Facebookの元CFO共同設立、法人向け遠隔メンタルヘルスケアサービス「LyraHealth」をビジネスモデルキャンバスで分析

昨今、米国では5人に1人が精神的不調を抱えており、中でも不安障害とうつ病が最も一般的な2つの症状となっています。
日本でも、自身や周りの人が気付かかない場合でも精神的不調を抱えている人は多いでしょう。
従来は、企業が契約する相談室などはカウンセリングがメインでしたが、治療・投薬迄も行う遠隔メンタルヘルスケアサービスの米国ユニコーン100社リスト「LyraHealth」が注目を集めています。

 

 

「LyraHealth」とは


引用:https://www.lyrahealth.com/

Lyra Healthは従業員向けの遠隔メンタルヘルスケアサービスを提供しています。
Lyra Healthは2015年にカリフォルニア州にて設立。Facebookの元CFOであったDavid Ebersman氏が「人々が質の高いヘルスケアを迅速に見つけられるよう支援する」ことを目的に、共同設立者兼CEOとして創業しました。
Lyra Healthは企業の従業員と、セラピストやメンタルヘルスコーチなどをつなぐデジタルプラットフォームを提供しています。契約企業の従業員は、1対1のビデオセッションや、認知行動療法(CBT)をベースとしたチャットエクササイズ、進捗状況の定期的なモニタリング等を遠隔で受けることができます。
メンタルヘルスや行動障害のスクリーニングを可能にするデータプラットフォームを構築していて、スクリーニングするだけではなく、高リスク群と判断された患者に対し、適切な対処ができるよう支援も行っています。

 

 

LyraHealthのビジネスモデルキャンバス

では、LyraHealth(以下、「Lyra」)のビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。

 

1.顧客セグメント

・従業員数が多く悩みを抱えている従業員を把握できていない、辞めてしまう従業員が多い企業

従業員数が多い企業で上長が従業員の精神状況を把握できていなかったり、精神的理由で辞めてしまう従業員が多い企業が利用すると考えられます。

 

2.提供価値

・科学に基づいた遠隔メンタルヘルスケアサービスの提供(治療、投薬、なども行う)
・従業員だけでなくその扶養家族を対象にあらゆるメンタルヘルスの問題に対処する
・従業員の福利厚生、エンゲージメント、定着率を高める

Lyra は最も効果的なケアのみを提供しています。
患者の 71% が確実な臨床的改善を確認していて、75% が回復し、合計 83% の患者が改善または回復しているといえます。
また、Lyraの研究によると、385人の患者を対象に5回のセッションを行った後、不安や抑うつ症状が減少したことが記録されています。
さらに同研究において、Lyraの遠隔療法モデルが標準的な治療より12~16週間早く結果を出す可能性があることも示唆しているそうです。
通常、従業員のみを対象とする場合も多いですが従業員に限らずその扶養家族にもあらゆるメンタルヘルスの問題に対処しています。
そして、結果的に従業員の福利厚生、エンゲージメント、定着率を高めています。

 

3.チャネル/販路

・米国ユニコーン100社リスト
・自社SNS(YouTube、Twitter、Facebookなど)
・イベント、ウェビナー

Lyraは、米国ユニコーン100社リストに登録されています。
また、YouTube、Twitter、Facebookなどの自社SNSも行い、広報活動を行っています。
実際の利用企業による情報や、Lyraのヘルスケアの研究結果の実績から利用を検討する企業も多いのではないでしょうか。
Starbucks、Slack、Uniliver、Amazonなど大手企業の事例情報を提供するウェビナーなども行い、サービスを知ってもらう機会を創出しています。

 

4.顧客との関係

・顧客企業の従業員だけでなくその扶養家族へのメンタルヘルスサービス提供
・イベント、ウェビナーでの事例情報提供
・1対1のビデオセッション、認知行動療法(CBT)をベースとした遠隔チャットエクササイズ
→専門家と気軽かつ効率的にコミュニケーションできる仕掛け

通常は顧客企業の従業員だけを対象としてサービスを提供することが多いですが、その扶養家族のメンタルヘルスケアサービスを提供しています。
また、Lyraではイベントやウェビナーで大手企業の事例情報の提供などを行い、Lyraのメンタルヘルスサービスを知ってもらい利用してもらうような機会を作っています。
Lyra Healthは、利用者の特性からその人に最適なカウンセラーをAIがマッチングします。
1対1のビデオセッションや認知行動療法(CBT)をベースとしたチャットエクササイズなどを遠隔で受けることができ、専門家と気軽かつ効率的にコミュニケーションできる仕掛けとしたことで、抑うつ状態の改善にも効果への発揮やメンタルヘルスケアサービスに生じる利用ハードルを下げることに繋げています。

 

5.収益の流れ

・メンタルヘルスサービス提供
※従業員数などにより料金変動

主に、法人向けのメンタルヘルスサービスの提供で収益を得ています。
抱える従業員数など企業規模により料金は変動するものと考えられます。

 

6.主要な資源

・セラピスト、メンタル ヘルス コーチ、および医師
・1,000 人以上の従業員と 250 人の福利厚生リーダー
・独占的なグローバルネットワーク
・データプラットフォーム

まず、メンタルヘルスサービスを提供する上で欠かせないセラピスト、メンタル ヘルス コーチ、および医師や1,000 人以上の従業員と 250 人の福利厚生リーダーなど人材資源が挙げられます。
また、Lyraでは厳選され、訓練されたプロバイダーの専用ネットワークにアクセスできます。
200 を超える国と地域に 20,000 の医療提供者を擁する当社のネットワークは、文化に対応したローカライズされたケアを通じて、60 を超える固有のケア ニーズをサポートします。
メンタルヘルスや行動障害のスクリーニングを可能にするデータプラットフォームも構築しています。
スクリーニングするだけではなく、高リスク群と判断された患者に対し、適切な対処ができるよう支援も行っています。

 

7.主要な活動

・顧客企業の従業員とその扶養家族に対する遠隔メンタルヘルスケアサービスの提供
・メンタルヘルスや行動障害のスクリーニングを可能にするデータプラットフォームの構築 

Lyraでは、顧客企業の従業員とその扶養家族に対する遠隔メンタルヘルスケアサービスの提供やメンタルヘルスや行動障害のスクリーニングを可能にするデータプラットフォームの構築などを行っています。

 

8.主要パートナー

・セラピスト、メンタル ヘルスコーチ、および医師
・Stripe
‐入金管理プラットフォーム

セラピスト、メンタル ヘルスコーチ、および医師やビジネスを拡大し、支払い取引の 200% 増加に対応するための入金管理プラットフォーム「Stripe」が挙げられます。
Stripeとの提携によって、急激なビジネスの拡大に対処しつつ、メンバー用の支払いオプションと、プロバイダー用の支払いを受けるオプションの拡張を実現しました。

 

9.コスト構造

・人件費(セラピスト、メンタル ヘルス コーチ、および医師、1,000 人以上の従業員と 250 人の福利厚生リーダーなど)
・データプラットフォームの構築費

Lyraでは、セラピスト、メンタル ヘルス コーチ、および医師、1,000 人以上の従業員と 250 人の福利厚生リーダーなど多くの従業員を抱えています。
そのため人件費が主なコストとして挙げられるでしょう。
他に、メンタルヘルスや行動障害のスクリーニングを可能にするデータプラットフォームの構築費などが挙げられます。

 

 

“科学に基づいた”遠隔メンタルヘルスケアサービスの提供

Lyra Healthは2015年にカリフォルニア州にて設立しました、
Facebookの元CFOであったDavid Ebersman氏が「人々が質の高いヘルスケアを迅速に見つけられるよう支援する」ことを目的に、共同設立者兼CEOとして創業しました。
Lyraで は、PHQ-9 や GAD-7 などの検証済みの臨床測定を使用して、不安、うつ病、その他の一般的なメンタルヘルスの問題の症状の改善を評価します。
そのため、実際に科学に基づいたメンタルヘルスサービスを提供し、臨床的改善の実績についても高いです。
精神的不安を抱えている方々にとってより質の高いヘルスケアを提供することによって、「人々が質の高いヘルスケアを迅速に見つけられるよう支援する」という目的を実現していると言えます。

 

 

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