ビジネスモデルキャンバスで紐解くスーパーマーケットALDIのビジネスモデル

皆さま、スーパーマーケットには、どのくらいの頻度で通うでしょうか。食品や日用品をはじめ、生活に必要なグッズを多く取り揃えている、利便性が高い施設ですよね。その業界において近年めざましい成長を見せているのがドイツのディスカウントストア「ALDI」です。その伸び率はすさまじく、世界最大の小売企業「ウォルマート」も危機感を抱いています。

著しい成長の背景にあるといわれるのが独特のビジネスモデルです。今回はALDIのビジネスモデルをビジネスモデルキャンバスの9つの項目から解説しましょう。


 

 

ALDIの独特な取り組みとは?

世界中に店舗を構えるALDIは競合他社とは明らかに違う工夫された取り組みを武器に成長を続けてきました。まずは、それぞれの優れた戦略をピックアップしていきましょう。

 

1. プライベートブランドの充実

ALDIの店舗は一般的なスーパーマーケットに比べて狭いのが特徴です。そのぶん配置してあるのは必需品や食料品などに限られています。ALDIはその商品の90%以上を自社ブランド化して販売。その他のブランドも2、3企業に絞っています。仲介業者を極力なくすことで無駄なコストを削減しているのです。また、プライベートブランドには独自のバーコードシステムがあり、従業員の工数を削減しているのです。

 

2. 必要最低限の効果的な広告

ALDIは自社制作の週刊誌「ALDI Informs」を出版していますが、それ以外はほとんど広告を打ちません。ただし本社があるドイツ以外のアメリカやイギリス、オーストラリアなどではテレビCMを流しています。必要最低限のPRだけで集客効果を挙げているのも確かです。

 

3. ボックスストアで手間や費用をカット

ボックスストアとは仕入れの際の段ボールやクラフト箱などをそのまま陳列棚として利用した店舗のこと。ALDIは世界的に有名なボックスストアです。棚やゴンドラなどの購入費、維持費をカットできるのはもちろん、詰め替えや棚卸しの作業を削減できるので、効率良く商品を販売できます。

 

4. レジ袋やショッピングカートの有料化

レジ袋の有料化は日本のスーパーマーケットでも導入されていますが、それに加えてショッピングカートのレンタルシステムも導入しています。同システムのおかげで回転率が上昇し、マネタイズも実現。ALDIの製品コストがかなり抑えられるのも確かでしょう。

 

 

ALDIが保有する子会社によってさらに効率良く収益化

ALDIは3社の子会社によりスーパーマーケット事業以外でも収益化に成功しています。

 

1. ALDI TALK

格安携帯電話キャリアのALDI TALKを運営しています。契約料ゼロの携帯電話としてドイツ、オーストラリア、オランダの3カ国で店舗展開中です。

 

2. ALDI LIQUEUR

オーストラリアを拠点に展開するALDI LIQUEURはALDIが手掛けるお酒の小売り事業です。低価格を意識することで支持されているほか、メルボルンの品評会で高い評価を得ています。

 

3. Diskont

ALDIの子会社であるHoferが進めているセルフのガソリンスタンドサービスがDiskontです。スーパーマーケット付近に店舗を設けることでシナジー効果を狙っています。

 

 

ALDIのビジネスモデルキャンバスを分析

ではALDIのビジネスモデルを、ビジネスモデルキャンバスの9つの項目から分析してみましょう。顧客や提供する価値、リソースなどを把握することで、どのように会社が成長したのかを俯瞰的に分析できます。

 

1. 顧客セグメント(CS)

・食料雑貨品、農家、市場、ALDIの食材を使うレストラン

・低コストでアイテムを購入したい顧客

 

2. 提供価値(VP)

・低所得の顧客でも生鮮食品を購入できる

・いくつかの人気のある食料品は、特に安く買える

・農家市場から直接生鮮を調達できるプラットフォームを構築しているので新鮮な食品を提供できる

・食糧配給の質を向上させる

 

3. チャネル/販路(CH)

・店舗

・Webサイト

・アプリストア、モバイルアプリ

・ソーシャルネットワーキングサイト

・ローカルプレスアウトレット

・ALDIコミュニティゲーム

 

4. 顧客との関係(CR)

・低コストの製品で中産階級の買い物客を満足させる

・店舗数が多いので、必要なときにすぐ買い物ができる

・アウトレット内やメールでの宣伝によってファンになる

 

5. 収益の流れ(RS)

・小売の売上高

・携帯キャリアによる収入

・アルコールの売り上げ

・ガソリンスタンドの売り上げ

 

6. 主要な資源(KR)

・世界中に点在する1万以上の店舗

・ビジネスコミュニティのパートナー

・従業員

・基本的な店舗レイアウト

・珍しい販売システム

 

7. 主要な活動(KA)

・新商品の製造

・各店舗への分布

・倉庫の運営

・商品の販売

・週刊ニュースレター「Aldi Informs」の出版

 

8. 主要パートナー(KP)

・独立した地域のFC店

・Aldi Talk、Aldi Liquor、Diskontなどの子会社

・Haribo、Knoppers、Marmite、Brandston Pickle、Vegemite、Miloなどのブランド製品キャリア

・主要サプライヤー

 

9. コスト構造(CS)

・ALDIを出店するための土地の購入費用

・倉庫の構築に関する費用

・人件費や運送費

 

 

徹底した無駄の削減により効率良く収益を上げるALDI

ALDIは従業員の手間や中間費用などの余計なコストをできる限り排除することによって、収益化に成功しました。ボックスストアがその最たる例でしょう。

今後、ALDIはアメリカでの店舗数を2500に増やすそうです。さらなる規模の拡大によってウォルマートやAmazonなども臨戦態勢を取っており、小売業界が活性化するかもしれません。
ALDIのような独自のビジネスモデルを策定する際は、ぜひビジネスモデルキャンバスをご活用ください。9つの項目で俯瞰的にビジネスモデルを分析可能です。

ビジネスモデルキャンバスは以下のURLから簡単に作成できますので、ぜひご活用ください。

 

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