ビジネスモデルキャンバスを用いてAppleのビジネスモデルを解説

これまであらゆる商材をローンチし、生活の利便性を高めてきたApple。1976年の4月にスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、そしてロナルド・ウェインによって設立されてから業績を伸ばし続けてきました。2017年度には2290億ドルの売上を計上し、2018年には世界で初めて1兆円以上の時価総額を叩き出しています。

どのようなビジネスモデルがここまで会社を成長させたのか。ビジネスモデルの9つの項目を埋めながら、その理由を探ります。


 

 

Appleがローンチしたプロダクト

これまでAppleはあらゆるプロダクトをローンチし、生活するうえで必要なサービスを構築してきました。利便性が高いプロダクトは顧客に愛され続けています。

 

1. Mac

1984年に初めてローンチされたApple製のパーソナルコンピューターです。世界で初めてディスプレーとマウスが組み込まれたPCは、世間に衝撃を与えました。なおフロッピーディスクやCDの挿入口を廃止するなど、革新的なアップデートを繰り返しています。

 

2. iPhone

2007年の6月にAppleがローンチしたスマートフォンです。洗練されたデザインは多くのエンドユーザーの関心をひき、現在日本国内ではスマホ全体の7割近くのシェア率を誇ります。こちらもイヤホンジャックを廃止するなどのイノベーティブなハードウェア・アップデートを展開しているのが注目ポイントです。

 

3. iPod

2001年にローンチしたポータブルメディアプレイヤーのiPodは、音楽を聴く環境をがらりと変えました。アップデートするに当たってディスプレーが備わり、音楽だけではなく動画や画像などの視聴も可能になるなど、利便性を高めています。

 

4. iPad

2010年にローンチされたのがiPad。タブレットのマーケットで世界第2位のユーザー数を誇ります。Wi-Fiと接続すれば携帯電話として通話もできますが、動画メディアが流行している現在では、ムービーを視聴するために購入する方も多いようです。

 

5. Apple TV

Appleは2006年にテレビのセットトップボックスの発売にも乗り出しました。Wi-Fiを通じて iTunesから動画などのコンテンツをテレビに送信できます。HDMIが付属されており、YouTubeなどの動画をテレビ画面に投映できるのも魅力です。

 

6. Apple Music Store

Appleは世界で初めて音楽のオンデマンドサービスもローンチしました。Apple Music Storeで購入した音楽はiPodやiPhoneなど、あらゆるメディアを通して視聴できます。

 

7. Apple Pay

iPhoneにクレジットカードを登録すれば利用できる決済サービスがApple Payです。あらゆる場所での支払いに利用できます。また1台のiPhoneに最大8枚のクレジットカードを登録でき、一元管理が可能なのも魅力。財布がなくても、iPhoneさえあればほとんどの支払いを済ませられます。

 

8.Air pods

Appleの純正ワイヤレスイヤホンは大反響を呼びました。ノイズキャンセリング機能をはじめ、高品質な機能をいくつも搭載しています。

 

9.Siri Remote

Siri RemoteはApple TVなどと連携した音声型・ボタン型のリモコンです。消費者としては、より無駄なくシームレスに各デバイスを使えます。

 

10.Apple Watch

Apple WatchもまたApple製品のなかでは重要な位置を占めるデバイスであり、単純に時計として使えるだけでなく、アプリを使えるほか、決済も可能。また心電図や脈拍といったヘルスケアの部分でも価値を提供しています。

 

またこのほか2021年以降には「なくしものの追跡タグ」「ARデバイス」などのリリースを不可得ているのではないか、と予測が立っています。

 

 

Appleが買収した主な企業

またAppleは自社開発だけでなく、企業を買収することによっても規模を拡大してきました。主に音楽にまつわるサービスやプロダクトを開発する会社ですが、iOSの利便性を高める狙いもあります。

 

1. Shazam

2017年に4億ドルで買収したのが音楽識別サービスのShazamです。音楽をアプリに聞かせれば短い時間で識別し、アーティスト名やタイトルを教えてくれます。また画面上でApple Music Storeに接続するので、すぐに購入できるのも魅力です。

 

2.Siri

iPhoneやMac、iPadなどに内蔵されるSiriも買収されたサービスです。マイクに話しかけるだけで、ブラウザやアプリを立ち上げずにユーザーの欲求を叶えてくれます。アラームの起動やアプリの立ち上げ、通話、ルート探索などの幅広い要望に対応可能です。

 

3. Emagic

音楽を製作する方にとってLogic proは説明不要のプロダクトでしょう。もともと買収される前はEmagicという名前でした。GarageBandやLogic proなどの音楽作成ソフトは、今やMacにプリインストールされており、多くのミュージシャンやクリエイターに愛されています。

 

4. Beats Electronics

有名ラッパーのドクター・ドレが設立し、イヤフォンやヘッドフォン、スピーカーなどを販売していたBeats Electronics。2014年に30億ドルというAppleとして史上最高額で買収されてからはサブスクリプションで音楽を視聴できるサービスとしてより多くのユーザーに愛されています。

 

5. NeXT Inc

スティーブ・ジョブズが一度Appleを退職した後に立ち上げたのがNeXT Incです。AppleはNeXT Incを買収し現在のMac OSの元となったWeb環境やマルチタスク機能などを構築しました。現在のApple製品の利便性は、もともとNeXT Incが作り上げたと言っても過言ではないでしょう。

 

6. PrimeSense

2013年に買収した3Dモーションセンサー機能を開発する会社です。AppleはPrimeSenseの技術を応用し、3Dプリンタなどに関するアプリケーションをローンチしています。

 

 

Appleはどこで収益化に成功しているのか

自社開発や他社の買収によって、イノベーションを起こしつつプロダクトやサービスの機能を拡充させているAppleは、どのように収益化に成功しているのでしょうか。

Appleの売上げのうち多くを占めるのが製品開発と販売です。より詳細に書くとiPhoneの販売が主な収益源だといわれています。またiOSストアでのアプリ販売や広告収入によっても多額の利益を出しています。

特に音楽に関するプロダクトの開発・販売には、多くのリソースを割いて取り組んでいるといえるでしょう。Appleの登場によって音楽シーンの常識は大きく変わりました。CDが売れなくなったのはもちろん、アーティストが収益化のためにとる行動も「作品のリリース」から「ライブの開催」へと変わりつつあります。

さらには2020年前後から金融業界にも参入しており、クレジットカードを開発、スタートアップ企業Mobeewaveを買収し、今後はスマホ一体型のクレジットカードとして機能するように開発を進めていくようです。

 

Appleのビジネスモデルキャンバスとは

ビジネスモデルキャンバスの9つの項目からAppleのビジネスモデルを紐解いてみましょう。顧客は誰で、どのような価値を提供し、どうやって収益化できているのかが、俯瞰的に分かるはずです。

 

1. 顧客セグメント(CS)

・大規模な市場に伴う多くのニーズ

・製品ごとに構築されたあらゆるプラットフォームでのエンドユーザー

・Apple製品を導入する多くの企業

・専門職のユーザー

 

2. 提供価値(VP)

・音楽制作などの技術をプロダクトに落とし込む

・Apple製品のブランド

・他のブランドにはないユニークな価値

・優れた機能を持つハードウェアとソフトウェアの販売

・シンプルで使いやすいプロダクトやアプリ

・利便性が高く使いやすい製品

・店頭のスタッフのホスピタリティの高さ

・顧客のプライバシーを守れるセキュリティ機能

・世界の音楽の最大の小売業者としてのデータの提供数

・アプリでの支払い

 

3. チャネル/販路(CH)

・製品を販売する小売店舗

・公式ウェブサイト

・iOS App Store または Mac App store のようなオンラインストア

・イベントとテレビ

・主催するキャンプ・プログラム

・通信プロトコルのiBeacon

・電子メールまたはギフトカードを介してのプロモーション活動

 

4. 顧客との関係(CR)

・ユニークなマーケティングのために作られた価値の高いプロダクト

・アップル製品を顧客が愛してくれるような密接な関係

・顧客により高い価値がもたらされるロイヤルティプログラムとボーナス

 

5. 収益の流れ(RS)

・店頭での製品販売

・オンライン・メディアでの販売

・オンラインサブスクリプションとサービスによる収益

・広告による収入

 

6. 主要な資源(KR)

・優れた作業環境と会社全体の文化

・常にイノベーティブな動きで、競合他社に先んじてローンチされるサービス

・リリースされたさまざまな製品

 

7. 主要な活動(KA)

・ハードウェアとソフトウェアの研究・開発

・カスタマーサポートとコンサルティング

・物流・ ネットワークの構築

・製品の販売

 

8. 主要パートナー(KP)

・Appleに協力する株式会社

・子会社

・サプライヤーとメーカー

・売り手とリセラー

 

9. コスト構造(CS)

・広告・ デザイン費

・研究・開発費

・製造・外注費

・店舗とセンターの運営費

・人件費および機器のコントロールに関する費用

 

 

他社を先取ることで生まれた価値

Appleは常にイノベーションを起こしてきました。最初にローンチされたMacintoshをはじめ、他者が実装していない機能を含んだプロダクトや効率的なサービス、プラットフォームを構築することで、ユーザーにいまだかつてない利便性をもたらしてきたのです。

その結果、世界的な大企業としてのポジションを確立したといってもいいでしょう。そして今後も新型iPhoneをはじめ、目からウロコな商材を生み出すに違いありません。

もちろん躍進の背景には、確立されたビジネスモデルがあります。顧客や提供価値、販路、コスト構造などを分析できているからこそ、安定して成長できるのです。

BizMakeではWeb上で簡単にビジネスモデルキャンバスを作成できますので、ぜひお気軽にご利用いただき、イノベーティブなビジネスモデルを構築してください。

 

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