性善説にもとづいた抜群の将来性! 昭文社の「おかえりQR」をビジネスモデルキャンバスで解説

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2018年10月に埼玉県の南部地域でテスト導入され、2019年の2月から広くリリースした「おかえりQR」QRコードが搭載されたシール高齢者小さなお子さまペットの持ち物に貼り付け、迷子を発見した方が読み取ることで、スムーズに扶養者、保護者に連絡できるサービスです。

今回はリリース以来、さまざまなチャネルで販売促進をし認知度を高めている「おかえりQR」についてビジネスモデルでまとめました。


 

「おかえりQR」のサービスとは?

開発母体は地図や旅行に関する書籍の出版事業を手掛ける株式会社昭文社です。同社の地図情報を存分に生かしたサービスだといえるでしょう。

「おかえりQR」の利用者はシール代金を含めて、年額1,980円でサービスに登録します。各コードに付随されたIDを使って、あらかじめ電話番号などの連絡先情報をQRコードに記録しておき、徘徊してしまう高齢者や、迷子になりがちな小さいお子さま、またペットの持ち物(杖やランドセル、首輪など)に貼り付けておきます。

発見者はQRコードを読みこむのがスタートです。読み込むと3つの記入項目が表示されます。

1つ目が「迷子or落とし物」。迷子を発見したのか、単なる落とし物なのかを選べます。

2つ目が「ご家族への連絡方法」。交番に誘導するのか、その場で保護・待機するのか、発見した場所を地図情報で伝えるのかを選びます。その際にコメント機能があり、より詳細な情報を利用者に伝えることが可能です。

そして3つ目が「場所の指定」です。昭文社の地図情報を用いて、見つけた場所や交番の場所、保護・待機している場所を伝えられます。もちろん、直接利用者に電話をかけることも可能です。

3ステップの簡単な操作だけで済みますので、発見者の負担を極力減らした設計がなされています。今後、高齢者率が高まるのは明らかですし、一般化すれば長期的に利用されるでしょう。社会貢献性や意義も抜群であり、非常に人の役に立つ優れたサービスです。

またシールを用いたのもうまい部分です。例えばGPSのサービスでは充電切れの心配がありますので、保護者が探している間に見失ってしまう危険もあります。携帯は落としたり捨てたりしてしまう可能性もある。シールはわざわざ剥がすリスクがないので、安心感があります。

発見者に特別な報酬は発生しません。自己承認欲求や自己実現欲求など、モノではない価値を得られる点も特徴的です。GPSやスマートタグなど、これまでの捜索サービスとは違い、完全に発見者の人間性にゆだねられたシステムになっています。いわゆる性善説をもとに設計されており、将来性が感じられます。

 

 

「おかえりQR」のビジネス的な課題とは

公式サイト上では、デモ操作ができます。非常にシンプルなUIで操作のしやすさを感じました。しかし「おかえりQR」にはいくつかのクリアすべき課題があるのも確かです。いくつかの課題をご紹介します。

 

1. 発見者が異変に気付けるのか

1つ目は発見者のハードルが高いことです。そもそもパッと見て「徘徊している高齢者」だと判断できるのか、という問題があります。普通に外出している高齢の方もたくさんいらっしゃいますので、異変に気付くことが第一のハードルです。

 

2. 「おかえりQR」を読み取ってくれるか

2つ目は異変に気付いたとして、QRコードを見つけられるのか、という部分です。高齢者が外出時にシールが貼付されたアイテムを持っていくかは定かではありません。そのうえで発見者が「おかえりQR」を読み取らなければいけません。サービスを知っていれば、スムーズに動けるでしょう。しかし知らない場合、勝手にQRコードを読み取るのは勇気がいるイメージもあります。

 

3. 代替品が多い

シールを用いたサービスの競合はないかもしれません。しかし先述したようにGPSやスマートタグなどの代替品は既に多くあります。また老人ホームなども代替品になりうるでしょう。

 

4. 高齢者以外での使用用途は少ない

本サービスでは高齢者以外でも、小さなお子さまや落とし物などで活用できるとあります。しかし小さなお子さまの場合は自力で交番にいくか、自ら人に助けを求める、泣きだしてしまうなど、サービスなしで解決できるでしょう。また落とし物の場合はアプリ連携の落とし物捜索サービスなど、イニシャルコストだけで導入できる競合サービスが多々ありますので、利用されにくいイメージです。

これらの課題を解決するうえで、昭文社は幅広いチャネルを用いた広告・販売をしています。テレビ番組での認知度拡大や、郵便局、新聞販売店、不動産、杖のメーカーなどと連携した販売などで、知名度は格段に向上しているようです。

 

 

「おかえりQR」をビジネスモデルキャンバスでまとめ

では、ここまでを把握したうえで「おかえりQR」のビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスでまとめます。ビジネスモデルキャンバスとは、企業やサービス、インフルエンサーなどのビジネスを9つの項目でまとめられるフレームワークです。

 

1. 顧客セグメント

・高齢者や小さなお子さまの保護者
・過去に迷子や徘徊で心配になった経験がある方
・落とし物のリスクを恐れる慎重な方

2. 提供価値

・迷子をすぐに見つけられる
・詳細な地図情報まで分かる
・アイテムを失う心配がなく安心できる

3. チャネル/販路

・EC
・郵便局での店頭販売
・三菱地所の不動産での優待販売
・平成電子製の杖のオプション販売
・京都新聞販売店での販売

4. 顧客との関係

・昭文社が日常的に行う社会貢献性による信頼感
・幅広いチャネルでの販促・広告による安心感
・警察や郵便局などの信頼のおける機関からの称賛の声による安心感

5. 収益の流れ

・年額1980円の使用料

6. 主要な資源

・長年にわたって蓄積した地図情報
・販促・広告のルート
・膨大な社員
・郵便局とのパイプ

7. 主要な活動

・システム保守・開発
・新たなシールの製造
・顧客の声の収集とブラッシュアップ

8. 主要パートナー

・郵便局
・三菱地所
・平成電子
・京都新聞社

9. コスト構造

・シールの製作費
・システムの保守費用
・広告・販促費

認知度拡大とともに将来性を感じるビジネスモデル

今後も、販売や広告のチャネル拡大に合わせて、利用者が増える可能性は大いにあります。高齢者率の上昇に合わせて、徘徊してしまう高齢者も増えることでしょう。家族としては安心感を得られるだけでも年額1,980円は安いと感じます。あとは発見者のハードルをどう下げるか代替品に打ち勝つためにどんな提供価値を付随するのか、サービスの品質向上に期待です。

今回は昭文社の「おかえりQR」のビジネスモデルを解説しました。ビジネスモデルキャンバスはBizMakeで誰でも無料で使えますので、ぜひご利用ください。

 


 

 

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