PEST分析をプリクラ業界の事例で紹介、1社だけが成功した理由とは

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かつて、大ブームを巻き起こしたプリント倶楽部、略して「プリクラ」。1996年に誕生し、アイドルグループを使った広告戦略が功を奏して、市場規模は一気に拡大、1997年には1,000億円以上もの年間売上高を記録しました。

しかし翌年には売り上げも半減。それから人気は下火になり、スマホアプリが一般化するにつれて、倒産・撤退するメーカーも見受けられ、2017年現在で年間売上高は約220億円。時代とともにバンダイナムコアミューズメントやセガサミーグループのアトラスなどの大企業も撤退を余儀なくされた結果、台数も減少し、市場規模も縮小しています

2018年には最大手だったメイクソフトウェアも倒産。そんななか唯一安定した経営を続けているのがオムロン源流の「フリュー株式会社」です。業界シェア率はなんと9割に上ります。ではフリュー株式会社はどのようにして、プリクラメーカーの業界を勝ち抜いているのでしょうか。

今回はプリクラメーカーの業界をPEST分析で解説します。PEST分析のつくり方が、理解できていない方はぜひご覧ください。

 

 

そもそもPEST分析とは?

PEST分析とは、ビジネスのマクロの外部環境を分析するツールです。「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4つの要素の頭文字を組み合わせてできた、ビジネスフレームワークになります。

なぜ必要なのでしょうか。それはマクロな外部環境の変化はビジネスに大きな変化をもたらすからです。

例えば、法律が変わると、新たなビジネスの可能性が出てきます。逆に成長可能性が止まってしまうこともある。景気によって商材の単価を買えなければいけません。また採用にも大きな影響をもたらすでしょう。市場のトレンドもそうです。自社の商材の機能やデザインを寄せなければいけません。新たなテクノロジーが開発されることで、自社の商材の機能に追加できる可能性がありますし、逆に他社に先手を取られるかもしれない。

以前に比べて、政治・経済・社会・技術の4つが変化するスピードは速まりました。いつ自社のビジネスモデルが脅かされるか分からない時代だからこそ、あらかじめマクロの外部環境を把握しておく必要があるのです。そのうえでPEST分析は役に立ちます。

詳しくは以下の記事からご覧ください。

 

 

プリクラ業界が衰退した理由

では今回のテーマであるプリクラ業界に話を戻します。市場規模が縮小した理由は、各メーカーが倒産・撤退してしまったからと先述しました。では、なぜ業界は衰退してしまったのでしょうか。具体的には3つの理由が挙がると思われます。

 

1. スマホアプリの流行

2002年ごろから、プリクラは「いかに美しい写真を提供するか」に重きを置くようになりました。メインターゲットである中高生の女子は、まだメイクする回数も少ない。またきれいな女性芸能人へのあこがれも強い年代です。そこでメーカー各社は「かわいく撮れる」というニーズを満たすような機能を実装しました。しかし現在、「SNOW」や「Snap Chat」などのアプリが流行したことにより、女性が美人に映る(盛れる)写真を簡単に撮影できるようになりました。プリクラでわざわざお金をかける必要がなくなったのです。

 

2. SNSと自撮りの流行

プリクラが流行っていた当時、女子中高生はもれなく「プリ帳」を持っていました。友だちと撮ったプリクラを手帳に貼ることで、交友関係の広さをアピールしていたのです。しかしSNSが広がるにつれて、プリ帳はTwitterやInstagramに代用されるようになりました。友達と2ショットで自撮りをしてSNSにアップすることで、プリクラを撮る必要性がなくなったのは確かです。

 

3. 少子高齢化

少子高齢化によってコアターゲットである女子中高生の数は、減少しています。今後はさらに拍車がかかるでしょう。各メーカーは長期的に売り上げを伸ばせないと判断し、早めに撤退を決めたのです。

ではこれらの要因を踏まえて、プリクラ業界をPEST分析で解説していきましょう。

 

 

プリクラ業界のPEST分析

プリクラ業界のpest分析

1. 政治Politics

法律的な問題でいうと「男性のみの利用禁止」があります。これは法的には差別に当たらず、痴漢や盗撮、ナンパなどのおそれがないので、女性は利用しやすいでしょう。また少子高齢化を改善する政治的な措置が取られる可能性はあります。もし今後、若者が増えればプリクラの需要も伸びるかもしれません。

 

2.経済Economy

プリクラ産業の市場規模は、スマホアプリやSNSの流行に従って縮小しています。多くの企業は撤退しましたが、逆にいうと寡占市場になっており、多くのパイを獲得できる状況です。

 

3.社会Society

プリクラを利用する10代から20代の女性がネットにアップする写真は、スマートフォンで加工したものがほとんどです。Instagramの流行によって、その傾向はさらに強まりました。自身がかわいい、美しいと思った自分の容姿を共有するのがトレンドです。むしろこのトレンドはプリクラによって生まれた可能性もあります。

 

4.技術Technology

無料スマホアプリの開発、また画像加工の技術が高まり、誰でも簡単にかわいい写真や、美しい写真を撮れるようになりました。もちろん、プリクラ機も多機能になっており、音楽が流れる背景を透過できる。顔認証によって、画像加工の種類を選べるなどの楽しみ方が生まれています。

 

 

PEST分析で分かったフリュー株式会社が1人勝ちできた理由

経済の状況を見ても分かる通り、プリクラ業界は寡占市場になっています。なかでも事業利益を出せているのはフリュー株式会社だけだといわれています。

先述した通り、他社はプリクラの今後の成長がないと見限って撤退をしました。その理由は少子高齢化であり成長可能性が見込めないということ。また、スマホを競合とみなし、勝ち目がないと悟ったことなどです。

フリュー株式会社は、他社とは違う戦略で勝機を見出しました。

まず1つは「スマホとの共存」を選んだことです。例えば、大人気のプリクラ機「#アオハル」を見てみましょう。

#アオハルは従来型の機会とは違い、カメラの位置を自在に動かせます。スマホの自撮りに近い方法で写真を撮れるのです。またカメラの下にスマホを設置でき、楽しく撮影している風景を動画で保存できます。さらにひと昔前のポラロイドカメラのようなシールは、半透明であり、裏側が透けて見えます。スマホの画像加工アプリを駆使して、デジタルで好きな背景を組み合わせてSNSで共有できるのです。

また「スマホの自撮りとの差別化」にも成功しています。

最大15人が入れる大きなスペースがあるので、大勢で集まった際にも1人ひとりの顔がはっきりと分かります。またシール自体やポーズを「SNS映えする」と謳うことで、プリクラを撮る価値を作り出しています。また根本的な価値として、高画質であるという点はスマホにはない魅力です。

このようにフリュー株式会社はスマホとの共存、そして優位性の担保がとてもうまくできています。またターゲットである10代から20代の女性の自己承認欲求も満たしている。ニーズに沿ってプリクラの価値を押し出すことで、多くのユーザーに支持されているのです。

 

 

フリュー株式会社の戦略を4P分析で解説

フリュー株式会社の4p分析

では、以上のフリュー株式会社の戦略を4P分析で解説します。4P分析とは「商品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販売促進(Promotion)」の4つの要素で自社の取り組みを設定するフレームワークです。

フリュー株式会社はターゲットである10~20代の女性のニーズに応えるために、どのような4Pを設定しているのでしょうか。

 

1. 商品Product

商品はプリクラ機です。ニーズに対応するために「スマホを併用しやすい機能」を付随しています。またスマホカメラにはできないプリクラならではの機能を搭載しているのも特徴です。

また「PiCTLINK」というプリクラ専用のSNSプラットフォームを構築しています。「PiCTLINK」に登録すると、プリクラをダウンロードできるほかプラットフォーム上で自分の写真を共有できます。ユーザーにとっては自分のポーズがバズる可能性もあり、自己承認欲求を満たせるのです。そこでは広告の記載主を募集しています。10代の女性をターゲットにしている企業にとって「PiCTLINK」は無駄なく宣伝ができる魅力的な場所です。

 

2. 価格Price

価格は1回400円と他社の機器と同じで設定しています。また「PiCTLINK」は、月に300円の会員登録料が発生します。

 

3. 流通Place

ゲームセンターなどに出向き、プリクラの機器を使わなくてはいけません。これもスマートフォンとの差別化につながります。プリクラ機はもはや、400円で写真を撮れる場所ではなく、空間のなかで音楽を聴きながら友だちや恋人と写真を撮れるテーマパークのような存在です。

 

4. 販売促進Promotion

フリュー株式会社の公式Instagramには91万8,000人ものフォロワーがいます(2019年9月10日現在)。画像としてモデルを用いてプリクラの写真をアップすることで、広告になっています。またフォロワーに撮り方をレクチャーする役割も担っているのです。自社のプリクラ専用のSNS「PiCTLINK」によって、ユーザーは頻繁に購買欲求を刺激されます。

 

 

PEST分析はBizMakeから無料でつくれます!

PEST分析によって、追加する機能性や価値を決めることができます。20年前はプリクラの需要がここまで衰退することは考えられなかったでしょう。しかしスマホが登場し、プリクラならではの価値がなくなるにつれて、プリクラ業界は瀬戸際に立たされています。PEST分析によって、外部環境のこれからの変化までを予測できます。

今回はプリクラ業界についてPEST分析で解説しました。PEST分析のほか、BizMakeでは18のビジネスフレームワークを使えます。ぜひ自社の戦略・設計にお役立てください。

 


 

 

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