Spotifyの事例でカスタマージャーニーマップの作成方法を紹介【テンプレートあり】

音楽配信サービスは現在、世界中で日常に必要なものになりつつあります。2020年末には2019年比で25%以上成長し、4.5億人にまで成長している巨大な市場です。電車のなかでも町を歩いている際も、トレーニングをしている際も、多くの方々が耳にイヤホンをつけて生活しています。

なかでもユーザーシェア35%を保持しているのがスウェーデン発祥のサブスクリプション型・音楽配信サービスである「Spotify」です。Spotifyは2016年に日本でリリースを果たしてから、現在まで右肩上がりでユーザーを伸ばしています。

今回はそんなSpotifyのカスタマージャーニーをご紹介。想定ユーザーはどこで認知を得て、情報を提供し、購買まで至るのでしょうか。またどのようにロイヤルへのステップを駆け上がっていくのかについて掲載します。

なお、Spotifyの全体的なビジネスモデル解説や4P分析に関しては以下の記事をご覧ください。

 

 

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは顧客が自社の商材をどう認知して、競合も含めてどうリサーチ・比較検討をして、購入に至るのか。また購入後にどのような遷移をするのか、という顧客の行動の推移を可視化するフレームワークです。カスタマージャーニーを分析することで、自社がどのチャネルを使って、何をどう訴求をすべきなのかが分かります。

 

カスタマージャーニーマップをつくる際は必ずペルソナを設定する

カスタマージャーニーマップを構築するうえで、事前にペルソナを設定することが必要です。そのうえでまずは「顧客のジョブ」を考えましょう。「ジョブ」とは顧客がある状況下において「なすべき用事」や「解消したい不安」「満たしたい願望」などを指す言葉です。「ジョブ」については以下の記事を参考にしてみてください。

そのうえでペルソナを考えます。ペルソナを分析するために使えるフレームワークがペルソナキャンバスです。ペルソナキャンバスはジョブを加えた視点で、顧客のプロフィールを細かくまとめられるフレームワークになります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

では今回の事例であるSpotifyのビジネスについてご紹介しましょう。

 

 

Spotifyの音楽配信サービスの特徴とは

まずはSpotifyのサービスとその特徴について紹介します。Spotifyはサブスクリプション型の音楽配信サービスです。Apple MusicやLINE MUSIC、(Amazon)Prime Music 、YouTube Musicなどが主な競合になります。

2016年にSpotifyが日本でリリースしてから4年後の現在まで、業界は変化をしてきました。特に大きな変化はYouTube(Google)やAmazonの参入です。AmazonはPrime会員といって、定額で通販の無料配送や動画サブスクリプションサービスなどを、YouTubeは動画のプレミアム機能などをバンドル化して提供しています。同じ月額利用料でも提供価値はより大きくなっているわけです。

そんななかSpotifyはいまだにシェア1位を守っています。どの部分に力を入れて、特徴を作り上げているのでしょうか。

 

フリーミアム

フリーミアムでのサービスが大きな特徴の1つです。ただ音楽を聴くだけならSpotifyは無料でも使えます。ただし無料プランの場合はシャッフル再生ができません。また定期的に広告が流れます。フリーミアムの機能を拡充させることで、ユーザーは有料登録前にある程度の操作性などを体感できますし、企業からの広告という新たなマネタイズにも成功しているのです。

 

音楽フェスとの濃密な連携

2020年は新型コロナウイルスで開催中止も相次いだ音楽フェスですが、明らかにここ数年で参加者を増やしています。フェスの特設サイトには参加アーティストのプレイリストが表示され、参加者は事前に予習ができるようになりました。Spotifyはその真っ先にプレイリストを提供したことでも知られています。また、音楽フェスにSpotifyの特設ブースが設置されることも増えました。参加者はブースでSpotifyの利便性を体感できます。まさにオフラインとオンラインをうまくリンクさせた集客方法もSpotifyの特徴です。

 

音楽以外の楽しみ方も多い

音楽ファンだけではなく「音源」というプロダクトを全般的に提供しているのもSpotifyの特徴です。落語やスタンダップコメディ、またラジオ、ポッドキャストなども1つのアプリで楽しめます。また聴いたり、プレイリストに追加したりすると、レコメンドをしてくれる機能も特徴的です。ただ1曲単位ではなく、プレイリストにしておすすめをしてくれます。

 

 

Spotifyのペルソナ

Spotifyを好んで使おうとする世代は、フリーミアムの魅力に共感することが多いといえます。1曲単位で月額費用を払いたくないと思う若い世代でしょう。また音楽フェスなどで集客施策を打ってきたSpotifyの魅力に共感する人も当てはまります。以上のようなペルソナ像がSpotifyのユーザーです。

 

 

Spotifyのカスタマージャーニー


では、Spotifyのカスタマージャーニーについてご紹介しましょう。「認知」「リサーチ」「比較検討」「購入後」の4つのフェーズに区切りながら解説をしていきます。

 

認知

顧客はどこでSpotifyの存在を知るのでしょうか。友人からの口コミかもしれませんし、テレビや町中で見る広告かもしれません。今や音楽配信サービスは生活に必要なものになっており、どこでも存在を確認できます。またSNSもほとんどの方が使っており、アーティストやインフルエンサーの投稿も認知のポイントです。例えば2020年の8月に、人気アーティストの米津玄師さんが配信を開始しました。ニュースを見てSpotifyの存在を知った方もいるでしょう。

Spotify側としては、アーティストやインフルエンサーと連携した広告を打ったり、音楽フェスでのオフラインでのタッチポイントを大事にしながら、施策を打っていく必要があります。特にアーティストのファンをSpotifyのファンにするような、ブランドアピールをすることが重要になります。

 

リサーチ

認知したとはいえ、すぐに購買を決めるわけではありません。顧客は失敗をしたくないので、競合も含めて音楽配信サービスについて情報を収集します。自社や他社のLPに流入してプランの内容を調べるでしょう。また好きなアーティストの楽曲が登録されているかを検索すると思います。また一通りアプリをインストールして、無料プランで試しに使ってみることもあるでしょう。

Spotify側としては大前提として人気のアーティストの音源を登録していなければいけません。また自社のLPのUXに力を入れたり、簡単なホワイトぺーパーなどを用意したりして、情報を提供する必要があります。またアプリストアでの上位表示を目指す(ASO)施策も必要になるでしょう。

 

比較検討

Spotifyや競合のサービスを知ったうえで、顧客は比較検討をして購入につなげます。大きな比較検討要因は料金や登録アーティスト数、使い勝手などの機能的な価値です。しかし社会的な欲求を優先することもあるでしょう。例えば好きなアーティストやインフルエンサーがレコメンドをしていた場合、ファンとしては選択条件に入ることもあります。カフェで例えると「味はタリーズコーヒーが好きだけど、スターバックスのパッケージを持って歩きたい」という理由で購入を決めることもあるはずです。

ブラウザで調べると、比較をしているキュレーションサイトが大量にありますので、企業側としてはその情報のチェックをしなければいけません。またこのようなアフィリエイトサイトに広告を出稿することも有効だといえます。さらに社会的な側面を満たすためにアーティストやインフルエンサーにSpotifyをレコメンドしてもらうのも手段の1つです。

 

購入後

月額サブスクリプションサービスの場合「チャーンレート(解約率)をどれだけ下げられるか」「ロイヤルカスタマーを何人作れるか」が重要な成功要因です。有料会員になった後の感動を創出し、生活の中での利用頻度を高めてもらうために施策を打つ必要があります。

Spotifyの場合は数日間使っていないと、個別にレコメンドしたプレイリストを送ってくれます。またアクティブユーザーを創出するためにシェア画面のデザインにこだわったり、Facebook連携をして友人のプレイリストを確認したりできます。このほか、例えばナレッジコミュニティを作ったり、主催イベントを開いたりするのも、ファン化の促進につながります。

 

 

Spotifyは今後、営業損益をプラスにできるか

Spotifyは順調に登録ユーザーを増やしています。また顧客のリテンション施策にも成功しており、月ごとのアクティブユーザー数も増加している状況です。しかし2020年4~6月の営業損益は過去最高の赤字になってしまいました。アーティストの権利料の高さがその要因になっています。今後は顧客への提供価値をそのままに、出ていくお金をどう節約するかがカギになるはずです。

また先述した通り、競合のサイトは他のサービスをバンドル化しながら、バリューの幅を広げつつあります。今後、Spotifyも音楽やラジオ、ポッドキャストといった楽しみ方以外のサービスを創出する必要があるかもしれません。カスタマージャーニーマップを作ると、自社の顧客がどのチャネルにいるのかがより鮮明になります。すると、シナジーのある他の事業創出もやりやすくなるのもメリットです。

BizMakeでは10月中旬からカスタマージャーニーマップをリリースしますので、ぜひ一度自社の事業について作ってみてください。

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