
W杯でも大活躍を遂げた日本代表を支える「日本サッカー協会(JFA)」をビジネスモデルキャンバスで分析
2022年、多くの感動を与えてくれたカタールW杯。
サッカーに元々興味がないといった方も今回のW杯を見て感動を貰ったという方も多いのではないでしょうか。
サッカーを始めたいと思う子供たちや、来年のサッカー部への入部希望も増えそうだなと個人的に感じました。
次回4年後ということで既に待ち遠しい気持ちでいっぱいです。
日本中に感動を与えてくれた日本代表の活動を管理しているのはどこの組織かご存知でしょうか。
『公益財団法人 日本サッカー協会(JFA)』という組織がサッカーに関するあらゆる面に携わっていてサッカーの普及、強化に努めています。
今回は、日本サッカー協会(JFA)がどのようなビジネスモデルで組織を経営しているかを分析したいと思います。
目次
「日本サッカー協会(JFA)」とは
日本のサッカー文化を支える組織が公益財団法人日本サッカー協会(以下JFA)です。日本代表の活動だけでなくJリーグ、女子サッカー、そして子供から大人まで、サッカーを楽しむすべての活動をサポートしています。
SAMURAI BLUE(日本代表)、なでしこジャパン、フットサル、ビーチサッカー等の各日本代表の活動と試合や天皇杯、皇后杯、高円宮杯をはじめとした選手権大会や全国大会、クラブの国際大会の開催、ナショナルトレセン、エリートプログラム、GKキャンプ、JFAアカデミーなどの選手強化と育成、様々なレベルに応じた指導者講習会の開催とインストラクターの養成、主催試合の審判を務める審判員の養成と世界の舞台で活躍する審判員の強化、競技規則やVARへの対応などサッカーに関するあらゆる面に携わっています。
日本サッカー協会(JFA)のビジネスモデルキャンバス
では、日本サッカー協会(JFA)のビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。
1.顧客セグメント
・サッカーが好きで選手の応援や試合を観戦したい人たち
・JFA公認公式大会に出場したい、世界で活躍したいチーム、サッカー選手
主にサッカーが好きで選手の応援や試合を観戦したい人たちやJFA公認公式大会に出場したいチーム、サッカー選手が挙げられます。
もちろん、サッカーをしている人や今回のW杯のように試合を見てサッカーに興味を持った人なども当てはまるかと思います。
2.提供価値
・サッカーの普及や、スポーツをより身近にすることで、人々が幸せになれる環境を作り上げる
・サッカーファンへサッカーと関わる機会の提供(試合開催、グッズ販売、テレビ放映など)
・日本代表や選手が活躍できるようサッカーの強化や環境作り
JFAでは、サッカーの普及や、スポーツをより身近にすることで、人々が幸せになれる環境を作り上げています。
サッカーファンへは試合の開催やグッズ販売、テレビ放映などサッカーと関わる機会を提供しています。
また、日本代表などの選手が世界で活躍できるようサッカーの強化に努め、勇気・希望・感動を与える役割も果たしています。
チームやサッカー選手には、大会開催・競技会開催、選手育成、トレセン(※)認定制度、ナショナルトレセンなど選手が活躍できるような環境を提供しています。
※将来有望な選手を発掘し質の高い指導を行い、経験を積ませる、日本サッカー協会の「トレーニングセンター制度」の略
3.チャネル/販路
・機関誌
・各種SNSやテレビなどメディア
・サッカー関係者(コーチ、他選手など)
日本サッカー協会機関誌『JFAnews』で様々なサッカー情報を提供しています。
また、今となっては多くの人に知られているJFAですが、各種SNSや試合の開催、テレビメディアやサッカーチームのコーチ、他選手などサッカー関係者などによって認知を広げていっていると言えます。
4.顧客との関係
・代表選手やサッカーチームの情報の発信
・選手が活躍できるような環境作り、試合の開催
代表選手やサッカーチームの情報の発信や選手が活躍できるような環境作りを行っています。
JFAでは、選手にとっての最善を考えることを大事にし、「選手たちにとって何が一番良いのか」という観点を最も優先しています。
5.収益の流れ
・登録料収益
‐登録・オンラインシステム事業
・事業収益
‐代表関連事業、競技会開催事業、指導普及事業、日本サッカーミュージアム運営など
JFA公認公式大会に出場する選手・チームは必ず納める必要があるチームと選手の登録料収益と代表関連事業、競技会開催事業、指導普及事業、日本サッカーミュージアム運営などの事業収益が大きな収益源となります。
事業収益は、代表関連事業収入(全年代・各種代表の試合収入、入場料、テレビ放送権料等)、競技会開催事業収入(天皇杯や全日本ユース選手権、全国高校選手権の入場料収入やトヨタカップの主管料、テレビ放送権料等)、指導普及事業収入(指導者講習会、研修会参加費、教本ビデオ等販売収入) 、事業関連収入(キリンビール、キリンビバレッジ、アディダス、JAL、セゾンカード、日産、ファミリーマートからの協賛金収入とゲームソフト・グッズ販売等のライセンシー収入)などが挙げられます。
スポンサー収入が一番多いですが、代表戦の収益も大きいとされています。
6.主要な資源
・日本サッカーミュージアム
・人財(サッカー選手、指導員、審判など)
・オンラインシステム
日本サッカーミュージアムは、日本サッカー協会が2002 FIFAワールドカップ™の開催を記念して2003年にオープンしました。
2002FIFAワールドカップ™の熱狂や感動と、日本サッカーの歴史を次世代の人々に継承し、サッカー文化を普及させるため設立されました。
夏休みや年末には、来場者が楽しめるイベントを開催しています。
ゲストを招いてのトークイベントや、学校の夏休み自由研究として活用いただける学習イベントなど盛りだくさんとなっています。(※2023年2月5日(日)をもって休館予定。移転先を検討中。)
サッカー選手、指導員、審判などの人財やチームと選手の登録に必要なオンラインシステムなどが大変重要な資源として挙げられます。
7.主要な活動
・サッカーの普及や強化
・JFA公認公式大会に出場する選手・チームの登録
・代表関連事業、競技会開催事業、指導普及事業、日本サッカーミュージアム運営など
JFAは、主にサッカーの普及や強化、選手が活躍する環境づくりを行っています。
収益源としても重要なJFA公認公式大会に出場する選手・チームの登録や代表関連事業、競技会開催事業、指導普及事業、日本サッカーミュージアム運営などあらゆる面で活動を行っています。
強豪国はヨーロッパと南米に集中していますが、日本とはどこが違うのでしょうか?
まず、サッカーが文化として根付いているかどうかの違いは大きいと考えられています。
例えば、世界のサッカーリーグで最も平均観客動員数の多いブンデスリーガでは、ホームゲームのチケットを持っていることで一部エリアの公共交通機関が無料になるそうです。
自治体や国レベルでサッカーの試合運営に全面的に協力しているといった点でも日本とは大きく異なります。また、ヨーロッパや南米ではほぼ毎日のようにサッカーの試合中継が行われるため、国民にとって身近な存在となっているのです。彼らにとってサッカーの価値は日本以上に高いということがうかがえます。
次に、強豪国と日本の違いで大きいのが育成面です。
欧州をはじめとするサッカー強豪国は指導者の育成環境が充実していて、例えば、スペインでいうとサッカー連盟とは別にAFENなどの指導者養成機関があります。
そして、指導者ライセンスの面でも日本の指導者ライセンスは全て日本サッカー協会が管轄となり、各都道府県のサッカー協会が講習会を行っているのに比べ、スペインではサッカー協会公認ライセンスはもちろん、州のサッカー協会公認のライセンスもあります。スペインではサッカー協会公認のライセンスがレベル1から3まであるが、日本サッカー協会のライセンスよりも取得に多くの時間を費やし、学ぶ範囲も広いのです。
サッカー協会以外でもサッカーを強化する組織やサッカー文化が根付いていることが伺えます。
日本サッカー協会であサッカーの普及や強化を行っていますが、国全体でサッカー文化が根付くような環境も重要そうですね。
8.主要パートナー
・チームやサッカー選手
・スポンサー
・指導員やインストラクター、審判員など
チームやサッカー選手、スポンサー、指導員やインストラクター、審判員などは主要なパートナーであると言えます。
9.コスト構造
・事業費
‐オンラインシステム関連事業費、代表関連事業費、協議会開催事業費、競技会関連事業費、指導普及事業費など
・管理費
2022年の予算書を確認すると、オンラインシステム関連事業費、代表関連事業費、協議会開催事業費、競技会関連事業費、指導普及事業費などの事業費と管理費が主なコストとして記載されていました。
収益として挙げられる項目と対応している(費用も同時にかかっている)と言えます。
サッカーのあらゆる面に携わるビジネスモデルによってサッカーの普及・強化を目指している
日本サッカー協会(JFA)は、日本代表の活動だけでなくJリーグ、女子サッカー、そして子供から大人まで、サッカーを楽しむすべての活動をサポートしています。
日本代表の活動と試合やトレセンなどでの選手強化と育成、指導者への講習会開催やインストラクターの要請、審判員の養成と世界の舞台で活躍する審判員の強化、今回のW杯でも得点判断の上で大きな役割を果たしたVARへの対応など幅広い場面でサッカーの普及や強化を目指しています。
今回のカタールW杯では26名のメンバーが多くの選手の中から選抜され招集されました。4年後のW杯ではどの選手方が活躍してくれるのか、今から楽しみです!
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