
STP分析のやり方をジャンプルーキーの事例で解説
STP分析とは「セグメンテーション」「ターゲット」「ポジショニング」の3つを通して、売るべき顧客を決め、差別化をするためのフレームワークです。当然、ターゲティングやポジショニングはビジネスを成功させるために必要不可欠な要素。真っ先に設定をしなくてはいけません。
しかし、作り方が分からずに困っている方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は集英社のサービス「ジャンプルーキー」を例に挙げて、STP分析の作成方法をご紹介します。
目次
STP分析とは
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングによって売るべき顧客と、競合との差別化を図るフレームワークがSTP分析です。3つの頭文字を合わせてつくられた言葉になります。
セグメンテーションは、市場の細分化を意味します。市場にはさまざまな顧客がいます。そのなかで、性別や年齢などのプロフィールやニーズなどを起点に細かく区切る段階です。
ターゲティングはセグメンテーションした後の市場のなかで、自社の商材を売るべき顧客を決定していきます。売るべき層をフォーカスして商材の性格を作らねばいけません。
ポジショニングは他社との差別化です。競合の提供価値を分析したうえで、自社の強みを構築していきましょう。ポジショニングマップを作って、具体的に図解するのも一つの手です。
顧客と競合は、ビジネスを進めるうえで最も重要な存在になります。顧客のニーズに対応しなくては商材の価値も生まれません。また競合と差別化しなくては顧客を獲得できない。STP分析を使ってビジネス戦略をすることで、マーケティングの第一段階ができます。
漫画界に革命を起こした「ジャンプルーキー」とは
ジャンプルーキーは、週刊少年ジャンプを発刊する集英社が仕掛けたイノベーティブなサービスです。従来、漫画家になるためには「漫画賞を受賞する」「出版社の公募に応募して表彰される」などのきっかけで週刊誌や月刊誌に載り、評判が良ければ連載が始まる。といったハードルの高いものでした。
連載がもらえない間はアルバイトなどをしながら、下積み時代を過ごさなければいけません。ともかく連載をしなければ、漫画でお金を稼ぐことはできなかったのです。
ジャンプルーキーは、そんな現状に一石を投じました。漫画家を目指す方はWebプラットフォームに自由に漫画を投稿できます。投稿された作品を最後まで読むと広告が表示され、広告収益はすべて漫画家に還元されます。読者数が増えるにつれて、より多くの収益を得られる仕組みです。またWeb上のランキング上位の作品は、集英社が主催する「少年ジャンプ」や「ジャンプ+」に掲載され、デビューができます。
読者と漫画家との距離が近いことも、サービスの特徴です。読者はレビューを送れますし、作者は読者とコミュニケーションを取れます。クリエイターとの距離を近づけることで、ファンを増やせる。そのまま「少年ジャンプ」「ジャンプ+」に移るので、読者を本誌まで誘導でき、集英社側にもメリットがあります。
集英社としての収益は、少年ジャンプなどに掲載された後に発生します。また何より若い才能を発掘できるのがメリットです。
ジャンプルーキーをSTP分析で解説
では、このイノベーティブなビジネスモデルをSTP分析で解説します。
1. セグメンテーション
日常的に漫画を読む層のなかで、セグメンテーションをします。単行本を日常的に買う方、通勤中にスマホでマンガを読むビジネスパーソン、普段からネットカフェを利用する層、SNSでクリエイターをチェックしている層、ジャンプを購読している層など、細かく分けていきましょう。
2. ターゲティング
そのなかでも「ジャンプルーキー」の読者層に合うターゲットを絞りましょう。ジャンプルーキーの魅力は作者との距離が近いこと。「売れる前の作者を応援することに価値を感じるイノベーターであり、漫画に詳しく普段からチェックしている方」がターゲットになります。
3. ポジショニング
他社のWebマンガは、一般的に既に週刊誌などで連載している漫画を連載しています。まだ世に広まっていない漫画家の才能を発掘できるのがジャンプルーキーならではの価値です。また著者と読者がコミュニケーションを取れるのも他のサービスにない魅力になります。また評価が高い作品は、少年ジャンプに連載される。ファンとしては漫画家のサクセスストーリーを追いかけられるのです。
STP分析の無料テンプレートあります!
今回は、従来の漫画出版社のマネタイズの手法、また漫画家の働き方を変えた「ジャンプルーキー」を事例に挙げて、STP分析のつくり方をご紹介しました。STP分析によって、顧客のターゲットを明確化できますし、差別化の設定もできるのが魅力です。
STP分析はBizMakeから無料で作成できます。その他にもビジネス設計に役立つフレームワークを多数ご用意しておりますので、現状のビジネスモデルの見直しや競合の分析、また学習ツールとしてもご活用ください。
