COSMOSNET(帝国データバンク)のビジネスモデル、業界首位の秘訣とは

帝国データバンクと聞いて何を思い浮かべますか?企業情報を提供している会社だとわかる方は日頃から営業や総務業務などに携わっていることでしょう。あまり馴染みのない方には、テレビニュースで毎月流れている倒産発表の情報を調べている会社だと言えばぴんと来る方も多いのではないでしょうか。

今回は信用調査会社である帝国データバンクが提供するインターネット企業情報サービス「 COSMOSNET」についてフォーカスしていきます。

 

 

帝国データバンクとは?COSMOSNETとは?

帝国データバンクは1900(明治33)年3月に創業し、現在は東京都港区に本社を構える信用調査会社です。従業員は3,300名、直近の売上高は543億円(2021年9月期)と業界トップを独走しています。元々は帝国興信社として創業し、1981年に現在の商号に変更しています。また米国ニューヨークに現地法人を設立したり、M&Aサービスの専門子会社を立ち上げるなど、本業に関連する事業を子会社として多く設立しており、自社グループ内で包括して商取引を円滑に進める様子がうかがえます。

COSMOSNETの母体となる企業情報オンラインサービスは1983年(昭和58年)にリリースされました。インターネットの発展とともにサービスは拡大、現在では帝国データバンクが保有する国内外の企業情報データベースや連携するサービスにワンストップでアクセスできるサービスに成長しました。ライバルサービスは東京商工リサーチが提供するtsr-van2ですが、どのような面で特色があるのでしょうか。

 

 

COSMOSNET(帝国データバンク)のビジネスモデルキャンバス

帝国データバンクのオンライン企業情報提供サービス、COSMOSNETについて、ビジネスモデルキャンバスで表していきます。

 

1. 顧客セグメント

商取引を行うほぼすべての法人企業が顧客になり得ます。また帝国データバンクが提供する信用調査レポートや企業概要情報は、取引先がきちんと売掛金を支払ってくれるかを図る与信管理がベースとなっています。したがって、取引先数が多くなればなるほど自社で取引先をすべて管理することは難しくなります。取引先数が多い企業ほど、COSMOSNETの潜在的なユーザーになりやすいともいえます。

 

2. 提供価値

帝国データバンクが創業以来こだわっているのは、現地現認です。全国に配備されている調査スタッフが現地調査で得た精度と鮮度の高い情報を収集していることが価値の源泉といってよいでしょう。またオンラインサービスとして24時間365日、いつでもアクセスできることが挙げられます。

 

3. チャネル/販売

  • オンライン

オフラインで収集した企業情報データベースを、すべてオンラインで取得できるように設計しています。コロナ禍において取引先へ気軽に訪問できなくなった現在、このようなサービスは貴重です。

 

4. 顧客との関係

  • セミナー
  • メールマガジン
  • モニタリングサービス

少額からスタートできるサービスのため、細かなサポートというよりも接点をさまざまな形でもつように設計されている印象です。たとえばTDBカレッジ、という与信管理だけでなく、データマネジメントや営業組織なども学べるウェブサイトが用意されています。

信用調査レポートの読み方や決算書の見方など、顧客になりたての方に向けた基本的なウェビナーも用意されています。
そのほかCOSMOSNETのサービスで企業を定点観測するモニタリングサービスがあります、あらかじめ取引先を登録しておくことで、当該企業に何かしらの情報変更があった際にメール通知が届くサービスです。これを活用することで、定期的にサービス利用を促すことができます。

 

5. 収益の流れ

  • 月額最低利用料(3,000円〜)

各コンテンツ利用料金(5〜30,000円)

2つの料金体系があり、ひとつは利用料、もうひとつは従量課金の各コンテンツ利用料です。月額最低利用料は3,000円からとなっていますが、実際のデータ閲覧と相殺されるため、毎月3,000円以上の情報を閲覧する場合は、利用料は実質無料となります。

 

6. 主要な資源

  • 企業情報の収集

提供価値でも記載しましたが、120年超続いてきた信用調査業務で積み上げてきた情報や信用は並大抵ではありません。日々、全国の企業に訪問して生の情報を仕入れる調査スタッフ、そしてそれを支える方の力がなければ、帝国データバンクのビジネスは成り立ちません。

 

7. 主要な活動

  • 従業員の大半を占める調査スタッフ

全従業員3,300名のうち、約1,700名が調査取材部門の人員だと公式ホームページに記載があります。

 

8. 主要パートナー

  • Bureau Van Dijk社
  • 各国トップレベルの調査会社
  • ダイヤモンド社
  • ジー・サーチ

COSMOSNET上で連携している企業が挙げられます。Bureau Van Dijk社はオランダ・アムステルダムに所在するデータプロバイダーで、全世界の上場企業・非上場企業や金融機関の情報を収録したデータベースの開発販売を行っています。ほかにも中国・香港・マレーシアなどアジアの特定国では直接、海外信用調査レポートを提供しています。

また新聞記事や役職者情報など自社でのアプローチが難しい分野は提携という形でカバーをしており、たとえば企業名で過去の新聞情報を横断検索することができます。

 

9. コスト構造

  • 人件費
  • システム開発・保守費
  • パートナー会社への手数料

信用調査会社の資産は情報(無形資産)、のため一般管理費はシステム費用や人件費が多くを占めています。

 

 

COSMOSNETの強みは、長年培った信用と全国に配備する調査スタッフ、いつでもアクセスできる利便性

COSMOSNETの強みは、創業から120年大きく変わらないビジネスモデルによって、信用情報が集まってくる仕組みができあがっていること、そして全国83箇所に配備された事業所から日々調査スタッフが各企業の取材をして鮮度の高い情報をアップデートする現地現認主義、そしてその情報をいつでもどこからでもオンラインで企業データベースにアクセスできる仕組みが、相互に作用しているように感じます。

非上場企業のため、決算書の詳細は公開されていませんが(全国の企業の決算書を保有して販売している企業が詳細財務非公開なのは少しおかしいですが)、決算公告を見る限り業容は堅調に推移しているようです。

 

 

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