
3C分析で紐解く、マクドナルドのビジネス戦略とは
自社のビジネスモデル構築のために「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3点を分析するフレームワークが3C分析です。古くから使われているツールですが、作成方法や、考えるうえで需要な要素が分からない方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回はマクドナルドを例に挙げて、3C分析の作成法をご紹介します。マクドナルドはどのようにして顧客のニーズを叶え、他社との差別化をしているのでしょうか。
目次
3C分析をするうえでの注意点
3C分析を実践する前に「どうして作成する必要があるのか」を頭に入れておきましょう。その理由には大きく分けて3つあります。
1. 顧客のニーズを見極める
第一の理由は「顧客のニーズ」に合致する商材を作る必要があるからです。プロダクト・アウトの時代が終わり、マーケット・インの時代に突入した現在、いくら他社と差別化を図ったところで、顧客が「ほしい」と思わなければ選ばれることはありません。大前提として顧客のニーズを把握しておく必要があるのです。
2. レッドオーシャンを避ける
「差別化→ニーズ」に変わったとはいえ、レッドオーシャンに進んでしまうと、必ず競争になってしまいます。他社の商材価値と差別化を図るために、競合も分析すべきなのです。しかしあくまでニーズから離れないように注意しましょう。
3. 自社の強みを生かす
自社の強みと弱みが分からないまま、商材をローンチしてしまうのはあまりに危険です。ニーズに合致しており、差別化ができていても、自社の強みを生かせない領域で勝負すると、後発の同業者に追い抜かれてしまう危険性は大いに考えられます。最後に自社を分析して、強みを生かせるような計画を練りましょう。
マクドナルドのビジネスモデルとは
では価格帯や従業員教育制度、ビジネスモデルなどを確認しながら、マクドナルドの3Cを分析してみましょう。分析をスムーズに進めるために、あらかじめマクドナルドのバリュー・プロポジションを把握しておく必要があります。
マクドナルドの特徴の1つに「注文から提供までのスピードの速さ」があります。読者の方の記憶にもあるでしょうが、過去には注文した際に1分間の砂時計を落とし、時間内に提供できなければ割引、というシステムもありました。マクドナルドが提供までのスピードに力を入れているのが分かります。
また価格の安さも、他社と違う価値の1つでしょう。「100円マック」「150円マック」などの低価格帯の商品が多く、顧客にとって身構えていく必要もありません。
さらに日本マクドナルドのホームページには「マクドナルドは子供たちが選ぶ「連れていってほしいお店」のNo.1(マクドナルドによる市場調査)」とあります。顧客に対してのホスピタリティに力を入れているのも確かであり、商品品質だけではなく、店舗全体の価値向上に努めています。
こうした価値はいわゆる「ファストフード」としての価値につながります。「早く、安く食事ができる」こと、また「店内で落ち着ける時間を過ごせる」ことなどがマクドナルドのバリューに当たるでしょう。
マクドナルドの3Cを分析
では実際にマクドナルドの3Cを分析してみましょう。顧客のどのようなニーズに応えているのか、また競合に比べてどのような強み、弱みがあるのかなどを図解します。
1. 顧客Customer
マクドナルドを訪れる顧客のニーズにはいくつかあります。1つが「小休憩できる場所を探している」というものです。ショッピングなどで歩き疲れた消費者が軽くコーヒーでも飲めるような場所を探している際に利用する場所になっています。
2つ目が「リーズナブルかつ、手軽に食事をしたい」というニーズです。レストランに行くほどではないが、ランチやディナーを外食したいというニーズや、忙しくてゆっくりと食事はできないが、何か食べておきたいといったニーズがあります。
2. 競合Competitor
マクドナルドの競合はモスバーガーやロッテリア、フレッシュネス・バーガーなどのファストフード・チェーンでしょう。これらの競合と差をつけるためにマクドナルドは、先ほどのスピードや価格で勝負をしています。
例えばモスバーガーは注文を受けてから調理を始めます。一方マクドナルドは、ほとんどのメニューで調理済みのものをパッケージングするだけです。当然、時間が短縮されますし、従業員のリソースを割きません。そのぶん、価格帯を低く設定しているため、顧客が不満を感じることもないのです。
3. 自社Company
では、顧客と競合を分析したうえで、マクドナルド自身の強みと弱みについて分析をしてみましょう。
強みはローコスト、ハイスピードであり顧客に、無駄な時間や費用を割かせないこと。忙しい方や高校生、大学生などの若者層には求められます。またホスピタリティに力を入れており、ちょっとした休憩場所としては最適です。
弱みは「ハンバーガーのおいしさを求めている顧客には利用されにくいこと」でしょう。「おいしいハンバーガーを食べたい」というニーズを持つ顧客はマクドナルドではない本格派のお店を利用するはずです。また「時間をとってゆっくりと落ち着いて食事をしたい」というニーズを持っている方にも利用されにくいでしょう。低価格帯で勝負すると、やはり若い方が多くなり店内は基本的に騒がしいので、ゆっくりと食事はできません。本格的なレストランには負けます。
3C分析をすると、自社が勝負する場所が見えてくる
このように顧客と競合を分析することで、自社が勝負すべき場所が見えてきます。ターゲティングやセグメンテーションなどにもつながりますので、ぜひ他のフレームワークも併用してみてください。併用すべきフレームワークは以下の記事でもご紹介しています。
今回はマクドナルドの3C分析について解説しました。BizMakeでは3分析をはじめ、さまざまなフレームワークをWeb上で無料で利用できます。これからビジネスをはじめる方、また現在の事業を見つめ直したいと考えている方は、ぜひご利用ください。
