ビジネスモデルキャンバス

コンビニのコーヒーはなぜ成功した?ビジネスモデルキャンバスで分析

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皆さんはどこでコーヒーを買うでしょうか。スターバックスやドトール、タリーズといって大手コーヒーチェーンで買う方もいるでしょうし、個人経営のお気に入りの店舗がある方もおられるでしょう。しかしおそらく多くの方が「コンビニ」と答えると思います。

出勤前はほとんどのカフェが閉まっているし、自動販売機の缶コーヒーはなんだか物足りない。コンビニでコーヒーやカフェラテを手軽に買えるのは消費者としても助かります。たしかに顧客のニーズを満たす製品です。

今回はいわゆるコンビニコーヒーのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスを用いてご紹介。コンビニのカウンターコーヒーの歴史や顧客セグメント、提供価値などを解説します。

 

 

30年以上前からコーヒーを売っていたセブンイレブン

2007年、いわゆるカウンターコーヒーのシステムを最初に始めたのはサークルKサンクスでした。その後2009年にミニストップが「M’s STYLE COFFEE」をリリース、それから2年後にローソンが「MACHI café」を始め、1年後の2012年にはファミリーマートが「あじわいFamima Café」を本格的にスタート。2013年1月にセブンイレブンが大手5社の中では最も遅く「SEVEN CAFÉ」を本格導入したのです。

コンビニコーヒーの売り上げ推移を見てみると、2013年度の売り上げ数が約7億杯、翌年度が約14億杯と、2014年あたりから特に人気が高まっていることが分かります。やはり最大手のセブンイレブンの参入が大きかったのでしょう。同社だけで2013年度に4.5億杯,2014年度に7億杯を達成しています。2013年には「SEVEN CAFÉ」が「ヒット商品番付」の横綱にもなりました。

 

 

長年のノウハウを駆使して準備を整えたセブンイレブン

実はセブンイレブンは1980年代前半から、サイフォンでコーヒーを淹れて提供していました。当時、ある店舗では1日に260人以上が購入するなどの人気がありましたが、オペレーションシステムやマニュアルが不完全だったこともあり、その後ドリップやカートリッジを経て2011年に現在の「SEVEN CAFÉ」のスタイルにたどり着いています。なお現在、機器を製造しているのは富士電機です。ローソンやファミリーマートはヨーロッパの機器製造メーカーと提携しているので、大手3社のなかでは唯一の国内メーカーになっています。

最大手でありながら最も後発になったのはシステムの整備を最後まで綿密に整えていたからです。その証拠にリリース後、たった9カ月で全店舗への設置を完了しています。

 

 

大手5社でもローソンは異質である

大手5社のカウンターコーヒーサービスで、最もユニークな戦略を練っているのはローソンでしょう。他の4社がセルフサービスを導入しているのに比べ、ローソンでは店員自らがコーヒーを淹れて顧客に提供します。コンビニの店員はただでさえ少人数なのに、わざわざコーヒーを注いでトレーに乗せて提供するのです。この背景にはどのような戦略があるのでしょうか。

ローソンはこの戦略について「客とコミュニケーションをとってコーヒーを淹れるスタイルの店舗は、コーヒーの売り上げが特に多くなる傾向があった」といいます。つまり運用するなかでデータを取りながら「ただ提供するだけではない」というスタイルがベストだという結論に至ったのです。

また機械の操作が分からないご年配の方への配慮もあります。ローソンのキャッチコピーは「マチのほっとステーション」。地域に根ざした企業としての姿勢が表れているといっていいでしょう。オペレーションコストを補うために、2018年2月からは業界最速である約25秒でコーヒーを淹れられる機器を導入(セブンイレブンは約45秒)しました。さらにメニュー数が多いのも特徴の1つです。総合的に見ると、大手5社のなかでは最もカフェに近いスタイルで運営しています。

 

 

コンビニコーヒーと大手カフェチェーンの関係性

コンビニコーヒーの台頭に最も焦りを感じたのは大手のカフェチェーンでしょう。2015年時点で既にコンビニコーヒーの総売上はスターバックスやドトールの売り上げを追い抜いており、店舗数に関しては10倍近い開きがありました。さらにカフェチェーンが300円前後なのに比べて、コンビニのコーヒーはたったの100~200円。数字上のデータだけを見ると、コンビニに分があるのは確かです。

しかし蓋を開けてみると、どのカフェもそれほど大きな打撃を受けませんでした。それは顧客が「使い分けた」からです。カフェは時間を使ってゆっくりと話したり休んだりする場所として今まで通り使い続けました。一方、コンビニのコーヒーは移動中や忙しいときに手軽に購入できる製品として認識したのです。ニーズが被ってしまうことを無意識的に回避したカフェチェーンは打撃を免れました。

ジョブ理論でよく例に挙がる「ミルクシェイクの話」に近い現象ですね。顧客インサイトが(偶然的に?)外れたことで、双方にメリットがある図式が完成したのです。

 

 

コンビニコーヒーをビジネスモデルキャンバスで解説

ではコンビニのカウンターコーヒーのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスを用いて解説しましょう。なおローソンのような手渡し型ではなく、顧客がセルフで注ぐタイプを参考にします。

 

1.顧客セグメント

顧客は普段からコーヒーを飲む方、また仕事中の外出が多い方などが入ります。本格的なコーヒーにこだわっておらず、インスタント感覚でコーヒーを楽しむ方がセグメント分けされるでしょう。

 

2.提供価値

安い値段で手軽にコーヒーを飲めることです。待ち時間が少なく、さらに味のクオリティも高いことも価値に入るでしょう。また街で飲んでいても違和感のない、オシャレなデザインも大きな役割を果たしています。

 

3.チャネル/販路

コンビニなので、食品や日用品などと一緒に買うこともありますし、ちょっとトイレに寄ったついでに買ってくれることもあります。

 

4.顧客との関係

一定のクオリティがあり、値段が安く、外を歩きながら手軽に飲めることは関係性の構築に役立ちます。またコンビニはいたるところにあるので、あちこちを探さなくてもいいことも良好な関係性を保てる要因です。

 

5.収益の流れ

1つ100~200円の商品の売り上げです。

 

6.主要な資源

ドリップや抽出などの機器類は主なリソースでしょう。

 

7.主要な活動

売り上げデータの観測、豆の仕入れや機器類のメンテナンスなどが主要な活動です。

 

8.主要パートナー

豆の仕入れ先や機器類の製造業者、その他カップや蓋、ストローなどの業者がパートナーになります。

 

9.コスト構造

かかるコストとしては、豆や付属品の仕入れ代や機器類のメンテナンス費用です。ただしコーヒーを入れるための人件費は発生しません。

 

 

今後コンビニが小売りのすべてを支配する日は来るのか

コンビニコーヒーの後に盛り上がったのが”コンビニドーナツ”でした。結果から言うと、この取り組みは失敗しています。今やコンビニのレジ横には、ほとんどドーナツがありません。

コーヒーに比べてドーナツは市場規模が小さく、さらにミスタードーナツですら苦戦を強いられるほど縮小していた。そこにセブンイレブンやローソン、ファミリマートといった巨大な企業が参入して市場を奪い合ったわけです。しかもコーヒーと違って顧客の潜在的なニーズには当てはまらなかった。結果的に3社とも売り上げは伸びませんでした。

ただし「ファミチキ」や「Lチキ」「揚げ鶏」といったホットスナックはコーヒー同様、ケンタッキーフライドチキンなど、既存企業の売り上げにほとんど関与せずに成功しています。

顧客の潜在的なニーズを見破れるかが、コンビニ各社にとっての課題になるでしょう。そこに当てはまる商品に関しては、既存の企業とうまく住み分けをしながらヒットする可能性があります。

今回はコンビニのカウンターコーヒーをビジネスモデルキャンバスで解説いたしました。ビジネスモデルキャンバスは自他問わず、どのような会社・商材のビジネスモデルも9つの項目から分析できます。BizMakeではどなたでも無料でご利用いただけますので、ぜひお気軽に使ってみてください。

 


 

 

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