ブライダル業界DX「八芳園」をビジネスモデルキャンバスで分析

コロナ禍で結婚式を延期や中止にした方々も多かったのではないでしょうか。
コロナの影響で一時ブライダル事業の市場規模は前年の半分近くまで落ち込みました。結婚式も招待客数を抑える傾向があり市場の縮小要因になっています。今後は上昇傾向と予測されますが、コロナの状況次第で大きく影響を受ける市場であると言えます。
現在のブライダル事業では、顧客に対するオンラインでの商品紹介や商談が進み、現場スタッフ(プランナー)も、働き方改革が進んでいます。結婚式もオンラインの一部利用は進んでいるが、完全なオンライン結婚式は限定的です。
そんな中、自身の会社でSaaSを作り、コロナ禍でも結婚式が実行できる工夫を行った八芳園について見ていきましょう。

 

 

八芳園」とは

東京都港区白金台に所在する日本庭園を抱えるレストラン・結婚式場です。主軸としてブライダル事業を提供しています。
しかし、コロナ禍による結婚式の減少などの理由から、DXに力を入れ総合プロデュース業へと転換を遂げようとしています。
最近ではアメリカのバイデン大統領と岸田首相が会食を八芳園で行われたことで話題となりました。

 

 

八芳園のビジネスモデルキャンバス

では、八芳園のビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。
DX前を「Before」、DX後を「After」で示しています。

 

1.顧客セグメント

Before:結婚式を挙げるカップル
After:コロナ禍で思うような結婚式を挙げられなくなったカップル
同業他社及びイベント開催企業(BtoB)

コロナ前までは、結婚式を式場で挙げることが出来ていましたが、コロナ禍で思うような結婚式を挙げられなくなくなったカップルが増えました。
そのようなカップルへのオンライン結婚式の提供や、同業他社及びイベント開催企業のイベント開催が行われるようになりました。

 

2.提供価値

Before(顧客):コロナ禍に入り、大勢の人や高齢者を招待するような、対面での結婚式自体にネガティブな印象があった。
After(顧客):オンライン結婚式で少人数での対面での結婚式にオンラインで大勢の人や高齢者を招待できるようになった。
Before(社内):ブライダル業は、イノベーションやデジタルに対するリテラシーが低く、社会的地位も低く見られることもあった。
After(社内):身近なところからDX推進環境を築いた結果、デジタルに慣れ、現場から商品・サービスのアイデアが以前より多くでるようになった。

 コロナ禍に入り、大勢の人や高齢者を招待するような、対面での結婚式自体にネガティブな理由からネガティブな印象がありました。しかし自社でSaaS作りに取り組み、オンライン結婚式が可能となり、少人数での対面での結婚式にオンラインで大勢の人や高齢者を招待できるようになりました。
また、一方通行ではなくて双方向で話せて、さらにテーブル移動もできるため実際の披露宴会場と同様に皆が正面の新郎新婦の方を向き、テーブルごとに楽しむことが出来るのです。
ブライダル業は、イノベーションやデジタルに対するリテラシーが低く、社会的地位も低く見られることもありましたが、身近なところからDX推進環境を築いた結果、徐々にデジタルに慣れ、現場から商品・サービスのアイデアが以前より多くでるようになりました。

 

3.チャネル/販路

Before:従来の結婚式
After:オンライン結婚式

従来の対面式の結婚式からオンライン結婚式が可能となり、コロナ禍でも大人数の参列者や遠方の方、高齢者の方なども招くことが出来るようになりました。

 

4.顧客との関係

Before:来場者への対面での商品紹介や商談
After:オンラインでの商品紹介や商談
MA(マーケティングオートメーション)を使った同業他社やイベント開催企業へのマーケティング(BtoB)

顧客との関係についても、来場者への対面での商品紹介や商談であったのが、オンラインでの商品紹介、商談やMA(マーケティングオートメーション)を使った同業他社やイベント開催企業へのマーケティングへと大きな変化が見られました。

 

5.収益の流れ

Before:ブライダル事業での売上金※コロナにより下降
After:ブライダル事業での売上金※オンライン結婚式により上昇
SaaS や DX推進支援サポート事業の売上金

ブライダル事業での売上金はコロナにより下降傾向にありましたが、オンライン結婚式によって立て直しています。加えて、SaaS や DX推進支援サポート事業の売上金も収益として追加になりました。

 

6.主要な資源

Before:現場スタッフ
After:現場スタッフ、SaaS開発・販売スタッフ、DX推進支援サポートスタッフ

現場スタッフの他に、SaaS開発・販売スタッフ、DX推進支援サポートスタッフによって下降傾向にあった売上金の立て直しや上昇へと繋がりました。

 

7.主要な活動

Before:紙の履歴書をファイルで閉じた社員台帳など、社内の手続きはほとんど紙を利用していた。
After:給与明細のデジタル化など身近なところから情報のデジタル化を開始。
Before:結婚式を中心とした事業活動
After:オンライン結婚式 SaaS 『WE ROOM』の開発と販売
伴走型DX推進支援サポート『SOLVE EIGHT』の開発と事業展開

八芳園では、紙の履歴書をファイルで閉じた社員台帳など、社内の手続きはほとんど紙を利用していました。当時はチャットツールも導入しておらず、社内の連絡は内線で行うほどのアナログでした。
いきなり大きな変化をするとなると反対する社員や、変化に追いつけないこともあるかと思います。そのため、給与明細のデジタル化など社員にとって身近なところから情報のデジタル化を開始しました。
デジタル化によって、楽になるという体験を提供して悪いことではないと感じてもらうということは大事ですね。
結婚式を中心とした事業活動が主でしたが、オンライン結婚式 SaaS 『WE ROOM』の開発と販売や伴走型DX推進支援サポート『SOLVE EIGHT』の開発と事業展開も開始しました。
これらによって収益源も増えたと言えます。

 

8.主要パートナー

After:三井住友銀行「テレワーク導入プログラム」

三井住友銀行「テレワーク導入プログラム」によって、八芳園のここまでのDX化に繋がったと言えます。
「テレワーク導入支援プログラム」で、Sansanのサービスを導入し、Bill Oneというクラウド請求書受領サービスの利用から始め、プラットフォーム上で直接やり取りでき便利になりました。
現在は大半の請求書について、Bill Oneを利用しているとのことです。その後、名刺管理サービスを使い始めることで社員一人ひとりの接触を見える化をし、営業スタイルにも活用することが出来ました。

 

9.コスト構造

Before:ブライダル事業の運用コスト※コロナによる退職等で人件費下降
After:ブライダル事業の運用コスト※人件費は以前と変わらず
SaaS や DX推進支援サポート など新事業の開発・運用コスト

コストとしては、主にブライダル事業の運用コストが挙げられます。
コロナによって退職する人員もいたため、人件費は下降しました。
現在は、人件費は以前と変わらず、SaaS や DX推進支援サポート など新事業の開発・運用コストが追加となっています。

 

 

ビジネスモデルキャンバスにおけるDX領域

DXをビジネスモデルキャンバスで示すと、どこに特徴があるか、重視したかによって上のような領域に分けることが出来ます。
サービスやツールなどの活用などによって顧客に新しい価値を提供することに繋がっています。
そのため、上の図において、今回の「八芳園」は”価値のDX”であると言えます。

 

 

BtoCだけでなく、BtoB向けの商材の拡充による事業展開

DXによって、コロナ禍の新しい結婚式の形「オンライン結婚式」を実現しました。
そのほかにも、イベントの配信や非接触パネルの商品など、BtoB向けの商品が増えています。従来のBtoC向けの商品でないため今までの顧客とは違う新たな顧客を開拓する必要があります。
今回のDXによって、導入したSansanツールを活用した営業スタイルによって担当者に情報を伝える際に一言を添えるなどの一工夫によって結果も変わってきています。
DX前と比較し、BtoBの顧客も獲得することでより一層の事業の展開に繋がっています。

 

 

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