
新規事業で必ず役立つビジネスフレームワーク15選
新規事業の立ち上げや、営業戦略の見直しなど、方向性が無数にある状態でビジネスをいちから発想するのは困難を極めます。そのような場合にビジネスフレームワークを活用することは非常に有効です。
手順に沿ってパーツを配置していくことでご自身の頭の整理が進むことに加え、自然とアウトプットができるので、チームメンバーへ共有しやすくなるのが特徴です。
ではビジネスを推進するうえで知っておくと便利なフレームワークはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は厳選されたフレームワークを無料で公開する「BizMake」が、フレームワークの背景やメリット・デメリットだけでなく、用途別の「ビジネスフレームワーク」を紹介します。
目次
フレームワークとは
フレームワークとは「型」を表す言葉で、ビジネスにおけるパターンを可視化したものです。
フレームワークと一言で言っても、非常に種類は豊富です。プログラミングや提案資料、そしてマーケティング手法など、それぞれに「型」があるのです。
この背景には「成功するパターンが生まれた」ことがあります。「顧客行動」「ビジネスモデルの在り方」「話の仕方」などに及第点を取れるパターンがあるので、ゼロから思考しなくてもいいように「思考の型」が生まれたのです。
ただし、フレームワークは新規事業など事業企画の手段に過ぎません。
しかしうまく活用することで、自分のアイディアをアウトプットでき、チームメンバーや協業先などの関係者とディスカッションする際の叩き台になるのは確かでしょう。
ですので、必ずフレームワークを使う際には「定義」や「手順」などに落とし込むことが必要です。
フレームワークの定義は「beliefs」「ideas」「rules」
フレームワークの定義として「beliefs」「ideas」「rules」の3点があります。「beliefs」とは自分がフレームワーク内で正しいと信じていること、「ideas」とはフレームワーク内での言葉を用いた定義、「rules」とは計画を再現するために有効な手順を指します。
フレームワークを作成する前には必ず「課題」があります。
その課題を解決するために「自分が正しいと思っている理論」を規定することが「beliefs」です。その後、自分のbeliefsとの齟齬が生まれないようにするために定義すること。これを「ideas」といます。そしてideasをもとに、課題を解決するために再現性のある手順を構築することが「rules」です。
フレームワークとは単なる「型」ではなく、この3点を押さえたうえで構築したものを指します。
戦略を論理的に考えられる
フレームワークはどの種類も、いくつかの要素に分かれています。たとえば、ビジネスモデルをまとめるために使うフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」を例に挙げてみましょう。
ビジネスモデルには以下の9つの要素があります。
1. 顧客 Customer Segment(CS)
2. 提供価値 Value Propositions(VP)
3. チャネル/販路 Channels(CH)
4. 顧客との関係 Customer Relationships(CR)
5. 収益の流れ Revenue Streams(RS)
6. キーリソース/主要な資源 Key Resources(KR)
7. キーアクティビティ/主要な活動 Key Activities(KA)
8. キーパートナー/主要パートナー Key Partner(KP)
9. コスト構造 Cost Structure(CS)
この9項目は決して独立した要素ではありません。
まず顧客が求めていることがあり、その顧客がいるチャネルを把握できる。求めるニーズを解消するための提供価値があり、提供価値を提供するためにリソースとパートナーが必要になる。といったように、すべての要素が1つの線でつながっているのです。そのためフレームワークは論理性を大事にして組み立てる必要があります。これからフレームワークを使う方はロジックを意識するようにしましょう。
ビジネスフレームワークのメリット・デメリット
ではフレームワークの概要について紹介したところで、ビジネスにおいてフレームワークを用いることによるメリットとデメリットを解説していきます。
必ずしもメリットだけではないので、あらかじめ長所と短所を把握したうえでシーンに応じて使い分けることをオススメします。
ビジネスフレームワークのメリット
以下の3点がポイントとして挙げられます。
メリット1:思考を整理できる
大きなメリットとしては思考を整理できることです。たとえば新事業を始める際には考えるべきことがたくさんあります。
「顧客ニーズをどのように定義するか」「予算はどのくらい必要か」「いつまでに損益分岐点を超えるよう設計するのか」「採用すべきか、他社とパートナー契約を結ぶべきか」などを把握したうえでスケジュールを組まなければけません。フレームワークを使い、各セクションをまとめることで自然と思考整理ができます。
メリット2:メンバーに戦略・戦術を共有しやすくなる
フレームワークを使うことでアウトプットできるのも大きな魅力です。
1つの画面に戦略・アクションプランなどがまとまるので、メンバーに共有しやすくなります。一緒に動くメンバー全員が戦略を把握しておくことは事業のスピードや確実性を高めるうえで重要です。ミスコミュニケーションの防止にもなります。ただし後述しますが、フレームワークは「共通言語化」されていないと、共有しにくいのも確かです。社内にフレームワーク文化を浸透させることが必要になる可能性もあります。
メリット3:時間が節約できる
ビジネスにおいて時間が短縮されることもメリットです。戦略などを考える際にもゼロから思考をする必要はありません。
すでにできている「型」に要素を書き加えるだけで済みますので、スピードが高まります。またメンバー全員が事業の戦略・ゴールを把握していることで、ビジネス全体としても早く進むのです。
ビジネスフレームワークのデメリット
ただしフレームワークにはデメリットもあります。デメリットをどうすれば解消できるか、という視点が大切です。
デメリット1:思考が凝り固まってしまう
フレームワーク内の要素だけで考えをまとめてしまうことで、どうしても思考が固まってしまいます。
とくに新事業を生み出す際などはアイディアスケッチによってビジネスモデルを考える必要もあるでしょう。その際にフレームワークの要素以外を加味する必要も出てきます。
デメリット2:共通言語として機能させにくい
フレームワークはその意味や必要性を理解している方であれば、不自由なく読解できますが、はじめて見る方にとっては「読み取り方」が分からないことがあります。
共通言語として機能させ、コミュニケーションを加速するために事前の認識合わせが重要です。
デメリット3:つくっただけで達成感を覚えてしまう
「beliefs」「ideas」「rules」の説明でも書きましたが、なんとなくで作って達成感を覚えてしまい、フレームワーク埋めることが目的化してしまうのです。
このデメリットを解消するためにも、必ず「課題」に対して自分のアイディアを定義できているか、また解決手段の手順までが構築できているかを意識しましょう。
ビジネスフレームワークは用途別に使う
ここからはビジネスフレームワークにしぼって使い方をご紹介します。ビジネスを進めるうえで、ビジネスフレームワークの名称を聞いた名前を聞いたことのある方も多いでしょう。しかし用途までを理解しておらず、なんとなくで使ってしまうこともあると思います。そこでフレームワークを使う理由、用途をご紹介します。そのうえで目的を達成するために使えるフレームワークの例をいくつか紹介しますので参考にしてください。
ビジネスモデル
戦略を1枚のシート上で確認して、ロジックがつながっているかを確認することは重要です。そのためにフレームワークを使いましょう。いわば「事業計画書」としての機能も持ち合わせているものであり、事業全体の方向性を可視化するために利用します。ビジネスモデル周りでは「ビジネスモデルキャンバス」、「リーンキャンバス」といったフレームワークがあります。
1. ビジネスモデルキャンバス
企業や商品のビジネスモデルを9つの項目でまとめるためのフレームワークです。「顧客」「提供価値」「チャネル」「顧客との関係」「収益」「リソース」「活動」「パートナー」「コスト」を1枚のフレームワークにまとめることで、俯瞰的にビジネスを確認できます。
2. リーンキャンバス
ビジネスモデルより、さらに顧客と提供価値について深掘りをおこなったフレームワークです。アーリーアダプターを設定したり、優位性を確立したりと、短期的に収益化するための要素が含まれています。スタートアップやベンチャーの立ち上げフェーズでよく用いられます。
顧客分析
顧客はビジネスにおける出発点となる存在ですので、最も重視しなければいけません。いくら自分自身で「良い」と思っていても、顧客が価値を感じなければ利用されないでしょう。顧客を分析するフレームワークには「ジョブ理論」や「ペルソナキャンバス」などがあります。
3. ジョブ理論
ハーバードビジネススクールのクリスチャン・クリステンセンが提唱する、「顧客の本質的なニーズ」を考えるためのフレームワークです。顧客の願望や欲求を「ジョブ(仕事)」、商品を利用することを「ハイア(雇う)」として「なぜ購買するのか」を探ります。
4. ペルソナキャンバス
ペルソナキャンバスとはその名の通り、ペルソナを組み立てるために使うフレームワークになります。ジョブ理論によって顧客を分析したのちに、輪郭を濃くすることで、よりチームメンバー全体で顧客の姿を把握できることにもつながります。
マーケティング戦略
顧客が求めていることを知ったうえで競合の特徴を加味し、自社の戦略を定義する必要があります。
最終的に自社のバリューを考えることで「なぜ自社がすべきなのか」を論理的に組み立てられます。
5. STP分析
「セグメンテーション(顧客を分ける)」「ターゲティング(顧客を絞る)」「ポジショニング(競合・代替品と差別化をする)」をするためのフレームワークです。売るべき顧客を絞れるのが大きな特徴になります。またコモディティ化しないために、競合とは違うフィールドで勝負をするためにもSTP分析は非常に有効です。
6. 4P分析/4C分析
4P分析とは「商材(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「「販促(Promotion)」の4つの要素を1つのフレームワーク上に記載して分析するためのフレームワークです。商品を起点として価格や流通経路、販促方法などを考えることで、無駄なく商品を作ることができます。
4C分析とは4P分析の各項目をすべて顧客視点に置き換えたフレームワークのこと。「顧客にとっての価値(Customer Value)」「顧客が費やすお金(Cost)」「顧客にとっての利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」の4つの頭文字をとって名付けられました。「自社で何をつくるか」から「顧客が何を欲しているか」に視点を転換したフレームワークになります。
7. カスタマージャーニーマップ
顧客が自社の商材を利用するまでの動きをまとめるのがカスタマージャーニーの強みです。「認知」から「興味・関心」「比較検討」などを分析します。顧客の動きと活動を把握すると、自社がどのチャネルでどうマーケティングをすべきかが分かるのです。
市場環境分析
市場にはたくさんの競合・代替品がいます。
競合と同じビジネスを後追いで始めたところで勝機はありません。ですので、事前に競合・代替品についてフレームワークを用いて分析しましょう。すると差別化のポイントを把握することもできます。
8. PEST分析
「政治」「経済」「社会」「技術」というマクロの外部環境を分析するためのフレームワークです。これらの要素に自社のビジネスは抗えません。だからこそフレームワークでアウトプットして味方につけましょう。ビジネスの成功に結び付きます。
9. 5forces(ファイブフォース)分析
買い手・売り手・競合・代替品・新規参入者という5つの外部環境を分析するためのフレームワークです。ミクロの外部環境は直接的に自社のビジネスに関わる部分ですので、あらかじめ把握をしたうえで差別化やリスクヘッジに生かしてください。
10. 3C分析
3C分析の3つのCとは「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」になります。3C分析をする目的の1つが自社の優位性をはっきりさせることです。顧客のジョブを満たしつつ、競合との差別化ができたうえで、自社の提供価値を考えるために使いましょう。
11. SWOT分析
企業や商品の「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの要素を分析することで「チャンスを最大化するための行動」「ピンチを乗り切るための行動」などをあらかじめ考えておくためのフレームワークです。あらかじめ用意をしておくことで動き方を決められます。
その他のフレームワーク
ビジネスについてある程度、分析ができると「仮説」が生まれることになります。しかしその仮説を信じて商品・サービスをリリースすることは危険です。もし仮説が違った場合、開発コスト・オペレーションコストなどがすべて無駄になってしまう可能性があります。ですので、リリースの前にα版やβ版をリリースするなどして検証をしましょう。
12. BSC(バランススコアカード)
企業の戦略目標などを評価し、KGIやKPIの策定に結びつけるためのフレームワークです。「財務」「顧客価値」「業務プロセス」「(人材の)学習・育成」の4項目から企業の業績を定義、マネジメントすることで、経営状態を管理し、目標を立てるために使います。
13. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
企業にとって指針となる言葉です。設定することで企業として目指すべきゴールが決まりますし、内外に自社の存在意義や行動指針などをアピールできます。
14. MVPキャンバス
仮説検証をするために使えるフレームワークが「MVPキャンバス」です。MVPとは「Minimum Viable Product(必要最小限の機能をもった製品)」の略になります。新しい機能や商材をリリースする前にはMVPを出して顧客の反応を見ることが必要です。そのうえでMVPキャンバスによって「どんな仮説をどのように検証するのか」を設計しておきましょう。
15. バリューチェーン
バリューチェーンとは、開発や物流、マーケティング、販売などの活動のどの部分で、どのような価値が創出されているのかを把握するためのツールです。競合と比較しながら、自社の強みはどこにあるのか、何が顧客に愛される要因になるのかを考えるために使います。
ビジネスフレームワークで効率的・論理的にビジネスを推進する
今回はフレームワークという言葉の意味から、メリット・デメリット、そして代表的なフレームワークを用途別に紹介しました。
フレームワークを使うことで、集中的に自社ビジネスと向き合うことができ、時短、効率化につながります。ぜひフレームワークで思考整理しながら、ビジネスを進めていきましょう。
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