社会貢献性も抜群の「TABETE」をビジネスモデルキャンバスで解説!

2019年11月、17名分の予約をしておきながら飲食店の無断キャンセルをした男性が逮捕されるニュースがありました。無断キャンセルはフードロスにつながってしまい、店側としては相当な痛手になります。

フードロスの問題は世界的にも問題になっており、日本政府としても2019年10月から「食品ロスの削減の推進に関する法律」を施行するなど、フードロスの削減にかなり力を注いでいるのが分かります。

そこでロスしてしまいがちな食品を再利用する「フードシェアリングサービス」が増えています。なかでも国内では最も早くリリースされ、会員数を伸ばしているのが「TABETE」です。今回はTABETEをモデルに、今後需要が高まるであろうフードシェアリングサービスのビジネスモデルをキャンバスにまとめてみましょう。

 

 

消費者と飲食店をつなぐフードシェアリングサービス

TABETEは、料理イベントなど食に関するあらゆるサービスを展開している「株式会社コークッキングがリリースしたアプリサービスです。フードを余らせそうな飲食店と安く食事をしたい消費者とを結ぶことで、フードロスを削減する仕組みを構築しています。

食材は大量に仕入れるほど、仕入れコストを抑えられます。飲食店としては、多く食材を仕入れて、ランチやディナーに臨むのが通常です。しかしすべてを使いきれなかったり、予約がキャンセルになったりと、余らせてしまうことがあります。

TABETEはそんな問題を解決するサービスです。飲食店はあらかじめアプリに登録しておき、ロスが発生しそうな際にTABETEを活用して16万人以上の登録ユーザーに食品の写真や出品した理由、価格、引き取り可能時間などの情報をいれます。価格は「レスキュー価格」となっており、定価よりも値下げをしているのが特徴になります。

店側としては、ロスした食品をそのまま出すのではなく、テイクアウト用にメニューをつくるのが一般的です。売り上げの35%が手数料なので、65%が店側の収入になります。無駄になってしまうはずだった食材で、原価プラス利益が入るのが魅力です。またTABETEを通じての広告にもなります。登録ユーザーとしては定価よりも、お得にフードが手に入るのです。

TABETEとしては売り上げのうち5%を、子ども食堂などを展開するNPO法人に寄付しています。飲食店としても消費者としても、社会貢献にもつながるでしょう。
 

 

TABETEのビジネスをビジネスモデルキャンバスで解説

では、ビジネスモデルキャンバスの9つの項目で、TABETEのビジネスをまとめましょう。消費者(ゲスト)と飲食店(ホスト)の2つのターゲットがあるサービスです。顧客セグメントや提供価値などの項目も2種類必要になります。

 

1. 顧客セグメント

消費者

・20~40代の働く女性
・平日によくテイクアウトを注文して食事をする層

飲食店

・チェーン展開をしていない個人経営の飲食店
・ディナーだけではなくランチ経営もしている飲食店
・予約システムを導入している飲食店

2. 提供価値

消費者

・安くフードが手に入る
・食事をしながら社会貢献ができる
・アプリでの簡単な操作

飲食店

・フードロスを軽減できる
・お店の社会貢献につながる
・新規顧客の取得、育成につながる
・販売チャネルが増える

3. チャネル/販路

・アプリケーション

4. 顧客との関係

・社会貢献性が高く、顧客も充足感を得られる
・行政からの信頼も厚く、信用できるサービス

5. 収益の流れ

・登録した飲食店の売り上げの30%

6. 主要な資源

・アプリケーション
・行政とのパイプ
・登録した飲食店と消費者

7. 主要な活動

・アプリ構築と保守
・新たな飲食店の開拓
・NPO法人への貢献

8. 主要パートナー

・NPO法人
・登録した飲食店
・地方自治体など

9. コスト構造

・アプリ開発・構築費
・飲食店への営業費用
・NPO法人に向けた月間売上の5%の支払い

 

 

社会貢献性が高く、今後さらなる規模拡大を期待

今回はビジネスモデルキャンバスを使って、TABETEのフードシェアリングサービスをご紹介しました。フードロスの削減目標は世界的に定められており、国内でもさらなる普及が望まれています。また環境問題や社会問題を解決する取り組みによってファン化が進む可能性も高く、先駆者としても優位性があるのが特徴です。

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