100万DLを突破したメタバースプラットフォーム「cluster」をビジネスモデルキャンバスで分析

最近大きく注目を集めている「メタバース」を活用したサービスが増えてきています。
内容としては、アバターを作成し動かすことで仮想空間を移動し、他のユーザーとのコミュニケーションを図ることが出来るなど、「場所を問わずに没入感のある空間を共有できる」といった側面が強調されるケースが多く見られます。
2022年7月100万ダウンロードを突破した「cluster」も、自身のアバターを動かすことでユーザーが制作したバーチャル空間「ワールド」を移動したりユーザー同士でコミュニケーションをとることが出来ます。

 

 

cluster」とは


引用:https://cluster.mu/

クラスター株式会社が提供するバーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できるメタバースプラットフォームです。
2022年7月現在、100万ダウンロードを突破しました。VRヘッドセットやPC、スマートフォン等からアクセスでき、バーチャルイベント会場やユーザー同士の交流の場として活用されています。
「VR」や「メタバース」など注目を集めている分野のサービスのため、エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びています。

 

 

clusterのビジネスモデルキャンバス

では、clusterのビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。

 

1.顧客セグメント

・バーチャル、仮想空間に興味がある人
・現実世界以外で自由に創造、イベント参加などで楽しみたい人
・cluster内で音楽ライブなどのイベントを開催したい企業や個人ユーザー

バーチャル、仮想空間に興味があり、現実世界以外で自由に創造、イベント参加などで楽しみたい人やcluster内で音楽ライブなどのイベントを開催したい企業や個人ユーザーも顧客セグメントとして挙げられます。

 

2.提供価値

・リアルでは出せない理想の自分像で生きることができる
・バーチャル上で音楽ライブ、イベントに参加したり、ゲームで遊ぶことのできる新しい体験の提供
・リアルでは出会えないようなユーザー同士のコミュニケーション機会の提供
・バーチャルアイドルの認知度を上げたい、多くの人が集まるイベントでの広告出稿によって認知度向上

Clusterは、バーチャル上で音楽ライブ、カンファレンスなどのイベントに参加したり、友達と常設ワールドやゲームで遊ぶことのできるメタバースプラットフォームを提供し、全く新しいエンタメと熱狂体験を提供しています。
リアルの現実世界とは違う理想像の自分で活動することや、現実世界で出来ないようなことも出来る場としても新しい体験の提供を実現しています。
ユーザーが自由に「ワールド」と呼ばれる仮想空間を創造することが可能で、リアルでは出会うことが出来ないようなユーザー同士ともコミュニケーションの場となっています。
また、イベントを開催する企業や個人ユーザーはバーチャルアイドルの認知度を上げたい、多くの人が集まるイベントでの広告出稿によって認知度向上を図ることが出来ます。

 

3.チャネル/販路

・アプリストア
・メディア

Clusterはアプリストアでダウンロード配信を行っています。
その他にも、メディアや、TwitterなどのSNSでも話題に挙がっていたりと様々な場面で認知が広がっているといえます。

 

4.顧客との関係

・スマホやPC、VRといった好きなデバイスから数万人が同時に接続できる
・Clusterでしか出来ない体験が有料イベントで体験出来る

clusterは、スマホやPC、VRといった好きなデバイスから数万人が同時に接続できます。
その接続しやすさもユーザーが利用しやすい理由の一つとして挙げられるでしょう。
また、音楽ライブなどの有料イベントを開催することが出来ます。そこで広告出稿を行うことでより多くの人の目に留まるでしょう。

 

5.収益の流れ

・有料チケットの販売と、参加者が使用する「Vアイテム」によって収益
・手数料、広告出稿料
・音楽ライブなどのイベントを行いたい企業や個人向けに、コンサルとしての収益
【今後】
・アイテム課金や物販も手掛けることで、イベントあたりの収益を増やすことも考えている 

イベントを開催する場合は、演者側と参加者側に分かれていて、演者に向けて参加者がお金を払うという仕組みになっています。イベント主催者は、有料チケットの販売と、参加者が使用する「Vアイテム」によって収益を得て、それらの手数料がクラスター側に入るようになっています。
また、バーチャルタレントによる音楽ライブなど、似通った趣味趣向の人たちが1つの空間に、しかも数千人単位で集まる「cluster」は、広告出稿の場としても向いていると言えます。
そして、「cluster」を使って音楽ライブなどのイベントを行いたい企業や個人向けに、コンサルとしての収益も得ています。現状では有料イベントはまだ数十回程度の開催ではありますが、今後は右肩上がりで増えると想定されています。今後はアイテム課金や物販も手掛けることで、イベントあたりの収益を増やすことも考えているとのことです。

 

6.主要な資源

・メタバースプラットフォーム cluster
・100万人以上のユーザー
・VR、メタバースのノウハウ

「ワールド」の創作などによってユーザも一緒に作り上げているメタバースプラットフォーム 「cluster」や、100万人を超えるユーザー、VRやメタバースのノウハウはとても重要な資源と言えます。

 

7.主要な活動

・メタバースプラットフォーム cluster開発費、運営
・音楽ライブなどのイベントを行いたい企業や個人向けコンサル
・多数同時接続のネットワーク品質管理

メタバースプラットフォーム clusterの開発、運営や音楽ライブなどのイベントを行いたい企業や個人向けのコンサル、また、多数同時接続のネットワーク品質管理も重要な活動の一つです。
clusterでは、5千人まで同時接続が可能で、同じ会場に集まることができます。このように多くの人が同時に接続して利用しても安定したネットワークを保持しています。

 

8.主要パートナー

・ユーザー
・イベント主催者

clusterでの仮想空間「ワールド」を作ったり、ワールド内を盛り上げ展開してくれるユーザーや、イベント主催者は欠かせないパートナーとして挙げられます。

 

9.コスト構造

・メタバースプラットフォーム cluster開発費、運営費

メタバースプラットフォーム cluster開発費、運営費が主なコストとして挙げられます。

 

 

VRビジネスの失敗要因を生かしたメタバースプラットフォームの構築

2000年代初めに登場した「cluster」と同様に3Dアバターの住人たちが集う仮想空間サービスを展開した企業は空間の過疎化によって失敗に終わってしまいました。
仮想空間内で、通貨をユーザー同士で回す仕組みや、企業広告の掲載によって収益を得る仕組みを作りましたがユーザーが自由に土地を広げられる仕組みであったため、土地だけがどんどん広くなりアバターの人口密度が低下していってしまいました。そのため、通貨の流れが滞り、広告を打とうにも誰も見ていないような状況が生まれてしまったのです。
一方、「cluster」は最初から「イベント」という単位で部屋を創り、イベントが終了したら部屋は消滅するため、無制限な空間の拡張はありません。イベントを開催する場合は、演者側と参加者側に分かれていて、演者に向けて参加者がお金を払うという仕組みを作っているため同じような失敗要因を辿ることはないと言えます。
このように、他社の失敗要因・成功要因から学び自社のサービスに活用することによって100万人をこえるユーザーを獲得するほどの人気を集めていると言えます。

 

 

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