図解ではなく、ビジネスモデルキャンバスでみるGitHubのビジネスモデル

技術革新によって、ビジネスのカタチは大きく変化しています。

ITからICT、AIへとトレンドが移り変わるに連れてサービスやプロダクトのカタチは多様化し、旧来のモデルが日々アップデートされているのが現状です。デジタルトランスフォーメーションが前提となり、消費者の生活は、日に日に便利になり続けています。

イノベーションの背景にあるのがエンジニアのレベルアップでしょう。あらゆるプログラミング言語が生まれ、エンジニアの仕事は複雑化しています。業界での人口が増えているのに、いまだに人材不足が叫ばれている背景には、コードの多様化があるに違いありません。

JavaScriptやRuby、Python、PHPなどあらゆる言語が台頭し、必要な知識の幅も増えました。ネットサービスの根幹をなす「ソースコード」が難解になるに連れ、エンジニアリングは単体ではなく、協業する仕事と認識され始めています。

エンジニアたちの仕事をスムーズにするためにできたサービスが「GitHub」です。今回は近藤哲朗氏が書かれた「ビジネスモデル図鑑 2.0」を参考に、GitHubのモデルをビジネスモデルキャンバスで紐解きます。

出典:https://note.mu/tck/n/n95812964bcbb

 

 

ピクトよりも文章のほうが理解しやすい人に向けて

近藤哲朗氏が書かれた「ビジネスモデル2.0図鑑」ではGitHubのビジネスモデルがピクトで解説されています。しかしなかには、ピクトではなく文章で解説したほうが理解しやすいと感じる方がいらっしゃるのも確かです。

「認知特性」という言葉をご存知でしょうか。五感のなかでも80%の情報は視覚によって処理されています。さらに細分化すると、同じ視覚情報でも「映像がわかりやすい」という人もいれば「文章で説明してほしい」という方もおられるそうです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

そこで今回は『ビジネスモデル2.0図鑑』を参考に、ビジネスモデルキャンバスを組み合わせてGitHubのビジネスを解説します。ぜひご覧ください。

 

 

エンジニアが抱えていた課題とは

エンジニアたちが仕事をするうえでコストを感じていたのが「コミュニケーション」です。

先述した通り、彼らは多くの言語を使うほか、個々人でソースコードの書き方が一定していません。習った環境によって、ソースコードの書き方に特徴があるのです。完成したソースを見ただけでは、開発者の意図を汲み取ることが難しく、意思の疎通がしにくいのが現状でした。

社内で顔を見合わせて作業をするならまだしも、職業柄リモートでの業務参加が多く、頻繁に「スケジュールの調整」や「コミュニケーションツールの起動」などのコストが発生していたのです。

 

 

エンジニアの仕事をスムーズにしたGitHubのサービス

GitHubはエンジニアや管理者が抱える問題を、複数のサービスで解決しました。

まずはソースコードの共有です。チームで1つのソースコードを書く場合、編集したい人間はオーナーに「プルリクエスト」という編集許可を求めます。オーナーが許可(マージ)すると、複数人で1つのソースコードを加工できます。

また会議内容の保存や、ソースコードに対するレビュー機能コメント機能などを実装しています。1つのソースコードに対して複数の開発者がコミュニケーションを取り合えるよう工夫しました。GitHubの出現により、同じ分野のエンジニアが共同でシステム環境を構築できるメソッドが確立されたのです。

GitHubは2018年の6月にマイクロソフト社によって約8200億円で買収されました。マイクロソフト社は、これまでのオープンソースとしての役割を阻害することはなく、機能拡充などの動きはGitHubチームに任せるとしています。

 

 

GitHubをビジネスモデルキャンバスで解説

ではGitHubの顧客セグメントや提供価値、かかりうるコストなどの項目をビジネスモデルキャンバスで解説しましょう。

 

1. 顧客セグメント

Githubがターゲットにしたのは「コミュニケーションに悩む開発者」や「外部委託の開発者を擁する企業」です。

 

2. 提供価値

ターゲットに対して提供したバリューとしては「開発者同士のコミュニケーションを円滑にすること」や「1つのソースを複数の外部委託のエンジニアで加工しやすくしたこと」、また「開発のための時間を節約すること」が挙がります。総合的に複数のエンジニアがソースコードを触れる環境を作りました。

 

3. チャネル/販路

チャネルとしては「広告」や「メディア掲載」がイチバンです。また話題性もあいまって「エンジニア同士の口コミ」も波及に貢献したでしょう。

 

4. 顧客との関係

「もはや開発者として駆使するのが常識化しているツール」になっています。料理人に包丁が必要なように、エンジニアにはGithubが要るのです。ここまでの信頼を得られたのは「エンジニアとしての業務が促進されるツール」や「ポートフォリオを作れるツール」として認められたからでしょう。

 

5. 収益の流れ

主な収益は「2800万人(2018年6月現在)もの利用者からの月額手数料(プランによって差があり)」でまかなわれています。

 

6. 主要な資源

リソースとしては「Githubという巨大なプラットフォーム」が真っ先に挙がります。また「莫大なユーザーと、その情報」もリソースになり得るでしょう。

 

7. 主要な活動

「エンジニアにとって嬉しいプラットフォームの開発・保守」は活動として最も大きな部分を占めます。具体的にいうと「ソースコードを保管するリポジトリの整備」によって、利便性は高められているのです。

 

8. 主要パートナー

資金源としてのパートナーには「親会社であるマイクロソフト社」が挙がるでしょう。また「サービスを利用しているエンジニアたち」の声によって改善が進んでいるので、ユーザーも協力者に数えられます。

 

9. コスト構造

主なコストとしては「プラットフォームの保守・維持費」です。その他「人材費」は継続的に発生します。

 

 

これからの働き方にもフィットするプラットフォーム

GitHubはエンジニアの協業を支援する開発プラットフォームとして機能しています。しかしライターやデザイナーも同じように使えるのは確かです。

クリエイターはこれまで、各々が任された仕事をソロでこなすのが定石でした。しかし、手軽にコミュニケーションを取れることで、クリエイターも協力しながら1つのタスクをこなせる環境が構築されています。

アイディアとスキルが重要視される職業だからこそ、複数人でタスクを処理したほうが効率的かつ質の高い仕事ができるのは確かです。GitHubはこれからどのような機能を拡充していくのでしょうか。

より時代に合わせたサービスとしてエンジニアだけではなく、あらゆる職業に対応するのか、それともむやみにターゲットを広げずに、エンジニアに集中してサービスを確立するのか。協業化が進む時代だからこそ、より価値を高めていくサービスになることは間違いありません。

今回はビジネスモデルキャンバスを使ってGithubのサービスを9つの項目から説明いたしました。

BizMakeではWeb上で誰でも簡単にビジネスモデルキャンバスを作成できますので、ぜひお気軽にご利用ください。

 

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