新しいテレビのスタイル「ABEMA」をビジネスモデルキャンバスで分析

コロナ禍の巣ごもり生活で、おうち時間が増え、家での過ごし方も変わったのではないでしょうか。
Amazon PrimeやNetflix、YouTubeなどの配信サービスを見て時間を過ごすことが増えたという人もよく耳にします。
数ある配信サービスの中でも、『ABEMA』 という配信サービスはご存知でしょうか。
今回は、新しいテレビスタイルとしても挙げられるABEMAについて着目していきたいと思います。

 

「ABEMA」とは

ABEMA(アベマ)は、26番組をインターネットで24時間無料で会員登録不要で楽しむことができるインターネットテレビ・ビデオサービスです。株式会社サイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資で2016年に設立した株式会社AbemaTVが運営しています。
ABEMAには『テレビ』サービスと『ビデオ』サービスの2種類あります。『テレビ』サービスは、24時間完全無料で利用することができます。『ビデオ』サービスは、一部無料で利用することができます。
近年では、恋愛リアリティーショー「オオカミくん(オオカミちゃん)には騙されない」シリーズ、「今日、好きになりました」などで女子中高生から大きな反響を得ており、ユーザー数も年々増加しています。

 

 

ABEMAのビジネスモデルキャンバス

では、ABEMAのビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。

 

1.顧客セグメント

・無料でオリジナル作品含め様々なコンテンツを楽しみたい人
・有料会員でより多くのコンテンツを楽しみたい人

ABEMAでは、無料でオリジナル作品含め様々なコンテンツを楽しむことが出来ます。
また、無料でのコンテンツ視聴も可能ですが一部制限があるため、有料会員登録を行うことで全ての動画コンテンツを視聴可能となります。

 

2.提供価値

・『テレビ』サービス、『ビデオ』サービスを無料で利用できる
・26番組を24時間無料、会員登録不要で楽しめる
・趣味嗜好や視聴傾向に合わせたきめ細やかなレコメンド

『テレビ』サービスは、24時間完全無料で利用が可能で、『ビデオ』サービスは、一部無料で利用することができます。無料でコンテンツ視聴が可能、かつ、スマホでアプリをダウンロードするだけで視聴可能という簡単さも人気を集めている理由の一つです。
記者会見フル配信、SNSと連携、リアルタイムでコメント書き込み機能などテレビでは無いような配信、機能があるのも良い点です。
また、将棋、競輪、釣り、ボートレースなど割とマニアックなカテゴリのコンテンツを配信していることからも趣味嗜好に合ったコンテンツを視聴することができます。

 

3.チャネル/販路

・SNS、口コミ
・アプリストア
・Web広告

自粛期間中の巣ごもり生活によってスマホ視聴時間が増加していると言えます。
そこで、ABEMAでコンテンツ視聴をしようと流れ込んでくる人も多いと言えるでしょう。
SNS連携機能があるためSNSの拡散や口コミからABEMAユーザーになる可能性も大きいです。
他にもアプリストアやWeb広告で認知をして、ユーザーになる方もいるでしょう。

 

4.顧客との関係

・ユーザーの興味関心に沿うコンテンツ配信
・ユーザーも参加して番組を楽しめる

ABEMAでは豊富なカテゴリの動画コンテンツを配信しています。
24時間26チャンネルが放送しており、ユーザーの興味関心に合ったコンテンツを探しやすく、都市と地方で放送内容に格差がないため話題性を集めやすいといった部分もあるかもしれません。
また、番組配信中にリアルタイムでコメントチャットを送ることが出来たり、最近流行っている恋愛リアリティーショーでは視聴者投票があったりと、視聴者も一緒に参加して番組を楽しむことが出来ます。

 

5.収益の流れ

・広告収入
・有料会員登録による課金収入

ABEMAは大きく『広告収入』と『課金収入』で収益を得ています。
ABEMAでは、有料会員登録として月額960円(初月無料)で過去の動画コンテンツも全部含めて動画見放題のサービスを提供していて、無料利用者から広告収入、有料利用者から課金収入を得ているので、無料で公式ドラマ、アニメ、映画など最高のクオリティのコンテンツを配信することができています。

 

6.主要な資源

・他事業からの優秀な人材
・膨大なユーザーデータ、視聴ログ

他事業から優秀な人材を惜しみなく投入するなど、ABEMAにかける思いはとても強いです。
そのため、「人材」は大変重要な要素の一つであるともいえます。
また、ABEMAは開局当初から、性別 / 年齢 / 視聴傾向 /ログイン頻度といった膨大なユーザーデータや視聴ログが蓄積されています。
そのユーザーデータや視聴ログからユーザーの趣味嗜好や視聴傾向に合わせたレコメンドを目指しています。

 

7.主要な活動

・ユーザーデータとコンテンツデータの拡充による趣味嗜好や視聴傾向に合わせたきめ細やかなレコメンド
・映像技術の「リッチ化」(コンテンツの品質や届け方を工夫し解説や情報量の差別化など)
・安定した品質を低遅延で提供できる基盤+投票機能など新しい演出を可能とする土台作り

ABEMAは、若年層に刺さるコンテンツ制作やそのコンテンツを視聴した若年層のSNSでの拡散によって人気を集めています。
そして、テレビと変わらないクオリティを確保していることによって、手堅いファンを獲得しています。
また、今までに蓄積したデータから視聴者が認知している趣味以外でも発見性や親和性が高いレコメンドを可能にすることで、ユーザーにとってメリットとなります。好みのジャンルをレコメンドのベースにしつつも、他ジャンルからの意外なコンテンツとの出会いがあるというようなプラットフォームを実現することを目指しています。
ただ速報するだけでは他の配信サービスにも追いつかれ、差別化をはかれないため映像技術のリッチ化(コンテンツの品詞茶届け方を工夫し、解説や情報量の差別化など)も注力していこうと考えていまs。
さらに、日本全国の人が同時に見てもサーバーダウンしてしまわないような基盤づくりや、視聴者が番組に参加できるような投票機能など新しい演出を可能とする土台作りにも手を入れていくことで今後の成長に繋がっていくでしょう。

 

8.主要パートナー

・共同出資会社やグループ会社

ABEMAは、サイバーエージェントとテレビ朝日が長年培ってきたノウハウによってコンテンツの高いクオリティを生み出し、多くのユーザーを集めることが出来ていると言えます。
テレビ朝日の番組ではABEMAで人気を集めた俳優や、女優を起用している番組がありました。
視聴者の反響を見て、ファンを増やした俳優、女優などを起用することで番組の話題性や視聴へ繋げているとも取れるかもしれません。
会見等が長時間ある場合、地上波では放送時間の制限上一部しか流せません。しかし、会見の続きをABEMAで視聴できるとリレー中継を行うことで、地上波とABEMAの関係性は深まっています。
テレビとABEMAで上手く連携して、テレビで出来ないことを叶えるといった部分で一定数ある需要を満たしているのでしょう。
ABEMAはテレビ朝日の伝え方の技術の高さ、番組制作力をコンテンツ制作に活用し、テレビ朝日はサイバーエージェントのネット展開やWEBマーケティングの強みを活用することでお互いが良い関係を保ち、協力し合っていると言えます。
また、テレビ離れが進む近年ではスマホでしか動画視聴しない人をテレビと連携してテレビ視聴に繋げる可能性もあるでしょう。簡単に番組編成を変えられないテレビ局のニュースに対して、柔軟な放送が可能なABEMAで、強みの一つでもある、SNSとの連携を生かしながら、視聴者の心をつかむ番組づくりを目指しています。

 

9.コスト構造

・コンテンツの調達、オリジナルドラマの制作
・広告宣伝費

24時間26チャンネルを配信しているということで、その分のコンテンツの調達や、オリジナルドラマの制作にコストがかかっていると言えるでしょう。

 

 

「テレビのイノベーション」というビジョンを実現するために一貫した取り組み

SNSとの連携、膨大なユーザーデータからの分析を活用したレコメンド、オリジナルドラマの制作、視聴者参加型番組などテレビと同じことをしていくのではなく、サイバーエージェントの強みを生かしたABEMAならではの戦略がうかがえました。
ABEMAは、一貫してテレビのイノベーションを実現するためにビジネスモデルや手段を変えながらも取り組んでいます。ビジョンを明確に置くことで、そのビジョンを実現するために必要なことが見えてくるかもしれませんね。

 

 

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