
ゲーム感覚で共同購入!「拼多多」(ピンドォドォ)のビジネスモデルキャンバス
BATを中心に競争が激化している中国ビジネス。特に決済サービスやEC業界での14億人のパイの奪い合いは激しさを増しています。そのなかで2015年に登場し、凄まじい勢いで市場価値を伸ばしているのがECプラットフォームの「拼多多」(ピンドォドォ)です。2018年には上海とNASDAQに同時上場を果たしました。これは中国IT企業としては最速。なかには否定的な意見もありましたが、上場後もハイスピードで成長を続けています。
今回は拼多多のビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスでまとめます。ECプラットフォームとして非常にユニークな取り組み、他社とのクリティカルなアライアンスなどを図で可視化してみましょう。
目次
拼多多のビジネスの特徴とは?
拼多多が展開しているのはソーシャルEコマースです。簡単にいうとグルーポンに代表される「共同購入」を活用しているサイトになります。しかし共同購入だけなら、実践している企業はたくさんあるものです。拼多多が急成長を遂げられたのは、ソーシャルEコマースにプラスして顧客に利便性やエンタメ性を訴求したからです。では具体的に戦略をご紹介しましょう。
1. 顧客をセールスマン化してコストを削減
例えば共同購入サービスでシェアを持っているサービスが「グルーポン」です。グルーポンの場合は企業側が広告料を支払って、目立つポイントにアイテムやサービスを設置することで購入者を募るのが特徴でした。拼多多は購入希望者がSNSなどでシェアをすることで、購入達成を目指すのが仕組みになっています。予算の少ない中小企業側としても、参入しやすいプラットフォームです。
2. テンセントとの連携で、シェア率がアップ
2017年にテンセントが主要株主になりました。注目なのはテンセント・ホールディングスには「Wechat」という月間アクティブユーザー数10億人以上のSNSプラットフォームがあることです。拼多多は独自のページだけでなく、Wechat上にもページを展開しています。SNSで認知度を高めるのが狙いなので、とても相性のいい連携です。
3. セグメント化に成功
中国の巨大な市場には拼多多のほかにも、淘宝(タオバオ)や京東(ジンドン)などの巨大なECプラットフォームがあります。しかし拼多多は後発の強みを生かし、しっかりとセグメント化することで成功しました。
中国には所得層によって一級都市から三級都市までに分類されます。淘宝や京東などは中国の一級都市層向けにECサイトを構えています。しかし農村部などに住む三級都市の国民には手が出ない商品が多いのも事実でした。拼多多は低所得層のコミュニティをSNSでつなげることに成功しています。その結果、未開拓のパイに着手することができました。プラットフォームではストッキングが40円、メンズのコートが500円など、低単価化できているのが特徴です。
拼多多(ピンドォドォ)のビジネスモデルキャンバス
では戦略を踏まえて、拼多多のビジネスをビジネスモデルキャンバスでまとめてみます。どの層を顧客セグメントにおいて、どのような提供価値を武器にビジネスを進めているのかを見てみましょう。
1. 顧客セグメント
・中国国内の低所得層
・SNSでのシェアリングに引け目を感じない層
2. 提供価値
・日用品をはじめとした商品を低価格で買える
・リアル店舗に行く必要がない
・SNSなどで他者とのつながりを感じられる
3. チャネル/販路
・ECプラットフォーム
・Wechat上での購入
・SNSサービスを活用した認知度の拡大
4. 顧客との関係
・ゲーム感覚でショッピングできる楽しさを味わえる
・安く買い物ができる場として活用できる
5. 収益の流れ
・ECの中間手数料
・企業からの出品料
6. 主要な資源
・ECプラットフォーム
・Wechatという巨大なソーシャルプラットフォーム
・膨大な登録ユーザー
・Wechat上の利用ユーザー
7. 主要な活動
・ECプラットフォームの保守・管理
・商品の管理
8. 主要パートナー
・テンセント・ホールディングス
・Wechat、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNS
9. コスト構造
・プラットフォームの保守・開発費用
・企業への営業費用
・商品の配送費
今後、日本では流行するか
グルーポンは共同購入サービスとして日本でも流行しています。しかし拼多多の肝は共同購入ではなく、他人とのつながりにあります。中国では親戚や友だちなどとの団結力が強いという文化がありますが、日本では「営業と思われてしまうんじゃないか」と引け目になってしまう可能性も考えられるでしょう。日本で流行するためには、さらなる工夫が必要です。
今回は拼多多のビジネスを、ビジネスモデルキャンバスの9つの項目で解説しました。BizMakeでは無料でビジネスモデルキャンバスを含めた18のフレームワークを使えます。ぜひお気軽にご利用ください。
