
魅力的な商品が安く手に入る会員制スーパーマーケット「コストコ」をビジネスモデルキャンバスで分析
最近、SNS上でも友人同士でコストコに訪れ、コストコパーティーやコストコの購入紹介を行っていることを目にすることが多くなりました。
ただのスーパーマーケットという立ち位置ではなく、コストコをテーマパークの一種として考え、レジャー化していることが分かります。
地域のスーパーマーケットとは異なる、倉庫型の店舗を持つコストコの人気の理由は何か見ていきたいと思います。
目次
「コストコ」とは?
コストコは、魅力的な商品が安く手に入る会員制のスーパーマーケットです。
米国発のコストコは会員制の倉庫型店舗を特徴としていて、年会費を支払うことで入店、購入ができるというビジネスモデルをとっています。2013年に日本国内で初の店舗がオープンした際には、事前入会者が5万人を超えて話題になりました。
近年では、コストコパーティーなどがYouTubeやSNS上で話題となり、若者からも人気を集めています。
コストコのビジネスモデルキャンバス
では、コストコのビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。
1. 顧客セグメント
・会員
・会員の同伴者
・会員になりたくて訪れる人
コストコは、年会費を支払って入会している会員とその会員の同伴者2名迄入店可能となっています。
そのため定期的にコストコを利用したい人は、入会し会員になる必要があり、誰でも入店が出来るわけではないのが他のスーパーマーケットとは大きく異なる部分とも言えます。
高品質、大容量な商品を購入したい方が会員になりコストコを利用しています。
会員の同伴者として過去にコストコを訪れたことが入会したい、近所にコストコがあるため利用したい、大容量でまとめて購入したいなどの人も顧客セグメントに当てはまるでしょう。
2.提供価値
・原価率90%のクオリティと安さ
・高品質な優良ブランド商品を低価格にて購入可能
・会員+同伴者2名のみ利用可能(特別感)
年会費を会員から受け取っている分、顧客は高品質な優良ブランド商品を低価格で購入することが出来ます。コストコの商品は、大容量であることも魅力で、通常のスーパーマーケットでは購入できないような大容量の生活用品、食品等が購入できます。
また、販売点数を圧倒的に絞ってボリュームディスカウントを効かせていることや会費を受け取ることから原価率90%のクオリティと安さで商品を提供できることが出来ています。
会員のみ(詳細に言うと、会員と会員の同伴者2名のみ)が入店可能であるといった特別感からもコストコを利用したいという気持ちも生まれているのではないでしょうか。
3.チャネル/販路
・同伴者をつれてくる会員
・店舗、オンラインショップ
コストコを利用出来るのは、会員と会員が連れてくる同伴者2名迄となっています。
会員が連れてくる同伴者は、いうのであれば次の会員候補であると言えます。コストコを利用し、同伴者自身が実際に魅力を感じることで会員増加へとつながっているのです。
また、コストコでは倉庫型店舗をはじめとして、オンラインショップもあります。
通常のスーパーマーケットのオンラインショップは誰でも利用することが可能な場合が多いですが、コストコはオンラインショップも同様に、会員のみ利用が可能です。
4.顧客との関係
・高品質、大容量の商品を低価格にて購入可能
・会員のみ利用可能(特別感)
・倉庫型店舗で非日常感を味わうことが出来る
会員のみが利用可能で高品質、大容量の商品を低価格で購入が出来るといった点に魅力があります。
また、現在はコロナウイルスの影響で実施されていませんが、「試食」もコストコでは多く行われており、試食が沢山あって楽しいと感じているお客さんも多かったのではないでしょうか。
倉庫型店舗であるため広々としていて、販売されている商品も通常のスーパーマーケットでは見ることがないようなラインナップかつ、大容量商品も多いため、国内にいながらまるで海外のスーパーマーケットのようです。そのようなコストコを一種のテーマパークのように捉えている方も多いと思います。
『訪れるだけで楽しい』、そんな店舗作りも顧客を集める一つの魅力と言えます。
5.収益の流れ
・会員料金
・販売点数を絞ってボリュームディスカウントを効かせている
コストコの稼ぎ柱は会員料金で営業利益の半分以上を占めています。
「会員料」は売上高としては少なくなりますが、原価はほとんどかかりませんので、営業利益の比重としては大きくなります。
コストコは良い商品を安く売ることを「会員」という限定した顧客に価値提供することで利益を出しています。
実際の商品自体は、低価格で販売しても構わないが、コストコを楽しんでもらい、翌期も会員を継続してもらい、年会費収入が得られ、それが安定した利益に直結していくモデルになっています。
会員料金の分、各商品を安く販売しなければいけないわけですが、なぜ各商品を安く販売できるのでしょうか。
その秘密は「販売点数を圧倒的に絞ってボリュームディスカウントを効かせている」ことにあります。
カテゴリーごとに売れ筋商品にのみ発注を絞ることで、メーカーに対するバイイングパワーを獲得し、圧倒的低価格を実現しているのです。
6.主要な資源
・バックヤード兼店頭にあたる倉庫型店舗
・優良な国内外のサプライヤー
必要箇所に人的リソースをあてる手段として、「倉庫型にする」ことが挙げられます。倉庫型にすることで、バックヤードから店頭に移動する人員を省くことができます。
つまり、コストコは店舗自体をバックヤード兼店頭にあたる倉庫型にすることで、販売促進に最大限人員を割り当てることが可能となっています。
また、優良な国内外のサプライヤーによって顧客へ高品質な商品を提供することに繋がっています。
7.主要な活動
・直接国内外のサプライヤーと取引
・会員増加の取り組み
コストコは、直接国内外のサプライヤーと取引を行うことで高品質な優良ブランド商品を仕入れています。
また、利益としてとても重要な会員増加の取り組みに力を入れています。
日本ではあまり見たことがない商品が店に並べることで、買い物に行きたくなる店として支持率が高まっています。
8.主要パートナー
・国内外のサプライヤー
・年会費継続をしてくれる会員
コストコに訪れてくれる会員がいなければ経営は成り立ちません。
翌期にも年会費継続をしてくれる会員をより増やすことが重要だと言えます。
また、そのためには会員が満足するような商品を取りそろえる必要があります。
国内外のサプライヤーと直接取引をし、どのような商品を置くことでお客さんが喜んでくれるかを考え、取り扱う商品を選定しています。
9.コスト構造
・人件費
・高品質な商品の仕入れ(約90%の原価率)
コストコを楽しんでもらい、継続して会員費収入が得ることができれば、それが安定した利益に直結していくモデルになっているため販売する商品は約90%の原価率となっています。
「販売点数を圧倒的に絞ってボリュームディスカウントを効かせている」ことで上記のようなことが出来ているのです。
また、現在はコロナウイルスの影響で実施されていませんがコストコの特徴の一つでもある多くの試食スペースを設けるにあたって、人員が必要となります。店舗を倉庫型にすることで、バックヤードから店頭に移動する人員を省いているためその分試食スペースに人員を導入するなどの工夫もなされています。
コストコが人気を高め続ける理由は、会員ビジネス
コストコは良い商品を安く売ることを「会員」という限定した顧客に価値提供をしています。
年会費を受け取り入会してもらう分、高品質な商品を低価格で提供するよう取り組んでいます。
会員は、会員のみしか利用できないという「特別感」を味わうことができ、通常のスーパーマーケットとは違う海外のスーパーマーケットのような広々とした倉庫型店舗でテーマパークに来たようなワクワク感も同時に味わうことができます。
商品の取り揃えも、通常のスーパーマーケットではないようなものが陳列されているため店内を歩いているだけで楽しさを感じられます。大容量商品も多いため、他の人とシェアをしたり、購入した食品でコストコパーティーをしたりと、様々な楽しみ方が出来るでしょう。
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