
Spotifyで解説する4P分析の事例
プロダクト・アウトからマーケット・インに商材開発のやり方が変わった現在、マーケティングの重要性が以前よりも、高まっています。「つくってから設計する」のではなく「設計してからつくる」ことが重要であり、マーケティングフレームワークの価値も見直されているといっていいでしょう。
商材の売り方や特徴を決めるために、4P分析は役立ちます。しかし経験がない方としては、「どうやって作成したらいいのか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は音楽ストリーミング配信サービスの「Spotify」を例に出して、作成方法をご紹介します。
目次
4P分析とは?
はじめに4P分析の内容を紹介します。4P分析とは「Product(製品)」「Price(価格)」「流通(Place)」「販促(Promotion)」の4つの要素を分析してアウトプットするためのフレームワークです。製品の特徴や売る場所や、販促の方法などは、マーケティングに直結する要素であり、商材開発の段階で必要不可欠になります。プロダクト・アウト型のモデルで商材を開発する場合に非常に役立つフレームワークです。
詳しくは以下の記事をご参考になってください。
では各要素について簡単にご紹介しましょう。
1. 商品Product
顧客に利用されるような、商品のデザインや機能性、形態などを、自社目線で考えます。もちろん、競合になりうる製品や、成功した製品などの参考にします。
2. 価格Price
「どのくらいの料金だったら、利用してくれるのか」を踏まえて価格を決めていきます。高すぎず、安すぎもしないちょうどいい料金を考えましょう。
3. 流通Place
どのようなチャネルを使って販売するのかを考えます。自社目線でコストを抑えながらも、顧客が無理なく使える状況が生まれるように細かく設定しましょう。
4. 販促Promotion
販促の方法について考えます。時期や場所、費用などを細かく設定しましょう。効率的に見込み客を集めるための方法を設定することで集客率が大幅に変わります。
4P分析は「事業目線」で考える
4Pの各要素は「事業目線」で製品・サービスを開発するうえで非常に役立つツールです。顧客が無理なく利用でき、かつ自社の負担を軽減できるバランスを考えることが重要になるのです。その際に革新的な機能や費用などがあると、商材をファーストに置きながらも、顧客にも利用してもらえる可能性が高まります。
それこそが、商材の提供価値(バリュープロポジション)になります。提供価値は商材の売れ行きに多きく関わる部分ですので、4P分析で整理をする必要があるのです。
Spotifyの事例で4Pを分析
では実際に事例で作り方をご紹介してみましょう。Spotifyはスウェーデン発の会社であり、音楽のストリーミングサービスを運営しています。2019年現在、会員数は2億3,000万人以上です。
Spotifyはフリーミアムの形態でサービスを展開していますが、他の音楽ストリーミングサービスに比べて有料会員数が多いのが大きな特徴です。その理由は使えるサービスの幅の違いでしょう。有料会員になると「好きな順番で曲を流せる」「オフラインでも聴ける」「音質を調節できる」などのサービスを使えるようになります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
有料会員を増やせた理由について4Pで分析してみましょう。
1. 商品Product
Spotifyの人気に火が付いたのは、音楽フェスの公式サイト上に試聴アプリとして使われたことでした。また無料で一曲すべて聴けるのも、リリース当時は珍しかったでしょう。ただし曲順の選択ができませんし、早送りの回数も制限されています。開発側の目線から顧客にストレスをかけ、有料会員に登録できるような商材をうまく構築しています。
2. 価格Price
無料プランと有料プランがあり、月額980円で有料サービスが使えます。競合であるLINE MUSICが960円、iTunesが980円なので、特別に安いというわけではなく、料金自体は相場に近いといえます。ただし初月はお試しで料金がかかりません。ここで顧客の流入ハードルをうまく下げています。
3. 流通Place
Spotifyはもちろん、Web上で利用できる音楽ストリーミングサービスです。消費者がCDを買う必要性がなくなった現在、利便性が高いサービスですが、ミュージシャン側としては「利益が減った」などの不満も出ています。今後はこうした不満を払拭できるような仕組みを作らなければいけません。音楽フェスを主催してマネタイズの場を用意するなどの、マーケティングが考えられます。
4. 販促Promotion
Spotifyは先述したように、音楽フェスの公式サイトで試聴サービスを提供することで知名度を高めました。音楽好きの若者がアーリーアダプターとなり、早くに利用をはじめて拡散していったという流れです。
4P分析でマーケティングの手法の根幹が決まる
今回は4P分析の事例紹介としてSpotifyを取り上げました。利用客のハードルをクリアすることで、有料会員数を増やしているのが特徴です。通常、フリーミアムの有料会員は全体の10%ほどにとどまるといわれていますが、Spotifyは40%近くまで有料会員がいます。4Pのバランスが優れているからこそ、マネタイズできているといえるでしょう。
4P分析はBizMakeで、誰でも無料で使えます。またその他のフレームワークに関しても無料で作成できますので、ぜひご利用ください。
