YouTubeのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスの9つの項目で解説

動画コンテンツは現在、広告をはじめとしたビジネスにおいて注目されています。再生回数で収益化できるのはもちろん、インフルエンサービジネスとして知名度の向上にも効果的です。

そのプラットフォームとして幅広いユーザーに利用されているのがYouTube。ではYouTubeはどのようにして会社の規模を拡大しているのでしょうか。今回はYouTubeの歴史、サービスの紹介、ビジネスモデルキャンバスの9つの項目からそのビジネスモデルを紐解いていきます。


 

 

YouTubeの歴史

YouTubeはもともとPayPalのスタッフだった3名によって立ち上がったサービスです。はじめは動画を用いた出会い系サイトを作るつもりだったそうですが、検証・ピボットした結果、ターゲットを広げ、誰でも自由に動画をアップできるプラットフォームを構築することになりました。最初に投稿されたのは創設者の1人であるジョード・カリムがアップロードした「me at zoo」という動画。動物園の象の前で撮られたたった18秒の映像は投稿してから13年後の現在、約5500万回(2018年10月時点)も再生されています。

当時、誰もが自由に投稿しレビューし合える動画プラットフォームはありませんでした。この希少価値がYouTubeが躍進する礎になったことは間違いありません。

では単に「動画を共有する場」としての価値だけでYouTubeはここまで盛り上がったのでしょうか? いえ、それだけではすぐに第2、第3のサービスに追い抜かれてしまいます。ユーザーファーストを意識した機能の追加や、関連するサービスの開発などの動きによって勢力を伸ばしたのです。

 

 

ユーザーの利便性を意識したYouTubeの機能

数あるYouTubeの機能のうち、最も利便性が高いのが「関連動画」でしょう。ユーザーに合わせて、視聴した動画に関連する動画をサイドバーに表示してくれます。1つの動画から派生して、似た動画をすぐに見つけられるのです。

また高評価をつけたり、繰り返し再生したりすると、サイトがTOPページにユーザーに最適な動画をレコメンドしてくれる機能もあります。これはAmazonなどにも実装されている機能です。ユーザーはわざわざ検索バーに入力しなくても自動的に興味がある動画を視聴できます。

またお気に入りの動画を集めて個人的なプレイリストを作成することも可能。自分だけのインデックスがあることで、好きな動画だけを楽に視聴できます。しかもそのプレイリストは他人と共有可能です。

またすべての動画にはHTMLが実装されてされているのでSNSなどで簡単にシェアできるのも魅力。アップロード者にとっても視聴者にとっても嬉しい機能でしょう。

 

 

YouTubeの収益を支える柱

ではYouTubeはどこでマネタイズしているのでしょうか。ここではYouTubeを支える3つの柱についてご紹介しましょう。

 

1. 広告での収益

YouTubeの主な収益源は広告です。YouTubeには1日3000万人以上のビューワーが訪れます。広告主にとっても魅力的なサイトでしょう。その期待に応えるためにYouTubeは3つのポイントで広告を打てるようなサイト作りを進めています。

1つはスポンサー広告です。広告料金を支払うことで、スポンサーの動画はTOPページや関連動画の最上位に表示されるようになります。視聴者の目に触れやすくなり、クリックされる確率も高まるのです。

2つ目は埋め込み動画の広告です。動画に先駆けて再生される広告動画を指します。ユーザーのデータや再生動画の種類によって、最適な広告動画が流れることで、効率的に商材や企業のPRができます。

そして3つ目がYouTubeのWebサイトのサイドバーに表示される広告動画です。固定して配置されており、サイトを訪れた視聴者の視線に触れるので、コンテンツの再生回数を増やせます。

価格帯が違う3つの広告を設けることで、広告主にとっても使いやすいサイト作りを進めているのが優れたポイントでしょう。今や動画は低コストで作れるうえに、分かりやすくPRできるメディアです。なのでコストパフォーマンスに優れた広告を発信できます。

 

2. プレミアムサービス

YouTubeはプレミアムユーザーを設けて月額料金を徴収することでマネタイズに成功しています。例えば「YouTube Red」。視聴者がYouTube Redに加入すると広告の表示を減らせますし、オフラインで動画を見られるようになります。またアメリカの一部地域では「YouTube TV」が普及しています。1カ月35ドルを支払えば40チャンネルのライブ配信番組を視聴できるようになるサービスです。スマホやタブレット、PC、テレビなどの媒体で観られるのが魅力。着々と登録ユーザーを増やしています。

 

 

YouTubeのビジネスモデルキャンバスとは

では、ビジネスモデルキャンバスの9つの項目からYouTubeのビジネスモデルを紐解いてみましょう。顧客像やマネタイズポイント、コストがかかる場所などを俯瞰的にキャッチし、論理的にビジネスモデルを分析できます。

 

1. 顧客セグメント(CS)

・インターネットを多用する方

・積極的にビデオを見て、配信を定期的にチェックする方

・インターネットを使う人に訴えたい広告主

・自社の製品やデザインを視聴者のために動く開発者

 

2. 提供価値(VP)

・10億以上の動画にアクセスできる

・自作の動画が、数十億の視聴者に見てもらえる

・コンテンツを視聴者に発信し、分かりやすくインスピレーションを与えられる

・基本的に無料で動画を見られる

・ライブストリーミングを見られる

・広告主にとって最高のサイトの 1つである

 

3. チャネル/販路(CH)

・それぞれのユーザーが持つスマホやPCなどのインターネット媒体からの流入

・動画が埋め込まれた他のウェブサイト

・YouTube TVと契約しているテレビ

・YouTubeの動画を埋め込んでいる他のあらゆるアプリケーション

・主催するイベント

 

4. 顧客との関係(CR)

・ユーザーから提供される動画コンテンツによってサイトが成り立つので、サイトとユーザーとの一体感が生まれる

・ユーザーのデータに応じてプラットフォームがパーソナライズされるので、非常に使いやすい構造になっている

・インターネットを通じて、どこまでも世界が広がる

・再生リストや「あとで見る」機能などによって自由度が高まっている

・有害なコンテンツの削除により安心して使える

 

5. 収益の流れ(RS)

・収入の大部分は広告からのもの

・YouTube Red、YouTube TV、有料チャンネルに代表されるプレミアムサービス

・YouTube上での映画のレンタルや購入サービス

 

6. 主要な資源(KR)

・膨大なオリジナルのコンテンツを含むプラットフォーム

・親会社であるGoogleが提供する広告機能

・コンテンツを表示する動画再生機能の設備

・一定の技術革新とプラットフォームの開発

・アップロードされた動画の品質

・動画の評価、好みとコメントなどのユーザーの広大なネットワーク

 

7. 主要な活動(KA)

・作成された動画リストにより多くのユーザーを得るというマーケティング手法

・ユーザーにフレンドリーで魅力的なweb サイトの開発により、多くのユーザーを集める

・Web サイトへのトラフィックを構築し効率的に管理する

・常にアップロードされているコンテンツをフィルタリングする

・視聴者のトレンドの変化に合わせたパーソナライズ化の更新

 

8. 主要パートナー(KP)

・親会社であるGoogle

・動画のアプロード主

・開発エンジニア

・アンドロイド

・スポンサーの各ブランド

・テレビメーカー

・CBS、BBC、Vevo、Huluなどの動画関連の企業

・ジャーナリスト

 

9. コスト構造(CS)

・プラットフォームの管理費

・音楽ライセンスの取得に関する費用

・動画をホストするコスト

・マーケティングスキームで発生するコスト

・訴訟にまつわる費用

・人件費

・税金

 

 

成長を続けてきた動画プラットフォームの雄

世界で2番目に多くのサクセス数を叩き出すほどの巨大なサイトも、最初は動画を用いた出会い系サイトを構築する算段でした。ピボットして動画のプラットフォームを作ったからこそ、莫大な広告費を稼げています。Googleいわく、まだYouTubeは成長フェーズにあるとのこと。これから新たなサービスやプロダクトをユーザーファーストでローンチしていくのでしょう。

視聴者にとっても広告主にとってもバリューを感じるサイトの構成こそがYouTubeのビジネスモデルが優れている理由だといえます。このように他者から高い評価を受け、大きな収益を打ち出せるモデルを作るために、ぜひビジネスモデルキャンバスを活用してみましょう。

9つの項目から自社のビジネスモデルを構築できるので、価値のある事業を進められます。以下のリンクから簡単にビジネスモデルキャンバスを作成できますので、ぜひお気軽にご利用ください。

 

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