
ブランディングデザインとは?言葉の意味や必要な理由、成功事例を紹介
長年、ビジネスの鉄則といわれてきた思考法が「ロジカルシンキング」でした。
事業を進める際にも、新規事業を始める際にも論理的な思考を働かせることが求められています。しかし現在、ロジカルな思考だけでは顧客に愛着を持ってもらえなくなりました。そこで流行しているのが「デザインシンキング」になります。デザインシンキングについては以下の記事をご覧ください。
クリエイティブな思考で、顧客の心をキャッチすることが求められ始めたのです。なかでもCI(コーポレートアイデンティティ)やVI(ビジュアルアイデンティティ)などの視覚的なブランディングデザインは重要性を増しています。
今回はブランディングデザインの概要や、必要な理由、成功した企業の事例などをご紹介しましょう。
目次
ブランディングデザインとは
ブランディングデザインとは「自社そのものや推進中のサービスやプロダクトのアイデンティティを表すためにデザインされる視覚的な情報」のことをいいます。例を出すならば企業のロゴやコーポレートカラー、ホームページのデザイン、グッズデザイン、企業の紹介動画などです。
ブランディングデザインを設定する目的は、ビジュアルを通して自社や商材のストーリー、信念などを伝えることにあります。企業のステートメントやクレドなどを意識したうえで作成することで、企業として何を目指しているのか、またどのような価値を提供するのかを、顧客や協力会社などの外部の人間はもちろん、社員にも発信しているのです。
ブランディングデザインを重要視すべき理由
ではなぜ、現在ブランディングデザインが重要視されているのか。その理由を語るためには1950年代からマーケティングの歴史を紹介する必要があります。
1950年代当時、さまざまなプロダクトがシンプルな機能しか搭載しておりませんでした。家電のスイッチは1つしかなく、顧客は利便性を感じながら使っていたのです。そこからテクノロジーは発達し、1つの製品に対してさまざまな機能が搭載されるようになります。ボタンの数が増え、カラーバリエーションが増えました。そんななか、だんだんと顧客は使いにくさを感じるようになりました。
企業としては利便性を高めているつもりでも、ニーズとはかけ離れてしまったのです。
そこで重視されるようになった言葉が「ユーザビリティ」です。例えばApple社のiPhoneシリーズは当初シルバーだけに統一され、データをもとにして顧客が最も使いやすい形を追求して作られました。
機能の追加に一所懸命になっていた企業は一転、ユーザビリティを重視するようになります。IoTやAIで手に入れた顧客データをもとに、ロジカルシンキングで使いやすいデザインを考えるようになりました。
その結果、サービスやプロダクトはどうなったのか。差別化ができなくなったのです。論理性を意識して作られた製品は画一化してしまい、顧客にスペシャリティを与えることができなくなりました。
そこで重要になったのがデザインシンキングです。数字をもとにして顧客に価値をもたらすだけではなく、顧客のエモーショナルな部分に働きかけるような考え方が重要になりました。企業のマインドやストーリーを伝え、ただ単に「使いやすさ」だけではない部分で差別化を図ることが求められるようになったのです。
文章ではなくビジュアルが求められている
また現在、ビジュアルでの訴求が流行っている理由に「文章を読む習慣がなくなっている」ということも挙がります。書籍のコンテンツが動画に変わり、情報は数百文字のSNSで知るようになった現在、画像や動画での訴求が重要視されるようになったのです。
特にBtoC、なかでも若者向けのサービスやプロダクトの場合、ブランディングデザインは必須だといえるでしょう。
ブランディングデザイン変更の成功事例
ブランディングデザインとして最も印象的なのは企業のロゴでしょう。ロゴのデザインは企業のアイデンティティを表すものなので、ビジネスモデルの変更など経営の根幹にかかわる出来事が起きた際には、新しいモデルを表すものに変更がなされます。
株式会社明治
例えば株式会社明治は、2009年の4月1日に明治製菓と明治乳業が統合をしたのを機にロゴデザインを統一しました。それまで明治製菓は「Meiji」明治乳業は「MEIJI」という表記だったのですが、統合後は「meiji」という小文字のデザインに変わっています。
丸みを帯びさせることで、ミルクの柔らかくあたたかい質感を表しているほか「iji」を人が寄り添う姿に見立て、食品メーカーのとしての安心感を演出しています。まさに企業理念である『「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆく』という言葉を体現しており、ブランディングとして成功している例です。もちろん統合などの大きな変更がなくとも、ロゴが見直されることもあります。
参考:http://qa.meiji.co.jp/faq/show/59?site_domain=default
SHIBUYA 109
例えば株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが経営する「SHIBUYA 109」は2018年の7月に一般公募でロゴの見直しをしました。9,537案から最終4案までを企業内で絞り込み、ユーザーの投票で決定するという企画で、新ロゴはピンクから紫のグラデーションカラーを取り入れた現代の若者らしいデザインになりました。Instagramのカラーリングに近しいものを感じます。若者参加型のロゴ変更ということで「若者の今を輝かせ、夢や願いを叶える」という企業理念があらわれているといっていいでしょう。
参考:https://www.shibuya109.jp/contents/109logo/
ブランディングデザインはビジネスモデルの深堀りから
事例を見ても分かる通り、ブランディングデザインをつくるのは、自社のミッションやビジョン、企業理念を含めたビジネスモデルを深堀りするところからスタートします。そのためにおすすめしたいのがフレームワークを使うことです。
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