
Airbnbの事例でカスタマージャーニーマップの作り方をご紹介
「カスタマージャーニーマップの正しい作り方を知っていますか?」と聞かれると、少し不安になる方もいるのではないでしょうか。マーケティングの必要性が出てきたから、なんとなく認知から購買までのフェーズに分けて作ってしまうこともあるでしょう。
しかしなんとなくで作っても確かな分析はできません。今回は「これからカスタマージャーニーマップを作って、きちんと顧客のアクションと自社のマーケティングをしたい」という方に向けてフレームワークの作り方をご紹介します。世界中で民泊サービスを展開するAirbnbを例に作り方を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
カスタマージャーニーマップに関する全体像については以下の記事をご覧ください。
目次
カスタマージャーニーマップを作る順番
カスタマージャーニーとは、顧客が自社の商材を使うまでの流れを可視化して、分析するためのフレームワークです。認知から興味・関心、情報収集、購買、購買後などのフェーズに分けて顧客のアクションを分析することで、自社がどのチャネルを使って、どのようにマーケティングをすべきなのかを定めます。
ただし、何の背景もなしに作ってしまうと効果を発揮しません。想像で顧客の行動を考えてはいけません。まずはあらかじめ顧客について論理的に設定することが大切です。
ジョブを整理する
まずは「顧客が求めていること」をきちんと設定しましょう。そのうえで使えるツールが「ジョブ理論」です。ジョブ理論とは「顧客がある状況下において満たしたい欲求」や「解消したい不満」「なすべき用事」などを指す言葉です。ジョブには機能的・感情的・社会的の3種類があり、それぞれを設定することで顧客が求めていることについて仮説を立てられます。
その際にも想像でつくってはいけません。まずは実際のユーザーにインタビューをしたうえでエビデンスをもとに考える必要があります。するとロジカルに顧客のジョブを把握できるのです。ジョブ理論に関しての詳しい内容は以下の記事で解説しています。
ジョブをもとにペルソナを設定する
ジョブ理論を用いて「ユーザーが欲していること」を把握したら、その他の要素も含めてペルソナを設定します。すると自社が考えるべき顧客の姿を設定できるでしょう。その際に使えるフレームワークが「ペルソナキャンバス」です。ペルソナキャンバスはジョブをもとにして、ジョブが生まれる制約や成し遂げたい成果、ジョブを満たすための代替手段などを記載します。そのうえで性別や職業、年齢などのプロフィールを記載するのです。
ペルソナといえばプロフィール情報に目が行きがちですが、あくまでジョブを考えることが最優先です。ここまでを設定したうえでカスタマージャーニーについて考える必要があります。
カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマージャーニーマップとは、カスタマージャーニーを落とし込むためのフレームワークです。先述したように、認知から興味・関心、情報収集、購買、購買後などのフェーズに分けて顧客のアクションを分析することで、自社がどのチャネルを使って、どのようにマーケティングをすべきなのかを定めます。
ジョブをもとにペルソナを設定したうえでカスタマージャーニーマップを設定しましょう。カスタマーのフェーズについては企業ごとに変える必要があります。例えば売り切り型のモデルであれば購入がゴールになります。しかしサブスク型のモデルなどはマネタイズした後にどうやって解約率を下げずに顧客に利用し続けてもらうのかを考えなければいけません。
ではカスタマージャーニーマップを作る流れを紹介したところで、実際にAirbnbの事例で解説しましょう、作り方の参考にしてみてください。
Airbnbのビジネスとは
はじめにAirbnb(エアービーアンドビー)のビジネスについて簡単にご紹介します。Airbnbは民泊のプラットフォームサービスです。空き室や空き家を貸したいホストと、宿を探したいゲストをサービス内でつなぐことで利用料の一部を得ています。もちろん民泊サービスなので、旅館やホテルなどに比べて、質は下がりますが、そのぶん費用は安く、より人間的なつながりを感じられるのがメリットです。
Airbnb創業以来、右肩上がりで成長しており、利用者数は累計5億人を突破しました。世界の300以上の都市で10万人以上のゲストが利用しています。Airbnbを利用するホストとゲストのジョブには以下の要素があります。
ホスト
・余分なリソースでお金を稼ぎたい
・新しい旅行者に会って話を聞きたい。またもてなしたい
ゲスト
・観光名所をたくさん巡るので、旅行するうえでお金を節約したい
・そもそもの予算が限られているので、宿泊費は安くていい
・普段からリッチな生活をしているわけではなく、サービスの質よりも、旅先での人間的な出会いを大切にしたい
・旅の記録をブログなどに付けようと考えており、人との話などを聞きたい
・文化的な要素に興味があり、ホテルより民泊のほうがリアルな話を聞ける
Airbnbのビジネスモデルについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ではビジネスを踏まえたうえで、Airbnbを利用するカスタマージャーニーマップを作成していきましょう。今回はゲストに絞ってカスタマージャーニーを作成します。
Airbnbのペルソナとは
Airbnbのゲストのペルソナは前述した通りのジョブをもとに考えると以下のフレームワークのようになります。
Airbnbのカスタマージャーニーマップとは
認知
Airbnbを利用するゲストは「安く泊まりたい」「対話を通して地方の文化を知りたい」などのニーズを持っています。そのうえでまずは旅行のプランニングをするでしょう。現地の情報や費用にまつわる情報をオンライン・オフライン問わず収集するはずです。また連休の際などは全国的に旅行ニーズが高まっており、時期をしぼったうえでマス向けの広告を出すのも効果的だと考えられます。
リサーチ
その後、Airbnbを知ったあとはリサーチをするでしょう。最初はなかなか利用するのに勇気がいるサービスです。ホストの素性を知りませんし、安いといっても現地の場所があまり不衛生であるならば利用を見合わせます。そのため、Airbnbはホストをレーティングしているのです。またアプリ内の写真はプロのカメラマンが撮影したものを利用しています。以下に安心して使えるサービスかを訴求するのがポイントです。
比較・検討
その後はゲストが評判などを調べるでしょう。主に費用面に関して、Airbnbを使った際のメリットをリサーチするに違いありません。Airbnbとしては安心感とともに、浮いたお金で何ができるのか、どれだけ優れたサービスなのかを訴求する必要がありますし、場合によっては比較情報サイトなどに広告を掲載する必要があります。
購入
安心性や費用などを加味したうえで顧客は利用を決めます。購入する際には旅行日と場所を考える必要がありますので、もちろんアプリ内のユーザビリティや決済可能手段に左右される部分も多くあるには確かです。実際にサイトが使えずに離脱する人もいるでしょう。最大限まで集客効果を高めるためには、油断をしてはいけません。
購入後
一度の利用だけでは、Airbnbに入ってくる金額は微々たるものです。だからこそ、購入後に次回も使ってもらえるようなナーチャリング(教育・啓蒙)をしなければいけません。旅行という行為自体が頻繁になされるものではないので、そもそもモチベーションを高める部分から設計すべきでしょう。観光名所のコンテンツなどをレコメンドしたり、利用者の声を提供したりと、メールマーケも効果的です。
まずはアクションを起こしてくれる「カスタマー」を定義する
カスタマージャーニーマップを作る際には、まず「カスタマー」を設計しましょう。そのうえでジャーニーを組まないと、誰に向けたものかが分からなくなります。今回の例のように、まず人はなぜ自社のサービスを利用するのか、という視点から始まり、ペルソナを構築したうえで、カスタマージャーニーを考えていきましょう。
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