ビジネスモデルキャンバス

ひげ剃りもサブスクリプション! Dollar Shave Clubはなぜ1000億円もの価値がついたのか

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2012年の創業からサブスクリプションでのひげ剃りの替え刃の定期購入サービスをスタートしたのが「Dollar Shave Club」です。寡占市場に革命を起こすサブスクリプションモデルで、多くの登録者を集め、2016年7月に生活用品メーカーのUnileverに約1,000億円で買収されました。

Dollar Shave Clubは、なぜスタートアップとして成功を収めたのでしょうか。Fender社やスターバックス社、airClosetなどに続いて、今回は「Dollar Shave Club」のサブスクリプションモデルを、ビジネスモデルキャンバスを使ってご紹介します。

 

 

ひげ剃り業界は圧倒的な寡占市場だった

1900年代の初頭にGilletteとSchickが創業され、それぞれ2000年代のはじめにEdgewellとP&Gが買収しました。これまでのひげ剃り市場の現状として、2社で市場の8割を支配するという寡占状態だったことが前提にあります。

寡占になった理由としては、まさに「Razor & Blade型のモデル」だったことが挙がるでしょう。Razor & Blade型モデルとは簡単にいうと「消耗品と耐久消費財とを掛け合わせて販売するモデル」です。ひげ剃り本体と替え刃をセットにして売ることで、顧客をしっかりとキャッチできます。つまり新規の企業が参入しにくく、リーディングカンパニーが長く市場を支配する構図ができあがりやすいのです。

Dollar Shave Clubは発想を転換し、サブスクリプション型のモデルで市場に乗り込みました。「手軽に始められて、いつでも辞められる」と、消費者の参入ハードルを下げたことで、多くの顧客を獲得したのです。2012年の創業から4年で会員数は320万人、年間売り上げは220億円まで成長しました。

 

 

Youtubeというオンラインチャネルで市場に”殴り込み”

実はひげ剃りの市場に他者が入れなかったのには、Razor & Blade型モデルだったこと以外にも理由があります。GilletteとSchickが頻繁にテレビ広告を打ち出したり小売店の棚を買い取ったりしていたので、単純に他者が入る隙間がなかったのです。しかしDollar Shave ClubはYoutubeを使って現状を逆手に取り、強烈なメッセージを2社と消費者に送りました。

「なぜ髭剃り業界に新規参入企業が出てこなかったのか。GilletteとSchickが年間1,000億円の広告費を使い、小売の棚を確保するために莫大な棚代=販売奨励金として小売に払ってきたからだ」と市場の現状を痛烈に暴露し「10枚刃が必要? 祖父の時代は1枚刃だったよ。Gilletteが値上げしたいから、無駄に刃の数が増えているんだ。賢い金の使い方をしたい方は、Dollar Shave Club.comまで」と消費者に訴えかけたのです。

いわゆる「Fワード」も連発するこの動画は、強烈なインパクトともにDollar Shave Clubの名を消費者の頭に残しました。反響は凄まじく、リリース後の2日間で1万2,000人もの会員数を集めたのです。リリースから7年後の現在でも再生回数は約2,600万回といまだに視聴数を伸ばしています。

 

 

日本版「Dollar Shave Club」は、なぜ失敗したのか

Dollar Shave Clubのビジネスモデルをそのまま日本に持ち込んだ事業に「Tokyo Shave Club」がありました。しかし売れ行きは伸び悩み、2018年の5月に撤退しています。主な失敗要因として挙がるのが「初期のプロモーション」でつまづいたことです。

Dollar Shave Clubは先述したように最初のプロモーション動画で強烈なインパクトを残し、新規顧客を大量にゲットしました。しかし競合(しかも古豪)を痛烈に批判する様は日本では受け入れられないと考えたTokyo Shave Clubは「ひげ剃りの刃を買い換える必要性」などの豆知識系のコンテンツで訴求するに留まってしまったのです。結果、思ったように新規顧客を得られずに、そのまましぼんでしまいました。

 

 

ビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスで解説

では寡占市場に風穴を空けた、Dollar Shave Clubのサブスクリプションサービスをビジネスモデルキャンバスで解説しましょう。

 

1. 顧客セグメント

メインの顧客は高価なひげ剃りに価値を置いていない方でしょう。また登録ユーザーのビッグデータ売買にもつながります。

 

2. 提供価値

社名のように「1ドル払えば替え刃が届くコストの安さ」が提供価値です。また自社で企画、製造、販売しているので、他のサイトなどでDollar Shave Clubのひげ剃りや替え刃を買うことはできません。

 

3. チャネル/販路

YoutubeやSNS広告などが最も大きいチャネルでしょう。昔ながらの大手がテレビなどで広告を打っているのに対して、Dollar Shave Clubはネット広告に力を入れているようです。

 

4. 顧客との関係

替え刃はどちらにせよ毎月のように買うものです。サブスクリプション化することで、顧客からしたら単純にコストだけを下げられます。また好きな時に解約できるのも、顧客にとってはメリットです。

 

5. 収益の流れ

2枚刃だと1ドル、4枚刃だと6ドル、6枚刃だと9ドルの月額契約料が主な収益です。今後はUnileverを通してビッグデータでの収益も期待できるでしょう。

 

6. 主要な資源

サービスサイトや32万人以上の登録者製品を保管する倉庫、配送システムなどが主なリソースになります。

 

7. 主要な活動

ダイレクトtoコンシューマー(D2C)モデルなので、商品の企画から製造、販売と1社で完結しているのが特徴です。この他にデータの管理やカスタマーサポートなどの活動が主要なものでしょう。

 

8. 主要パートナー

親会社であるUnileverがメインパートナーです。その他、製造工場や配送会社などもパートナーに入ります。

 

9. コスト構造

製造や配送までのコストがかかるでしょう。また広告料もかかります。サーバーの保守を含めたサイトの運営費も主なコストになります。

 

 

今後はオフラインでの小売りを進める可能性も

親会社であるUnileverは生活用品全般を販売しており、日本でも有名な企業です。しかし買収するまではひげ剃りの製品は扱っていませんでした。1,000億円という多額のコストを割いてDollar Shave Clubを買収した背景には、本格的にひげ剃りの販売に乗り出す構えであることが予想されます。

巨大な母体であれば、GilletteとSchickが占拠している小売店舗の棚にもDollar Shave Clubの格安な製品が並ぶ可能性もあります。今後の動きにも注目したいところです。

今回はDollar Shave Clubのサブスクリプションモデルをビジネスモデルキャンバスを用いて解説しました。ビジネスモデルキャンバスを利用すると、自社だけではなく競合他社のビジネスモデルまでを細かく分析できます。自他の強みや差別化できているポイントなどがより鮮明に見えてくるでしょう。

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