
4C分析をSpotifyの事例で解説
プロダクトアウトからマーケットインに商材開発の流れが移り変わってきている現在、マーケターが最も重視すべきは「顧客のニーズ」です。以前のように高性能な製品を作ればいいのではなく、現在は製品の機能性が顧客にとって使いやすいのか否かを判別しなくてはいけません。
顧客目線で、商材のバリュープロポジションを考えるうえで役立つフレームワークが4C分析です。今回は4C分析の作成方法を、音楽ストリーミングサービス「Spotify」を例に挙げて解説します。
目次
4C分析とは?
はじめに4C分析の概要について簡単にご紹介します。作成することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
4C分析とは「顧客にとっての価値(Customer Value)」「顧客が費やすお金(Cost)」「顧客にとっての利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」の4つの要素を軸に、商材の特徴などを考える手法です。4つの頭文字を取って4C分析といいます。
4C分析を把握するうえで、欠かせないツールが4P分析になります。4P分析とは「製品(Product)「価格(Price)」「流通(Place)」「販売促進(Promotion)」の4つを分析するツールです。価格や流通経路、販売促進の手法などは、商材を利用してもらううえで、非常に重要な項目であり、非常に有用なビジネスフレームワークですが、4P分析には問題がありました。
その内容を説明するために、4P分析が開発された当時を振り返る必要があります。
4P分析は1960年にできました。当時はプロダクトアウト型のビジネスが隆盛していた時代です。「何をつくるのか」というモノ重視型のビジネスモデルが主流でした。しかしそれから30年以上たって、テクノロジーが進化し、同じような商材が市場に増えていきます。「何を顧客にもたらすのか」ではなく「顧客にどのような体験をさせるのか」というコト重視型のビジネスに切り替えなければ、利用されなくなったのです。
そこで完成したのが4C分析です。4C分析は4P分析をヒントにして「自社視点」を「顧客視点」に直したフレームワークになります。
「商品」は「顧客にとっての価値」に、「価格」は「顧客が費やすお金」に「流通」は「顧客にとっての利便性」に、そして「販売促進」は「顧客とのコミュニケーション」に変わっており、より顧客のニーズに寄り添ってビジネス設計ができるようになりました。
つまり4C分析を作成することで、顧客のニーズにしたがって、商材のバリュープロポジションを考えられます。
Spotifyのビジネスモデルを4C分析で解説
では、音楽ストリーミングサービスのSpotifyを4C分析で解説しましょう。
Spotifyはスウェーデンで生まれたサービスであり、2019年現在、登録者数は2億3,000万人、そのうち有料会員が1億800万人。フリーミアムサービスは一般的に10%を超えないといわれていますが、Spotifyはおよそ47%も有料会員を獲得しています。その秘密を4C分析で解説しましょう。
以前、4P分析の手法を同じくSpotifyを事例に挙げて解説しましたので、ぜひこちらの記事と比較しながらご覧ください。
1. 顧客にとっての価値Customer Value
無料と有料のフリーミアムサービスの形態です。顧客に選択肢を与えています。また、ストリーミングサービスなので、聴きたいときに、聴きたいだけ楽しめるのも価値です。
2. 顧客が費やすお金Cost
Spotifyは無料プランと有料プランがあり、月額980円で有料サービスが使えます。この価格はLINE MUSICやiTunesなどと、ほぼ同じです。顧客としても無駄なハードルを感じずに登録できます。CDを探して買う手間や時間がないのもコスト的な魅力です。自身でミュージシャンを探す必要もありません。
3. 顧客にとっての利便性Convenience
流通はWeb上でのストリーミングサービスです。顧客としてはCDなどのプロダクトを買う必要がなく、利用しやすい形態になっています。またネット上でプレイリストを作成して、お気に入りの曲だけを集められますし、それを周りに共有でき、オンラインで他者とつながれる感覚を得られるのも魅力です。もちろん記憶容量も膨大なので、好きな音楽をたくさん保存できます。
4. 顧客とのコミュニケーションCommunication
Spotifyは、音楽フェスの公式サイトで試聴サービスを提供することではじめに販促活動をしました。当時としては音楽フェスが増えていた時代であり、かつ出演アーティストの楽曲を聴けたのは斬新だった印象があります。顧客としても便利であり、Spotifyを見つけやすかったのは事実です。また周りの友人などにも勧めやすかった。アーリーアダプターをうまく取り入れた成功事例でしょう。
4C分析で、顧客視点のプロダクト・サービスを
4C分析は顧客の視点で商材をつくるために役立つツールです。商材開発の前段階はもちろん、事業途中の商材の見直しにも役立ちます。特に、現在は顧客のニーズが変わるスピードが速まっていますので、定期的に観察するのもおすすめです。
BizMakeでは4C分析を無料で作成できますので、ぜひお試しください。その他のフレームワークも利用できます。
