3C分析によって顧客と競合を参考にしながら自社の強みを明らかにします。その後にSWOT分析によって自社の強み・弱みを細分化して、同時に「機会と脅威が訪れた際にどう動くか」を決めるのがいいでしょう。

両者の違いについては、以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

3C分析をギブソン社とフェンダー社の事例から読み解く

では実際に3C分析を実践してみましょう。今回は以前の記事でビジネスモデルをお伝えしたギターメーカーの「ギブソン社」と「フェンダー社」を例に挙げます。

両社の3Cにはどのような違いがあるのでしょうか。

 

【ギブソン社】

1. 顧客・市場Customer

大きな市場としてはギターメーカー、また音響機器の領域にあります。顧客セグメントとしては現在バンドなどを組んでいてギターを弾いている方、またギターに興味がある方、さらに音響の品質にこだわりたい方などになるでしょう。

 

2. 競合Competitor

ここでは競合にフェンダー社を挙げましょう。フェンダー社の強みとしては「Fender Play」というアプリがあり、ギターの初心者を教育できる仕組みがあることです。一方、弱みとしてはギター関連の事業だけで商売をしているということです。

 

3. 自社Company

それに対してギブソン社の強みは、ギターだけでなく音響機器のメーカーも傘下に収めたことでしょう。またギターのシェア率が40%以上と高いシェアを誇っていたこと。反対に弱みとしては、アナログなプロダクトの製造・販売以外にマネタイズできるポイントがなかったことになります。

 

【フェンダー社】

1. 顧客・市場Customer

大きな市場としてはギターメーカー、またはオンラインスクールの領域です。顧客セグメントとしてはギターを弾いている方、またはギターを始めようと考えている方になります。何から始めたらいいのか分からないという消費者も入るでしょう。

 

2. 競合Competitor

競合にギブソン社を挙げましょう。ギブソン社の強みとしてはギター以外の音楽関連機器も製造・販売していることになります。一方、弱みは「体験」をもたらす事業ではなく、あくまでプロダクト販売をしていることです。

 

3. 自社Company

フェンダー社の強みは、「Fender Play」を使って、ギター初心者の方を教育できる点です。また無料のチューニングアプリなど、デジタルを利用していることです。反対に弱みとしては、ギターに関する事業しかできなかった点が挙がります。

こうして並べると、同じギターメーカーでも両社の戦略には大きな差があったことが分かります。結局は「モノ」の販売にこだわらず、デジタルトランスフォーメーションを起こして「コト(体験)」を提供したフェンダー社に軍配が上がりました。

 

3C分析の事例については以下の記事でもご紹介しています。

スターバックスのブランディング戦略を3C分析で解説!

3C分析で紐解く、マクドナルドのビジネス戦略とは

3C分析のやり方をセブン-イレブンの事例で解説

あいのり、テラハ、オオカミくん…恋愛リアリティショーの3C分析

3C分析のやり方をヒプノシスマイク(ヒプマイ)の事例で解説

3C分析の作成法をラッキンコーヒーの事例で解説!中国発、スタバを脅かすカフェチェーンの大胆な戦略とは

 

 

3C分析から4C・5C・6C分析に

「顧客」「競合」「自社」を分析する3C分析は時代とともに、一緒に考えるべき要素が増えています。そこで追加されたフレームワークが4C、5C、6C分析です。それぞれの分析手法についても紹介しましょう。

 

4C分析

4C分析とは3C分析に「協力者」を加えたフレームワークのことです。

他社との差別化や顧客へのより大きな価値提供のためにも他社とアライアンスを組んでビジネスを進めることが増えてきました。4C分析によってのメリットは他社の力を借りることで自社の強みをさらに伸ばし、弱みを補完できる部分にあります。顧客と競合を同じフレームワーク上に並べて「協力者」が、どのように関与するかを確認できるのが魅力です。4C分析についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

「協力者」の存在とは?3C分析から4C分析で視点を広げる

 

5C分析

5C分析とは4Cに加えて「地域のコミュニティ」という外部の視点を加えたフレームワークです。自分のビジネスがいるプラットフォーム全体がビジネスにどのような影響を及ぼすのかについても考えなければいけません。

マクロの外部環境を考える際は先述したPEST分析を用いることをおすすめします。法律や経済、社会、技術といったマクロの外部環境は観察すべき項目です。変化によって、3C全体に影響が及ぶからこそ、注意をしましょう。

 

6C分析

6C分析は自社とともに、顧客の3Cも分析するフレームワークです。BtoBマーケティングの際に用いられるフレームワークになります。対企業でのマーケティングにおいては「顧客の顧客」を考えることがとても大切です。自社の商材を導入した結果、顧客の顧客にどのようなプラスがあるのかを考えることで、コンセプトや売り方などがより鮮明になります。

 

 

3C分析はBizMakeのテンプレートで

顧客(市場)×競合×自社を分析することで、根本的なマーケティングの方向性が見えるのが3C分析の面白さです。ターゲティングにもセグメンテーションにも役立ちます。

3C分析のテンプレートはBizMakeから無料でどなたでも利用できます。まずは自社のビジネスを記載していきましょう。また一緒にご紹介したSWOT分析や5forces、PEST分析なども使えます。ぜひアウトプットに生かしてください。

 

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