飲食店DXでコロナ禍の営業に変化「築地銀だこ‐ギンダコハイボール横丁」をビジネスモデルキャンバスで分析

昨今、「DX」はホットな話題となっています。
IT業界などに関わらず、飲食店業界にも同じことが言えます。
コロナ禍では、コロナ禍前にはなかったような需要も増しており、利用客からは非接触でのサービス提供の要望も挙げられています。業界全体の動きとしては、感染防止対策の実施、キャッシュレス決済の導入、小分けメニューの取り入れ、モバイルオーダーなどが挙げられます。
そして、新型コロナウイルスの感染者数の増減により先行きが見通せない状況にあるだけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で材料仕入れの問題や、燃料不足による価格の高騰など、さらに厳しい状況が続いていきます。そんな中、時代の変化に沿ったDXを推進し、店舗変革を行っていくことが重要視されているのです。

 

 

築地銀だこ」とは

築地銀だこは、株式会社ホットランドが運営するたこ焼きを製造・販売するチェーン店です。
たこ焼きと言えば、表面がパリッ、中がトロッ、タコはプリッ、の独特の食感が特徴でたこ焼き日本一のチェーン店を目指しています。路面店だけでなくショッピングセンター、フードコート、スーパーなど、日本各地に出店し、急成長を遂げました。
店名『築地 銀だこ』の由来は、毎日のように築地に通っていた社長が、築地の『活気がある』『新鮮な魚介』のイメージを込め「築地」、そして『東京でやるなら銀座』『いつか銀座でやりたい』という想いから、銀座の銀を取り「銀だこ」となりました。面白いですね。
その築地銀だこがプロデュースする「ギンダコハイボール横丁 東銀座店」で、店舗のDX化に取り組んでいます。DX化を行うことで、どのような変化があったのか見ていきましょう。

 

 

築地銀だこのビジネスモデルキャンバス

では、築地銀だこのビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。
DX前を「Before」、DX後を「After」で示しています。

 

1.顧客セグメント

Before:日常的に来店してくださるお客様
After:コロナ禍でも来店してくださるお客様

DX化によって日常的に来店してくださるお客様から、コロナ禍でも来店してくださるお客様に変化しました。
元々、日常的に来店してくださるお客様も残っているかもしれませんが、飲食店を訪れるのは控えようという方も一定数いるため来店してくださるお客様にがあったと言えます。

 

2.提供価値

Before:スタッフが考える一口ピザなどのタパス料理を主に提供
After:データ分析により、コロナ禍で変化する顧客ニーズに対応したメニューを提供
Before:現金による支払い
After:クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレスに対応し、コロナ禍の安心という価値提供に変えた

一口ピザなどのタパス料理を主に提供していましたが、実際お客様が何を注文しているかのデータ分析によって、タパスの売り上げが伸び悩んでいるのに比べ、煮込み料理の売り上げが良いことが分かりました。そこで東銀座店オリジナルのメニューとして、煮込み系メニューのラインアップを増やしました。
DX化することで、注文のデータ分析からお客様のニーズに沿ったメニュー提供を可能としました。
また、以前は現金による支払いだったのをクレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレスに対応しています。注文は、QRコードをスマホで読み取ることで可能となり、料理の提供もロボットが行います。
出来るだけ人と非接触でお店を利用することができ、コロナ禍の安心という価値提供に変えています。

 

3.チャネル/販路

Before:スタッフによる注文の受付
After:利用客がスマホでQRコードを読み取り、モバイルで注文を受付
Before:スタッフによる配膳
After:注文した料理は顧客の好みを見ながら、配膳ロボットとスタッフで切り分けて配膳

以前、注文はスタッフによって受け付けていました。DX後には、利用客がQRコードを読み取り、モバイルでの注文へと変わり、コロナ禍に出来る限り対人での接触をしなくとも良くなりました。
また、注文した料理はスタッフによる配膳から顧客がどちらの配膳が良いかを判断した上で、ロボットとスタッフで切り分けて配膳することでホールスタッフの削減やキッチンスタッフが調理に集中できるようになり業務の効率化に繋がりました。

 

4.顧客との関係

Before:一定のBGMによる雰囲気作り
After:顧客入店時に天井のAIカメラが自動で客層を判断して、年代や性別、来店時の季節などに合わせてBGMを流す

DX前の店内のBGMは、一定のBGMによる雰囲気作りを行っていました。
DX後には、顧客が入店した際に天井にあるAIカメラによって自動で客層を判断し、年代や性別、来店時の季節などを考慮しBGMを流すようになりました。
居酒屋などを訪れた際どのお店も似たようなBGMが流れるという経験も多いですが、顧客に合わせたBGMが流れるのは面白い施策であると言えます。

 

5.収益の流れ

Before:顧客の飲食費
After:顧客の飲食費(増加↑)、データ分析・活用で売れ筋メニューの開発など

収益の顧客の飲食費は、データの分析や活用によって、売れているメニューが分かり売れ筋メニューの開発に役立てることで売上増加に繋がりました。

 

6.主要な資源

Before:7名のホールスタッフ
After:5名のホールスタッフ、AIカメラによるBGM選定、モバイルオーダー、POSレジ、配膳ロボット、Key

DX前、7名のホールスタッフによって注文の受け付け、料理の配膳などを行っていましたがDX後にはAIカメラによるBGM選定や、QRコード読み取りによるモバイルオーダー、POSレジ、配膳ロボットの活用によって5名のスタッフでまかなうことが出来るようになりました。
東銀座という立地もあって、人材採用が難しいこともあり人員削減につながったことは人件費削減以外にも大きなメリットとして挙げられます。

 

7.主要な活動

Before:配膳やオーダー、レジでの集計を7人のホールスタッフで稼働
After:オーダー、配膳、レジでの集計をデジタル化したことで、5人のホールスタッフで運営できるようになった

DX前には、配膳やオーダー、レジでの集計を7人のホールスタッフで稼働していました。
DX後には、オーダー、配膳、レジでの集計をデジタル化したことで、5人のホールスタッフで運営できるようになりました。
配膳については、接客の良さがなくならないように、ロボットを喜ぶ方、嫌がる方の様子を見ながら、配膳すべき方には配膳して対応しています。

 

8.主要パートナー

After:USEN「まるっと店舗DX」

「まるっと店舗DX」は今回のDXによって銀だこに大きな変化をもたらしたと言えます。

 

9.コスト構造

Before:スタッフの人件費
After:スタッフの人件費(削減↓)7人のスタッフが必要だったが、5人で運営できるようになった
Before:配膳やオーダー、レジでの集計にかかる時間
After:配膳やオーダー、レジでの集計にかかる時間(短縮↓)

DX化によってスタッフの人件費が削減しました。
DX前、7人ホールスタッフが必要でしたが、注文の受け付け、料理の配膳などを行っていましたがDX後にはAIカメラによるBGM選定や、QRコード読み取りによるモバイルオーダー、POSレジ、配膳ロボットの活用によって5人で運営できるようになりました。
注文の受け付けや、配膳、レジでの集計などにかかる時間も短縮でき、効率化にも繋がっています。

 

 

ビジネスモデルキャンバスにおけるDX領域

DXをビジネスモデルキャンバスで示すと、どこに特徴があるか、重視したかによって上のような領域に分けることが出来ます。
築地銀だこは、AIカメラによるBGM選定、モバイルオーダー、POSレジ、配膳ロボットなどの導入などによって顧客への新しい価値提供を達成しました。
そのため、上の図において、今回の「築地銀だこ‐ギンダコハイボール横丁」は”顧客接点のDX”であると言えます。

 

 

DX化により人員削減、効率化、売上増加など大きな結果に繋がった

DX化をすることによって、調理など本来重視すべきタスクへの集中が可能となり、配膳の遅れやオーダーミスなども減少、顧客サービスの充実化ができた上、売れ筋メニューの強化や非接触サービスの導入で客単価が増加しました。
また、東銀座という立地もあり、人材採用が難しいためデジタル化でスタッフが対応しなくても良い作業が増え、人員削減に繋がったのは大きな効果であったと言えます。

 

 

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