「成城石井」をビジネスモデルキャンバスで分析

コロナ禍の生活で、テレワークでの仕事に変化し、外出自粛で外へ出る機会が減った方も多いのではないでしょうか。
そんな中、おうち時間が増え運動不足が気になり、健康を意識する方が増えてきたように思います。
家の中での筋力トレーニングやストレッチ、お風呂に浸かる時間が増えたという声も多く聞きます。
健康に気を付けるうえで大きく関係してくる『食』にも、お金をかける割合が増えたという方も多いのではないでしょうか。
そこで、健康志向な方はもちろん、食にこだわる人たちが多く集まる『成城石井』についてビジネスモデルキャンバスで整理してみました。

 

 

「成城石井」とは?

成城石井は、1927年2月に東京都世田谷区成城にて、食品店として創業しました。
その後、1976年12月に「成城店」新店舗が完成し、スーパーマーケットとして営業を開始しました。
企画レベルから商品開発まで自社で行い、地域のニーズにあった商品を取り扱うスーパーマーケットです。
他のスーパーマーケットとは陳列されている商品が異なり、他店では見られない国内のこだわり商品や輸入商品がとにかく豊富です。
国内外の商品を取り扱っているため、店内を歩いているだけで通常のスーパーマーケットでは見ることがない商品も見ることが出来ます。また、高品質な商品を割安価格で購入することが出来る点が大きな魅力だと言えます。
自社のオリジナル商品も開発、販売しており、当社基準に合った原材料の選定や、安心して食べられる商品設計を行っています。
成城石井は、基礎戦略を「商品が生み出される全てのプロセスにこだわり、その結果開発された商品を提供することでお客様に喜んでいただくこと」としており、世の低価格化路線とは一線を画しています。
多くのスーパーマーケットがある中で成城石井は、どのような要素から人気を集めているか詳しく見ていきましょう。

 

 

成城石井のビジネスモデルキャンバス

では、成城石井のビジネスモデルについて、ビジネスキャンバスを用いて整理してみましょう。

 

1. 顧客セグメント

・食にこだわる人たち

全体的なターゲットは、「食にこだわる人たち」です。
その中でも、良質な食品を摂りたいリッチ層から手軽にちょっとした贅沢をしたい一般層の方にも人気を得ています。

 

2. 提供価値

・バイヤーが世界中から直接探してきた選別された良質で個性的な商品
・味や品質にこだわったオリジナル商品(保存料・合成着色料・合成甘味料不使用、アレルゲン表示など)
・プロの調理人が作ったプロの味を気軽に楽しめる

第三者に任せず、バイヤーが世界中から直接買い付けているため成城石井でしか手に入らないものも多く、特にワインはその95%以上が自社輸入しています。
他店で見ないような良質で個性的な商品を購入することが出来る点が人気を得る理由の一つと言えるでしょう。
また、成城石井が商品開発から行っているオリジナル商品は保存料・合成着色料・合成甘味料不使用を一切使用せず、安全基準をクリアした衛生状態の工場においてのみ製造しているため安心して口にすることができます。
自家製で作っている総菜は、大量生産されたものではなく、和食・洋食・中華などのプロの調理人がセントラルキッチンで作ったものです。
プロの味を気軽にご家庭で楽しむことができるのが嬉しいですね。

 

3. チャネル/販路

・店舗、オンラインショップ
・公式アプリ、チラシ

実店舗があるほか、オンラインショップで商品を購入することが出来ます。
近年、通販を利用する方も増えてきているため、オンラインでも購入することが出来るのは便利ですね。

 

4. 顧客との関係

・地域や店舗の場所によって陳列する商品を変える
・公式アプリでのお得情報、クーポン配信
・成城石井お客様相談室

成城石井は、地域や店舗の場所によって陳列する商品を変えています。
例えば、駅ナカに出す店舗では、お米などではなく手軽に買っていくことが出来る総菜やお菓子やワインやチーズなどをメインに扱うなど来店するお客様が購入する商品を置くことで購買意欲の向上に繋がっています。
また、通常のスーパーマーケット同様、店舗やオンラインショップがあるほか公式アプリやお客様相談室もあり、直接お客様の要望から陳列する商品を変えるなど、店舗改善に役立てています。
お客様の声を聞き、改善していくことでお店のファンが増え、リピーターへとつながっていきます。

 

5. 収益の流れ

・オリジナル商品販売
・多様かつ収益性の高い店舗フォーマットの開発
・投資効率を最重要視した出店先の選定

成城石井では、多くのオリジナル商品を販売しており、中華やイタリアン、南国風の料理など、様々なバリエーションがあります。
味わいも本格的かつ無添加にこだわったヘルシーな品々が取り揃えられています。
また、店面通行量や競合分析といったリサーチから、地域における高所得者層の居住比率も出店基準の目安とし
路面店、駅ビル、デパ地下、ショッピングセンターテナント、オフィスビル、コンビニ跡地などに店舗をかまえています。
お客様にとって立ち寄りやすい場所に店舗を置くことによって集客率の向上につながっています。

 

6. 主要な資源

・目利きのバイヤー
・スーパーバイザーからの旬の情報提供、チーズ、ワイン等の教育プログラムを受け知識を持った
スタッフ、社員による販売(サービス品質の向上)
・関東物流センター:最高レベルの定温・定湿倉庫
・リーファーコンテナによる定温輸送

第三者に任せず、目利きのバイヤー自身の判断で買い付けた商品は成城石井でしか手に入らないものも多く、成城石井ならではの魅力にもつながっています。
成城石井のワインは、リーファーコンテナによる定温輸送で、現地のワイナリーから店舗まで外気の影響を受けることなく運ばれます。
また、関東物流センターには最高レベルの定温・定湿倉庫を併設しており、24時間、倉庫内の温度や湿度を一定に保つことで、直輸入ワインなどの商品を高い品質を保って保管することができ、より良い状態でお客様にお届けすることが出来ます。
加えて、成城石井では通常のスーパーマーケットではないようなスーパーバイザーによる旬の情報提供に加えて部門に関係なく社員全員が受講できるチーズやワインのスクール、チェッカー技能検定、ソムリエ資格の取得支援といった教育があります。
ハイレベルな教育を受けたスタッフ、社員が対応するためお客様に適切な回答をすることもできるため、顧客満足度向上につながり、リピート顧客を増やしています。

 

7. 主要な活動

・自社での味や品質にこだわったオリジナル商品開発
・セントラルキッチンで和・洋・中などのプロの調理人が作る総菜
・自社の輸入会社を持ち、バイヤーが世界中から直接商品を仕入れる

成城石井では、自社オリジナル商品が人気を集めています。
成城石井の惣菜は、「プロの味を気軽に楽しめるものを」というコンセプトで作られています。
大量生産されたものではなく、和食・洋食・中華などのプロの調理人が作っているため、本格的な味がお手軽にスーパーマーケットで購入することが出来るという部分で顧客からのニーズを集めていると言えます。

 

8. 主要パートナー

・個性的な商品生産を叶える生産会社
・多岐にわたる出店の招聘先、契約先

成城石井の個性的な商品を生み出すために生産会社は欠かせません。
自社のオリジナル商品を企画・考案したものを実際に叶える大事な役割を担っています。
店舗フォーマットの開発にも重要となる出店の招聘先、契約先も重要です。
鉄道系、デベロッパー系、デパート系、ショッピングセンター系と多岐にわたり、それぞれのカテゴリーにおいても特定の企業に偏ることなく、既存法人から新規法人まで幅広い企業から出店招聘・契約に至っています。

 

9. コスト構造

・バイヤーやスーパーバイザーなどの人件費
・多様かつ収益性の高い立地の店舗家賃
・セントラルキッチン、自社輸入会社
・高い品質を保って保管するための最高レベルの定温・定湿倉庫の維持費

成城石井には目利きのバイヤーや食品についての知識を持ったスーパーバイザーがいる為、通常のスーパーマーケットよりも人件費や教育費にコストがかかっていると言えます。
他にも、高品質の商品を販売できる理由にも挙げられる最高レベルの定温・定湿倉庫の維持費や詳細な調査による選定する店舗家賃が挙げられます。

 

成城石井の食へのこだわりを追求する姿勢が顧客を生み出す

ビジネスモデルキャンバスで挙げられた要素を見ても、成城石井は「食へのこだわり」を重要視していることが分かります。
食品の選定から、輸送、保管までどこをとっても品質を落とすことなく一番美味しい状態でお客様に商品をお届けできるよう考えられています。
商品だけでなく、販売スタッフや社員までもが「食へのこだわり」を持っており、成城石井に訪れる「食へのこだわり」を持ったお客様に商品を提供できるよう教育されています。
他のスーパーマーケットにはない、強い食へのこだわりこそが顧客を生み出す一番の理由となっているのではないでしょうか。

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