日用品の30分配達サービス「GoPuff」をビジネスモデルキャンバスで分析

買い物をするのが面倒、今すぐに食べたい、自宅でお店のメニューを食べたいなど様々なニーズを満たす配達サービス。
今では、Uber Eatsも普及し、様々な配達サービスが日本でも出てきていますが米国ユニコーン100社リストにも記載されている日用品を30分以内の届けるデリバリースタートアップ「GoPuff」が昨今注目を集めています。
通常の配達サービスでは配送料で収益化を図っていますが、配送料は一律で$1.95(約215円)という良心的な価格設定がされています。今回は、気になる“EC化するコンビニ“Gopuffについてご紹介します。

 

 

「GoPuff」とは


引用:https://www.gopuff.com/

Gopuff(ゴーパフ)は2013年にアメリカのペンシルベニア州に本社を置くアメリカのスタートアップ企業です。
Uberと同様、配達事業サービスを展開しており、2021年3月時点での企業価値は89億ドルとされています。
様々な企業から多額の出資を受けている、アメリカで非常に注目されている企業です。
Gopuffの配達商品は、「必須」または「緊急時に必要なアイテム」を基に様々な商品を取り扱う事をコンセプトにしています。
具体的には、スナック、冷凍食品、酒類、日用品、生理用品、市販の薬品などが挙げられます。
要するに、24時間営業のオンラインコンビニのような形態となっています。
Gopuffは30-1時間程度で様々な商品を自宅に配達してくれます。
一方で、Amazonでは配達時間は24-48時間程度はかかってしまいます。
こういったAmazonで実現できない配達スピードにより、いますぐに欲しい食品や飲料品、生理用品や薬品などが欲しい時に自宅で手に入れる事が出来ます。

 

 

GoPuffのビジネスモデルキャンバス

では、GoPuffのビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。

 

1.顧客セグメント

・コンビニ利用者の50%超を占めるミレニアルおよびZ世代
・足腰が弱く買い物が困難となる高齢者

コンビニ利用者の50%超を占めるミレニアルおよびZ世代や日用品を足腰が弱く買い物が困難となる高齢者などが主な顧客セグメントとして挙げられます。
高齢者にとっては、近所のスーパーや薬局に向かうのも一苦労ですが、Gopuffでは、30-1時間程度で商品を自宅に届けてくれるためとても便利ですね。

 

2.提供価値

・日用品の30分配達サービス
・競合他社より早く多くの商品の中から好きな物を届ける
・物流の手間を省き、低コスト化を実現
・24時間年中無休
→配達が早いECサイトとなると営業時間が限られているサイトが多い

GoPuffは、日用品を「30分以内」で配達するサービスを提供しています。
飲料やスナックはもちろん、酒類や冷凍食品、温かいピザなど扱う商品は多岐にわたっています。
24時間営業のオンラインコンビニのような形態で、この業態は「クイックコマース(Instant Delivery)」として、国内外で注目されています。
日本でもヤフーが積極的に取り組んでいるほか、楽天もUberとタッグを組み、有望市場のシェア争いを始めています。
GoPuffは、そんな有望市場にいち早く目をつけ、成長したと言えます。
また、大学生向けの生活品配達事業として開始したGoPuffは、夜中のふとした瞬間にアイスやスナック菓子が欲しくなった際、すぐに商品を配達する衝動買い需要を満たすサービスとして立ち上がりました。今でもこうした需要を獲得しており、配達料金一律1.95ドルと安めの設定で人気を得ています。現在、500以上の拠点を運営し、2,500以上の商品を扱っているとのことです。
Gopuffが事業を展開するアメリカでは、サービスを提供する地域ごとに倉庫を設置していて、その倉庫から直接顧客に届けるシステムを実装しています。
これにより物流の手間を省き、低コスト化を実現しています。
また、配達が早いECサイトは営業時間が限られている場合も多いですが24時間年中無休なので必要な時にすぐに注文できる点も魅力です。

 

3.チャネル/販路

・GoPuff ECサイト
・クチコミ、SNS
・Uberとの提携、プレスリリース、スタートアップ系メディア

利用者は、GoPuffのECサイトから商品を購入することが出来ます。
クチコミやSNSで評判が広まり、さらにはUberとの提携、プレスリリース、スタートアップ系メディアの掲載によりサービスの認知が広がったと言えます。

 

4.顧客との関係

・衝動買い需要を抑えた製品ラインナップ
・低価格で提供、配達コストを考えなくても良い 

例えば深夜の間食や、大事な物資を切らしてしまった時など、すぐに満たしたいニーズがあります。また、生理品やピルを含む対面でもらうには恥ずかしい一方、緊急性を要する商品需要も挙げられます。Amazonプライムの配達では2日もかかるので待てないといった消費者心理を突くべく、商品ラインナップも必要性に駆られる物を中心に揃えています。
また、物理的な流通センターを所有しているため、サプライヤーから卸売価格で製品在庫を一括購入できます。
これにより、価格が低く抑えられ、利益を得るために配送料に頼る必要がなくなる仕組みです。
顧客にとっては毎回配達コストを考える手間が省け、UXとしても洗練されたものとなります。

 

5.収益の流れ

・配達料金(一律$1.95(約215円))+商品販売マージン

競合他社はダイナミック・プライシングに基づき、時間帯によって配達料金を変えています。
これは収益を配達料金に頼っているため、固定価格でのサービス提供ができないデメリットを抱えているからですが、GoPuffは配達料で稼ぐことはせず、商品販売マージンを収益源に据えることで低価格の配達料金設定を実現できています。
収益は配達料でなく、商品の仕入れから配達までを一貫して自社で行うことにより、商品の販売による利益を収益の主体としていて、肉や魚などの生鮮食料品やフードデリバリーを取り扱わず、スナック菓子や冷凍食品、日用品、一般用医薬品など長期保存可能な商品を中心とすることでコストと廃棄の低減により利益率を向上させています。
このようにGopuffは仕入れから販売、配達までの垂直統合型ビジネスモデルであり、全体で一括して仕入れた商品を各地に設置した小規模な配送センター/ダークストアより、ギグワーカーを活用して配達を行っています。そのため、収益モデルで他の配達サービスと一線を画しています。

 

6.主要な資源

・在庫保管するために地元の倉庫施設
・独自予測アルゴリズム
・顧客の注文データ(どこで、何時に、どのような種類など)

GoPuff はサービス提供する都市において、在庫保管するために地元の倉庫施設を所有しています。また、独自のアルゴリズムを開発・稼働させる事で、配送効率を高めています。
加えて、例えば学生の顧客がどこから注文しているか(寮の部屋、図書館、パーティーなど)、何時に注文しているか、どのような種類の製品を注文しているかまで把握し、それに応じてマーケティングプランを調整できるようにしています。
GoPuffは今のところデータを販売する予定はないとのことですが、Amazonなども手を出せていない膨大な独自の価値を持っており、物流とマーケティング、両方に寄与するデータを保有することで垂直統合型の配達サービスを確立していると言えます。

 

7.主要な活動

・日用品の30分配達サービス
・サプライヤーからの製品購入
・独自予測アルゴリズム開発

GoPuffは日用品の30分配達サービスを提供しています。
仕入から行っているため、サプライヤーからの製品購入も行っています。
独自予測アルゴリズム開発していて各拠点の在庫レベルを常に把握しているため、在庫切れや代替品の必要性のリスクを軽減しています。配達員の移動速度や地域性、悪天候などの変数に基づいて配送システムを調整しているそうです。

 

8.主要パートナー

・サプライヤー
・Uber

顧客に低価格でサービスを利用してもらうために商品の仕入れから配達までを一貫して自社で行っているため、サプライヤーの存在はとても重要です。
また、「Uber Eats」の親会社である「Uber」との資本提携を、2021年5月に発表しており、大手デリバリーサービスのノウハウなどをGoPuffに活用することが出来るようになったと言えます。

 

9.コスト構造

・独自予測アルゴリズム開発費
・サプライヤーからの製品購入費→
・地域ごとの倉庫管理費
・商品の仕入れから配達までを一貫して自社で行うことによりコストダウン

主なコストとしては、独自予測アルゴリズム開発費やサプライヤーからの商品購入費、地域ごとの倉庫管理費などが挙げられます。
加えて、GoPuffは商品の仕入れから配達までを一貫して自社で行うことによりコストダウンを実現できていると言えます。

 

 

Gopuffが、米国で注目を集めている理由とはー

現在のUber Eatsの利用者は、若年層が多くの割合を占めています。
しかし、現在アメリカで事業展開しているGopuffは、高齢者層の顧客も多く獲得しています。
高齢者にとっては、近所のスーパーや薬局に向かうのも一苦労です。
Gopuffでは、30-1時間程度で商品を自宅に届けてくれます。
Amazonやネットスーパーなどの利用も可能ですが、実際に食料品が届くのは2-3日後になってしまいます。
こういった他のデリバリーサービスには無い「商品種類の豊富さ×配達スピードの速さ」が、様々な世代の顧客ニーズをとらえているのです。
他にも独自に構築したアルゴリズムや配送地域ごとに配置された倉庫からの直接配送システムによって商品価格が抑えられている点など顧客へ高い価値の提供を実現しています。

 

ビジネスモデルキャンバス(BMC)とは? 企業事例・作成方法とコツ・テンプレートを紹介

ビジネスモデルキャンバスについて9つの項目の書き方、また実際の企業の事例などを掲載しています。
ビジネスモデルキャンバスの作成方法、事例紹介はこちらをご覧ください。

 

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