
5forces(ファイブフォース)分析をPinterestの事例で解説!
5forces分析は買い手、売り手、競合、新規参入者、代替品の5つの要素を分析するためのフレームワークです。これらの要素はミクロの外部要因と言われており、企業が安定して経営を進めるために、外部変化を察知して柔軟に変化をすることが求められます。
自社の立ち位置や開発すべき商材を考えるために、5forces分析は役立つツールです。
今回は画像共有&保存ツール・Pinterestを事例にして、5forcesについてご紹介。各要素について把握するとともに、フレームワークの作成方法を掲載します。
目次
5forces(ファイブフォース)分析とは
事業を安定して進めるうえで、外部の環境は常に把握しておくべきです。顧客の趣味・嗜好や、競合の戦略などを知っておくことで、急な変化に対応できます。5forcesは「買い手」「売り手」「競合」「代替品」「新規参入者」の5つの要素を分析することで、自社の戦略を決定するためのフレームワークです。
売り手が力をつけると仕入れ費が高まる可能性がある。買い手の決定権によって、自社商材の価格はまったく変わってきます。市場にいる代替品や競合との差別化は言わずもがな重要ですし、新規参入者がより優れた製品を開発する場合もあるでしょう。
これらミクロの外部環境を把握しておくことで、急な変化にもついていけるのです。
詳しい情報は、以前お伝えした5forces分析に関する記事をご覧ください。
ちなみに外部環境には、さらにマクロな視点のものもあります。例えば法律の改正や、物価の変動、トレンドの変化、新技術の開発などがこれに当たります。これらを分析するフレームワークはPEST分析です。外部環境を調べる際には、ぜひ5forcesとPEST分析の両方を活用してください。
新感覚ツール「Pinterest」とは
では、今回例示するPinterestについてご紹介しましょう。
Pinterestは2010年にアメリカで誕生したサービスです。プラットフォーム上には個人・法人問わず、さまざまなユーザーがおり、自分の気に入ったビジュアルを自分のボードに投稿できます。投稿は「ピン(留める)」と呼ばれており、使い方としては、コルクボードにお気に入りの写真や絵画を保存しておくイメージです。
登録したユーザーはピンを非公開にもできますが、他のユーザーにも広めることが可能です。プラットフォームを通して他人とつながれる点はInstagramやTwitterなどと似ています。しかしPinterest側は「InstagramのようなSNSではない」と公言しています。
明らかに違う点は「誰のために投稿するのか」ということ。Instagramは他者に宣伝・共有するための意味合いが大きいツールです。しかしPinterestはあくまで自分の目的を達成するために使います。気に入った画像を保存できるほか、例えば夕食のメニューが決まらないときに他社のピンを検索するのが主な使い方です。
そういう意味ではInstagramやTwitterが「すでに起きた出来事を投稿するツール」である一方、Pinterestは「これから起こす行動に備えて投稿するツール」だといっていいでしょう。他のSNSでは基本的に自分で撮影した写真が多いのに比べて、Pinterestはサイトのメインビジュアルやポスターの画像が多いのはそのためです。
またクリエイターがポートフォリオとして活用したり、デザイナーが仕事のヒントにしたりと、ビジネスシーンでも利用されているのも特徴です。もちろんユーザーのなかには、企業の宣伝用アカウントも多数あります。
ではPinterestについてご紹介したところで、実際に5forcesに当てはめて考えてみましょう。
Pinterestの5forces(ファイブフォース)分析
1. 売り手の交渉力
Pinterestは広告収入によって利益を出しています。つまり、売り手は広告出稿をしてくれる企業です。収益モデルとしてはInstagramやTwitterなどのSNSと似ています。比較的知名度が低いPinterestにこだわって広告を出す必要は、正直にいって少ないのが現状です。売り手の交渉力は高いといえます。
2. 買い手の交渉力
買い手は利用ユーザーです。利用ユーザーの数を増やすことで、売り手にとっての魅力を高めなければいけません。先述したようにPinterestはInstagramやTwitterなどとは一線を画すサービスです。一見、誤解されがちですが、実際に使ってみると唯一無二のプラットフォームになっています。いったん利用されると、他に類似サービスがないので使いやすく、買い手の交渉力は低くなるといえるでしょう。
3. 競合との関係
自分の目的を達成するために使うツールだと考えれば、食べログやEPARKなどのポータルサイトが競合になるでしょう。競合はジャンルごとに分かれています。
4. 新規参入者の登場
新規参入者が現れる可能性は大いに考えられます。ただし、既にPinterestには膨大な数のユーザーがおり、新規参入者が全く同じビジネスモデルで参入する可能性は低いでしょう。考えられるのは「食」や「スポーツ」「エンタメ」など、ジャンルを絞ったアプリケーションなど。Pinterestとしては、既存顧客を手放さないように、ユーザーデータを集め、機能拡充する必要があります。
5. 代替品の存在
競合ではないにしろ、InstagramやTwitterなどをメモ帳代わりにしているユーザーは多くいるでしょう。またGoogleドライブなどの保存領域を活用している方もいると思われます。PinterestがこれらのSNSと差別化するためには、より方向性をはっきりと分ける必要があります。
5forces分析で、外部環境に対処する
Pinterestは流行中のInstagramやTwitterなどのSNSとは全く違うサービスだ、と明言しています。しかしユーザーからすると、UIを含めてInstagramに非常に似通っていると思われているのが現状です。代替品は「ニーズが完全には満たされないが、仕方なく使っているツール」。顧客のニーズをクリティカルに満たすはずのPiterestは、ビジュアルを含めて、よりしっかり差別化をするべきでしょう。
5forces分析をすることによって、自社の外部要因の動きを、より鮮明にとらえることができます。外部の環境は、コスト・リソースや、提供価値など、ビジネスモデル全体に大きく関わってくる要素ですので、必ず把握しておきましょう。
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