図解ではなく、ビジネスモデルキャンバスでみるAmazon Goのビジネスモデル

レジがオートメーション化される未来は、もう近くまで来ています。

レンタルビデオショップのTSUTAYAや、インスタントファッションのGU、コンビニエンスストアのファミリーマートなどでは広がっており、お客自身がセルフで会計をすることが一般化され始めていると言っても過言ではないでしょう。

2018年1月、Amazonがシアトルにオープンしたのが「Amazon Go」です。レジの従業員をなくすどころか、レジ自体がない「無人コンビニ」として、大いに話題を呼びました。そのほかにもAIを駆使したお客の行動追跡システムなどを搭載しております。

今後はアメリカだけでなく、世界中でレジの必要がなくなる可能性があるでしょう。

 

 

「ビジネスモデル図鑑」を、あえて文章で解説する理由

近藤哲朗氏が書かれた「ビジネスモデル2.0図鑑」ではAmazon Goのビジネスモデルがピクトで解説されています。しかしなかには、ピクトではなく文章で解説したほうが理解しやすいと感じる方がいらっしゃるのも確かです。

「認知特性」という言葉をご存知でしょうか。人は視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感で物事を認識し、なかでも視覚は80%の情報を処理しています。視覚を細分化すると「映像型」や「文章型」「画像型」などに分かれるそうです。

 

そこで今回は「ピクトより文章のほうが頭に入ってきやすい」という方に向けて『ビジネスモデル2.0図鑑』を参考に、ビジネスモデルキャンバスを組み合わせてAmazon Goのビジネスを解説します。

出典:https://note.mu/tck/n/n95812964bcbb

 

 

Amazon Goの優れたサービスとは

Amazon Goを利用するためには、あらかじめ専用のアプリをインストールしなくてはいけません。

アプリに登録するとQRコードが表示されます。店内の入り口は駅の改札のようになっており、お客がQRコードをかざすとゲートが開く仕組みです。

アプリはAmazonのアカウントと連携しています。購入品がそのままAmazon内の買い物カゴに入ることで、レジ無しで会計ができるのです。開店初日は約100人ほどの人が並びましたが、待ち時間は10分程度でした。いかに円滑な運営ができるかを如実にあらわしています。

店内には複数のカメラがあり、陳列棚にはセンサーが付いています。Amazonが「Just Walk Out」と呼ぶ、お客が何を買ったのかを確認するためのシステムです。AIのディープラーニングにより、お客がもとの陳列棚に戻す動作などを正確に掴めますので、エラーはほとんどありません。また即時にアプリ内で何を買ったのかが記録されるので、たとえ間違ったとしても店内で返品や購入のキャンセルができます。

 

 

意外にも店員が多いAmazon Goの店舗

Amazon Goには、レジ担当のスタッフはもちろんいません。

しかし、日本の一般的なコンビニに比べて従業員が多いのです。彼らは品出しや接客をしています。また店内で販売するサンドイッチやブリトーなどを調理するスタッフもいます。レジの業務をカットした分、お客とのコミュニケーションの機会が増えてサービスの品質が高まっているのが、プラスの魅力です。顧客満足度を高めています。AIが進化しても人の仕事がなくなっていないことにも、注目すべきでしょう。

 

 

Amazon Goをビジネスモデルキャンバスから解説

Amazon Goのビジネスモデルを9項目から解説しましょう。

ターゲットは誰で、提供する価値は何か。また、どこにコストがかかり、マネタイズをしているのかなどをフレームワーク上で俯瞰的に分析できます。

 

1. 顧客セグメント

真っ先に挙がるのが「店舗のレジ待ちを負担に感じている方」です。また空いた時間でお客へのコミュニケーションが深くなりますので「普段からコンビニ店員の態度にいらつきを覚えている方」や「コンビニの商品が補充されていないことにストレスを感じている方」もターゲットとして考えられます。海外ではオンライン決済が一般的ですが、まだ警戒心が残っている方もいるかもしれません。「クレジットカードやICカードでの買い物に抵抗がない人」も顧客になるでしょう。さらにBtoBのビジネスも含んでいます。購入客のデータを残しているならば「ビッグデータを欲している企業」に売れるのです。

 

2. 提供価値

イチバン大きな価値は「レジを待つ時間を節約できること」です。また同時に「深いコミュニケーションで質の高いホスピタリティが実現していること」や「常に仕入れを補充していること」も価値になり得ます。普段からネットショッピングに慣れている方にとっては「支払いをAmazonアカウントで一括化でき、手軽に返品ができること」も価値でしょう。企業に対しては「オフラインで集まったビッグデータを取得できる」ことが挙がります。

 

3. チャネル/販路

「Amazonのプラットフォームからの流入」「広告を見た方の流入」が主でしょう。Amazon.com自体が大きな広告のフィールドですので、無料で認知度が高まります。また話題性も抜群ですので「口コミで輪が広がる」ことも考えられるでしょう。

 

4. 顧客との関係

「買い物をスピーディーにすることで、ストレスなく買い物できる」のが顧客との主な関係です。また「Amazonブランドならではの安心感」があるので、不信感は芽生えにくいといえます。

 

5. 収益の流れ

最も大きな収益が「小売り」でしょう。その他「企業に売るビッグデータ」も大きな収入源になり得ます。

 

6. 主要な資源

Amazon Goにとって、「世界最大のECサイトであるAmazon.com」はイチバンの武器です。また店舗運営に従って「幅広いペルソナの顧客情報」を得られます。そして経営を可能にする背景にあるのが「Just Walk Out」のシステムです。

 

7. 主要な活動

毎日の活動としては「食品の小売り」や「接客」、「食材の仕入れ」があります。バックグラウンドでは「Just Walk Outをはじめとしたシステムの保守」や「データやプラットフォームの管理」などが欠かせません。

 

8. 主要パートナー

運営母体である「Amazon.com,inc」は最高のパートナーです。また支払いフェーズでは「クレジット会社」との連携も必須でしょう。顧客の声を反映しながら経営を進めるとすれば「莫大なAmazonユーザー」もパートナーに数えられます。

 

9. コスト構造

かかりうるコストとしては「プラットフォームやシステムの保守・管理費用」があります。また仕入れのための費用も継続的にかかるでしょう。人件費も発生しますが、レジのスタッフはゼロとなります。

 

 

Amazon Go型の店舗は日本にも押し寄せる?

Amazon Goは、2021年までに3000店舗のオープンを予定しているそうです。

またアメリカだけではなく中国でもアリババグループが「Bingo Box」という無人型のコンビニをスタートしています。日本では2017年にファミリーマートと伊藤忠商事、ラインが共同で「ファミマミライ」というAI活用型の店舗をリリースを発表しました(従業員をなくすのではなくスタッフの業務効率化のために活用)。また2019年の夏にはアメリカのAIベンチャー「スタンダード・コグニション」が、日本国内で無人店舗を開くことを発表しています。

かねてから対人のコミュニケーションを重視する日本では、無人店舗の普及は難しいといわれています。しかし、Amazon Goの普及により世界中でレジをなくす動きが現実味を増しているのは確かです。

世界中のスタンダードが変わっており、レジに人が立たなくなる未来はすぐに訪れるでしょう。今後の各社の動きに注目です。
今回はAmazon Goのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスを使ってご説明しました。

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