
マルチサイドプラットフォームやフリーミアムってなに?「無料」を軸にビジネスを進める方法
あらゆる収益化の構造が誕生し、ビジネスシーンが変容しているなか「無料サービス」や「無料コンテンツ」は、キーワードと言っても過言ではないでしょう。あらゆる企業が「無料」を軸に顧客を増やしています。そんななか注目を集めている言葉が「マルチサイドプラットフォーム」や「フリーミアム」です。
そこで今回はマルチサイドプラットフォームとフリーミアムについてご紹介。「無料化」を軸にどのようなビジネスモデルを描いているのでしょうか。
目次
マルチサイドプラットフォームとは
マルチサイドプラットフォームとは一言でいうと「相互依存の関係にある2つのグループをつなぎ合わせるプラットフォーム」を指します。
Googleは検索プラットフォームを構築して、検索主とあらゆる個人・企業を結びつけています。任天堂やSONYなどはWiiやPlayStationなど、テレビゲームのハード機を通してソフト販売会社と顧客とを結んでいる。この他にもFacebookやクレジットカードのvisa、ウィンドウズのOSなど、あらゆるサービスやプロダクトがマルチサイドプラットフォームを構築し、グループ同士を結びつけることで、収益化に成功しています。
なかでも広く知られているのが、無料広告型のマルチサイドプラットフォームです。
無料広告型のマルチサイドプラットフォームとは
たとえばフリーペーパーのサービスは無料広告型のマルチサイドプラットフォームに該当します。フリーペーパーは顧客にとって無料で手に入るものですよね。「掲載広告」で収益化を果たしています。広告枠を使ってもらうことで、対価を得ているのです。広告を掲載する企業と読者を結び付けるマルチサイドプラットフォームとなります。
フリーミアムとは
無料のサービスやプロダクトを軸にしたビジネスモデルに「フリーミアム」があります。フリーミアムとは「フリー(無料)」と「プレミアム(有料)」とを掛け合わせた造語です。その名の通り、無料サービスを基本として、有料のプレミアムサービスを展開するビジネスモデルとなります。
EvernoteやDropbox、クックパッド、食べログなど、あらゆる優れたサービスがフリーミアムを取り入れています。
フリーミアムの場合、鍵になるのが「どうやって有料会員へ移行してもらうか」。その移行率は10%を超えないといわれています。だからこそ、どこまでの機能を無料化するのか、有料会員になった時にどのようなバリューを提供するのかを見極めなければいけません。
「無料ユーザーにかかる平均コスト」と「無料ユーザーから有料ユーザーへの移行率」の2点について最適な設定をすることで成功確率はグッと高まります。
では実例を挙げながら「誰(CS)に何(VP)をもたらすのか。またどのように(CR)して収益(RS)を挙げるのか。さらにサービスを提供するためにどのような活動(KA)が必要で、そこにどれだけのコスト(CS)がかかるのか。というビジネスモデル単位で考えてみましょう。
音楽配信サービスの「Spotify」はフリーミアムで大きな成功を収めたサービスです。無料でもランダムで音楽をフルサイズで聴けるのが魅力ですが、曲と曲の間に広告が流れたり、スキップできる回数が制限されたりします。プレミアム会員になると音楽をスキップできるのはもちろん、ダウンロードしてオフラインで聴けたり、音質を自分で調整できたりと、かなり自由度が広がるのです。その結果、2017年には無料会員1億4000万人に対して有料会員が6000万人と40%以上のコンバージョン率を叩き出しました。
「広告を見ると30分間無料で音楽を聴ける」という価値(VP)を音楽好きの消費者(CS)にもたらしたのです。また無料ユーザーを有料会員へ移行させることや、一般企業から広告料を得ること(CR)で収益(RS)を挙げています。そのためにSpotifyは、各所の音楽フェスの公式サイトに視聴プラットフォームを設けること(KA)で、効率良く知名度を伸ばしました。
フリーミアムのビジネスモデルキャンバスとは
フリーミアム型のサービスやプロダクトを構築する場合、どのようなことに注目しながらビジネスモデルキャンバスを書くべきなのでしょうか。各項目ごとに説明してしていきましょう。
顧客セグメント(CS)
大量の無料ユーザーと少ない有料ユーザーに分かれます。ユーザーは基本的には無料でサービスを利用できますが、お金を払うと追加オプションとしてプレミアムサービスを利用できます。
顧客との関係(CR)
無料サービスを基本としているので、大量の顧客に利用されることが予想されます。「自動化」で顧客とコンタクトを取れるような仕組みを構築しリソースを節約しましょう。
価値提案(VP)
無料の基本サービスと、プレミアムサービスの2種類に分かれます。
主要活動(KA)
フリーミアムにとって最重要な資産はプラットフォームです。プラットフォームの品質によって無料の基本サービスを提供する際の追加コストを低く抑えられます。
コスト構造(CS)
フリーミアムのコスト構造は3つに分かれます。「固定費」と「無料ユーザーにかかるコスト」、「有料会員にかかるコスト」です。
収益の流れ(RS)
無料の基本サービスから有料のプレミアムサービスに移行する流れを考えましょう。ここでのコンバージョン率が収益に大きく関わってきます。
「無料」を軸にしたビジネスモデルを構築
あらゆるサービスやプロダクトが「無料」で利用できる時代になっています。顧客を集めるうえで「無料」を軸にしたビジネスは有効でしょう。しかし繰り返しになりますが「どこで収益化するのか」「どのくらいのコンバージョン率を目指すのか」など、きっちりと戦略を練ることが大切になってきます。
そのうえでビジネスモデルキャンバスを用いて、明確なビジネスモデルを構築することは欠かせません。
