プロダクト・マーケット・フィット(PMF)ってなに? 概要や設定方法などをご紹介

新たなビジネスを始めるスタートアップフェーズにおいて「ニーズ」と「マーケット」を考えることは成功するために必要不可欠でしょう。最適なニーズとマーケットをきちんと把握して設定しなければ、ビジネスの成功確率はぐんと下がってしまいます。

そこで今回はスタートアップに役立つ「プロダクト・マーケット・フィット」をご紹介。自社事業の顧客ニーズとマーケットを最適化させるために有効な考え方です。スタートアップビジネスの重鎮でありソフトウェア開発者のマーク・アンドリーセン「スタートアップ時に失敗する主な要因は、プロダクト・マーケット・フィットができていなかったからだ」とも言います。それほどまでに大切なプロダクト・マーケット・フィットとは一体どういったものなのでしょうか。

 

 

プロダクト・マーケット・フィットとは

プロダクト・マーケット・フィットを簡単にいうと「自社のプロダクトが顧客にとって最適化されていて、最適な市場に提供されていること」となります。つまり顧客のニーズにしっかり応えられており、そのニーズがきちんと集まるマーケットに自社のプロダクトが置かれていることこそが「プロダクト・マーケット・フィットに到達できている」ということです。

より詳しく説明してするためにプロダクト・マーケット・フィットの1つ前の段階である「プロブレム・ソリューション・フィット」についてご説明します。

 

 

プロブレム・ソリューション・フィットとは

スタートアップ時において最も大切なのが「顧客のどのような悩みを解決するのか」または「顧客のどのような願望を叶えてあげるのか」という問題です。プロブレム・ソリューション・フィットとは直訳すると「問題を解決するための最適な策」。顧客のニーズを確実に掴み、最適な方法で解決する方法を見つけることを指します。プロダクト・マーケット・フィットの前にプロブレム・ソリューション・フィットに到達することが大切です。

もちろん顧客が持つ課題の解決策は1つではありません。たとえばあなたがオンラインショップで洋服を買うとします。専用のアプリを起動する方もいるでしょうし、クラウド上で探す方もいるでしょう。コーディネートを参考にしながら買う場合は、ショッピングアプリではないサービスを活用する方もいらっしゃるかもしれません。各々によって最適なルートは違います。そのなかでも選ばれるようなサービスやプロダクトを作ること。それがプロブレム・ソリューション・フィットとなるのです。

 

 

4つのステップからニーズをキャッチ

顧客の課題を解決してあげるためには、4つのステップからニーズをキャッチする必要があります。

 

1. 課題を検証

まずは顧客の課題を検証します。「あなた自身が課題だと思っていることを、本当に消費者も課題だと感じているのか」について考えなくてはいけません。もちろんサンプルの量によりますが、割合関係なく最低でも12人以上が「絶対に解決したい課題だと感じている」と回答しなければ、そもそものビジネスモデルが間違っているということになります。

 

2. 解決策を検証

次に「これから提示しようとしている解決策は正しいのか」について検証します。ここでも12人以上の方が「絶対にその解決策を必要としている」と回答するのが最低条件になります。

 

3. コミット率を検証

「解決策を開発するプロセスに協力してくれるか」を検証します。この場合は結果のうち5人が手を挙げてくれたなら成功です。その際は連絡先を交換しておきましょう。

 

4. 購買意欲を検証

最後に「コストを費やしてでも買ってくれるのか」ということについて検証していきます。顧客にヒアリングしていきましょう。「どの機能が魅力的なのか」「どれほどの金額なら払えるか」に注目してヒアリングすることで無駄な機能を実装しなくて済みますし、コストと収益のバランスが取れます。

 

 

スタートアップの準備が整ったら

「顧客のニーズを確実に掴み、最適な方法で解決する方法」がプロブレム・ソリューション・フィットだとすると、プロダクト・マーケット・フィットとは「その解決方法が通用する市場を見つけること」です。スタートアップはプロブレム・ソリューション・フィットを設定したうえで、プロダクト・マーケット・フィットを正しく設定することではじめて準備完了となります。

例えばあなたが良質なタコだけを提供する飲食店をイギリスで開いたとします。イギリスではタコは「悪魔の化身」と言われ、ほとんど食べられません。どれだけ美味しいタコ料理を作ったところで繁盛はしないでしょう。

先述したマーク・アンドリーセンは「基本的にプロダクトは機能さえすればいい」と言っています。プロダクトの機能を実装するよりも、最適な市場でビジネスを展開するほうが優先度が高いのです。

ではいったいどのような状態であれば「プロダクト・マーケット・フィットが達成された」といえるのでしょうか。

 

 

プロダクト・マーケット・フィットについてのリサーチ

プロダクト・マーケット・フィットに達しているかをリサーチするためには、3つの方法を駆使しましょう。

 

1. 先行指標調査

おそらく最もポピュラーな方法でしょう。やり方は簡単です。顧客に対して「このサービスが使えなくなったらどう思うか」と尋ねるだけ。その結果、40%以上の方が「残念だ」と答えればプロダクト・マーケット・フィットが成立したことになります。

ただしこの場合は回答者に対してバイアスがかかってしまい、正確な評価が判別できません。

 

2. エンゲージメントのデータを参照する

そのサービスやプロダクトがどれだけ利用されているかを分析します。

例えば雑誌や漫画のネット販売の場合は「1日に立ち読み、または購入したユーザー数」を分析することで、サービス自体がどれだけの方に求められているかを客観的に判定できるでしょう。ただしこの場合はPV数を参考にしてはいけません。

 

3. リテンションカーブを参考に

ローンチ後から現在までの利用ユーザー数を、リテンションカーブを使って分析するという調査方法もあります。ローンチ後、一般的にリテンションレートは下がります。ここからそのまま下がり続けるパターンと、どこかでフラットになるパターンがある。後者ならば「特定のマーケット」でのプロダクト・マーケット・フィットが達成されているということでしょう。

この際は、さらに顧客の年齢や性別などのプロフィールをセグメント化し、それぞれのマーケットについて詳細にリサーチする必要がありません。すると最適な市場が可視化されますので、アプローチの方法をブラッシュアップできます。

 

 

PMFをビジネスモデル全体に落とし込み、かつ継続したリサーチでブラッシュアップをすること

PMFを満たしていることを確認した後はビジネスモデルの全体像を構築していくことが重要になります。特にリソーが少ない企業がビジネスモデル全体を描く際に使えるのがリーンキャンバスになります。リーンキャンバスは顧客セグメントやファンナンスなどビジネスにおいて必要な情報はもちろん、アーリーアダプターや優位性などの項目も入っているフレームワークであり、リソースがない状況でのビジネスモデル全体の構造を効果的に作成できます。

また、PMFを満たしたとしても市場調査はマーケットに動きがあるたびに実践しましょう。事業とは常にニーズとマーケットをファーストにして進める必要があります。調査を怠るといつの間にかニーズに当てはまらないサービスやプロダクトになってしまうことも。なので、ニーズやマーケットや遷移するのに合わせて、常に最適なプロダクト・マーケット・フィットが用意されているかを確認しましょう。

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