自動車業界のDX中古車仲介「情報メディア・カーセンサー」をビジネスモデルキャンバスで分析

中古車市場はコロナ禍からの復調傾向にあります。
世界的な半導体不足やコロナによる工場の操業停止などにより、新車の生産台数が減ったことで中古車のニーズが高まり、市場が大きく伸長しているとみられます。また、半導体不足やコロナによる工場の操業停止によって新車の納期が延び、すぐに車が欲しいという人に「比較的新しい中古車」の需要が増えています。
WEBメディア事業は、若年層を中心に紙媒体の雑誌よりWEBメディアのユーザーが増加しています。
ネット広告の分野でも、パソコン向けの広告からスマホやタブレットの広告へと変化しており、モバイル向けの広告市場は急成長する見通しです。

 

 

「カーセンサー」とは

リクルートが運営する中古車情報のサイトです。全国の中古車が様々な条件で検索可能となります。
コロナ禍で、実際に店舗に見に行く機会が減っている傾向にあるため、インターネットを利用して情報を探す人が多くなったと言えます。その傾向もあり、カーセンサーの利用者数は今までは数%単位の増加であったのがコロナ禍では数十%の単位で急激に増加しました。

 

 

カーセンサーのビジネスモデルキャンバス

では、カーセンサーのビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。
DX前を「Before」、DX後を「After」で示しています。

 

1.顧客セグメント

Before:近場でいい中古車を探したい消費者層
After:遠くてもいいから早くいい中古車を探したい消費者層

近場で良い中古車を探したい消費者層から、遠くてもいいから早くいい中古車を探したい消費者層に変化しました。
新車の台数減・納期遅れを受け、新車の台数が減ると、下取りに出てくる中古車も少なくなり、仕入れが難しくなることで、中古車を確保することが難しくなっているという原因が挙げられます。よって、中古車の競争率が上がり早く手に入れたいと考えている人が増えています。

 

2.提供価値

Before(顧客):緊急事態宣言等でオフラインでの接客は行えずにいた。
After(顧客):消費者がオンライン上で「本当に欲しいクルマ」を事前に探せるだけでなく、販売店と相談や実車確認ができるようになった。
Before(販売店):従来は販売店への問い合わせから顧客が来店するまで数日かかっていた。
After(販売店):問い合わせから接客までが即日対応できるだけでなく、契約後の煩雑な作業もオンライン化できるようになった。

緊急事態宣言等でオフラインでの接客は行えずにいました。しかし、カーセンサーのオンラインツールなどの導入により消費者がオンライン上で「本当に欲しいクルマ」を事前に探せるだけでなく、販売店と相談や実車確認ができるようになりました。
また、従来は販売店への問い合わせから顧客が来店するまで数日かかっていたところ、問い合わせから接客までが即日対応できるだけでなく、契約後の煩雑な作業もオンライン化できるようになり消費者、販売店共にメリットが大きいと言えます。

 

3.チャネル/販路

Before:Webメディア+対面(オフライン)
After:Webメディア+来店・購入用オンラインツール

DX前は、カーセンサーのWebメディア、対面(オフライン)での販売が主流でしたが、DX後はツールの導入によってWebメディア+来店・購入用オンラインツールとなりチャネルが増えました。

 

4.顧客との関係

Before:Webメディアでの中古車情報の確認+販売店での対面接客
After:Webメディア内「360度画像」を含む中古車情報の確認+オンライン接客システム「インスタントLIVE」での接客

顧客との接点としても、Webメディアでの中古車情報の確認、販売店での対面接客だけでなくWebメディア内「360度画像」を含む中古車情報の確認+オンライン接客システム「インスタントLIVE」での接客を変化しました。
「360度画像」は、『カーセンサー』内の個別の車種ページで内外装を 360°好きな角度から確認できる機能です。この機能によって、店舗訪問前のイメージと実物が異なるというようなギャップを小さくするとともに、ユーザーが店舗に実際に足を運ぶ前から「本当に欲しいクルマ」を絞り込むことが可能になったとのことです。
「インスタントLIVE」は、オンラインでのビデオ通話を通して、ユーザーと販売店間で相談・実車確認ができ、対象中古車には『カーセンサー』の該当ページにてアイコンを表示することが出来るため消費者にも対象の中古車が分かりやすいです。

 

5.収益の流れ

Before:販売店からの収入・ネット広告
※緊急事態宣言やコロナ禍における外出制限により販売店の売上が激減
After:販売店からの収入・ネット広告
※緊急事態宣言明けの反動需要やコロナ禍におけるネット利用者増もあり、来店・購入用オンラインツール導入後、導入中古車台数は 1 か月間で 474%に増加

カーセンサーの収益は、販売店からの収入・ネット広告でしたが緊急事態宣言やコロナ禍における外出制限により販売店の売上が激減したためカーセンサーにもそれなりの影響があったかと思います。
ですが、緊急事態宣言明けの反動需要やコロナ禍におけるネット利用者増もあり、来店・購入用オンラインツール導入後には、導入中古車台数は 1 か月間で 474%に増加しました。

 

6.主要な資源

Before:Webメディア
After:Webメディア+来店・購入用オンラインツール

主要な資源としてDX後には、Webメディアだけでなく、オンラインで接客を行うことが出来る来店・購入用オンラインツールも加わりました。

 

7.主要な活動

Before:ユーザーの車探しから来店、購入までをサポート
After:ユーザーの車探しから来店、購入までをサポート+顧客と販売店をつなぐためのデジタル活用

ユーザーの車探しから来店、購入までをサポートまでを提供していたところ、問い合わせから接客までが即日対応できるだけでなく、契約後の煩雑な作業もオンライン化できるようになるなど顧客と販売店をつなぐためのデジタル活用も提供しています。

 

8.主要パートナー

After:株式会社アルファ・ゴリラ
※「インスタントLIVE」の開発及び提供

自動車業界向けに WEB サービスを展開する株式会社アルファ・ゴリラの「インスタントLIVE」を導入し、対象の中古車についてオンラインで相談・実車確認ができるオンライン相談機能のサービスを提供しています。

 

9.コスト構造

Before:メディア運営費
After:メディア運営費+来店・購入用オンラインツール導入・維持費

メディア運営費や、DX後には来店・購入用オンラインツールの導入、維持費も挙げられますが、オンラインツールの導入によって時間のコストは大幅に削減できているでしょう。

 

 

ビジネスモデルキャンバスにおけるDX領域

DXをビジネスモデルキャンバスで示すと、どこに特徴があるか、重視したかによって上のような領域に分けることが出来ます。
DX化によって、Webメディア内「360度画像」を含む中古車情報の確認やオンライン接客システム「インスタントLIVE」での接客が可能となり、消費者が直接店舗に来店せずとも車を購入することが出来るようになりました。システムなどによってオペレーション方法が変わり、顧客接点の場も変わりました。そのため、上の図において、今回の「カーセンサー」は”オペレーションのDX” ”顧客接点のDX”であると言えるでしょう。

 

 

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