3C分析の作成法をラッキンコーヒーの事例で解説!中国発、スタバを脅かすカフェチェーンの大胆な戦略とは

3C分析とは顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3要素を分析するフレームワークです。昔から使われているツールなので、新規事業の立ち上げや既存事業の見直しなどの際に組み立てる方もいらっしゃるでしょう。

しかし目的もなく作成してしまったり、考え方が分からなかったりと、準備をせずに作成してしまうと、十分な効果を発揮できません。今回は中国国内で急速に知名度を高めているラッキンコーヒーを例に挙げて、作成する方法をお伝えします。

 

 

3C分析とは

まずは3C分析をする目的についてお伝えします。先述したとおり、3C分析は自社と競合、顧客の特徴を書き記すフレームワークです。目的はターゲットのニーズを押さえつつ競合との差別化を図り、最終的に伸ばすべき「自社の強み」を把握することだといえます。

他社との差別化をしなくては、自社商材を選んでもらうことはできません。かといって、ニーズとかけ離れてしまうと、不必要なサービス・プロダクトになってしまう。1画面のフレームワーク上で顧客と競合、自社を分析することで、自社の強みを明確にできるのです。

また同時にKSFを満たすことができます。KSFとはKey Success Frameの略であり、和訳すると「成功のカギ」です。例えば、他社の既存製品とまったく同じ機能、UIで商材を開発してもシェアは獲得できません。かといって、ターゲットに見合っていない商材をつくるのも良くない。アナログ世代に、コーディング機能を押し付けるようなものです。ターゲットに合わせるとともに、他社との差別化を可能にする機能こそがKSFを満たした商材です。3C分析によって顧客のニーズをきちんと把握でき、無駄のない機能、デザインを提供できます。

3C分析をする目的は自社の強み把握するためKSFを満たす商材をつくるための2点になります。詳しくは以前ご紹介した3C分析の解説記事でご確認ください。
 

 

創業2年でスタバの脅威となった「ラッキンコーヒー」とは

では3C分析を作成する意義についてご紹介したところで、例示するラッキンコーヒーのビジネスをご紹介しましょう。

ラッキンコーヒーが創業したのは2017年の10月のこと、創業者はもともと配車サービス「神州優車」のCOOだった銭治亜さんです。2018年の1月に北京と上海で1、2号店を出してからすさまじい勢いで店舗数を拡大しました。1年半後には中国全土に2,300店舗をオープン。時間にして15時間に1店舗のペースで開いていきます。2019年5月にはアメリカ・ナスダックに上場しました。2019年中には4,500店舗をオープンするとのことです。

それまで中国カフェチェーンの派遣を握っていたのは、1999年に中国に進出したスターバックス。そのスターバックスが20年間築き上げてきた「国内店舗数1位の座」をたった2年で追い抜くことがほぼ確定しています。

ラッキンコーヒーのビジネスの特徴は「スタバの勝ちパターン」の逆を進んでいる点にあります。スターバックスのホスピタリティは世界的にも有名なほど良質です。その代わりにドリンク代は高い。また時間帯によっては人が多く、待たされることもしばしばあります。

ラッキンコーヒーの価格帯はスターバックスのドリンクよりも安く設定されています。中国国内のスタバが平均約490円なのに対して約320円です。またキャンペーンも豊富でWeb決済による割引があるほか、「5杯注文したら5杯無料」や「友だちを紹介すると無料」「毎週決まった曜日は無料」などの鮮烈な特典を用意しています。しかし品質を下げることはありません。スタバと同じ上等なコーヒーを低価格で飲めるのが特徴です。

また何よりの特徴が専用アプリ上で注文するシステムです。顧客はラッキンコーヒーのアプリをインストールし、画面上のメニューから注文して受け取り時刻を設定します。決済もすべてオンライン上で完結。後は時刻通りに店頭に向かい、商品を受け取れば取引完了です。なお940円以上注文することで、配達員が無料で届けてくれるサービスもあります。この仕組みによって待つ時間をカット。顧客はストレスなく取引ができます。

店内でくつろげる業態の店舗も出していますが、最も多いのは店頭受け取り型です。空間を提供しているスタバとは逆の施策で勝負をしています。中国のコーヒー消費は年々拡大しており、2013年~2017年の間に2倍の伸び率を見せている。ラッキンコーヒーにとって「顧客の嗜好の変化」も追い風になりました。

 

 

3C分析で紐解くラッキンコーヒー

ではラッキンコーヒーのビジネスを事例にして3C分析の作成方法を解説します。競合と顧客を分析したうえで、自社の強みやKSFについて考えていきましょう。

 

1. 顧客

ターゲット層はそれまでカフェチェーンを多く利用していた顧客です。アプリ内での操作で完結するので、デジタルデバイスやWeb決済に慣れている若者がメインでしょう。ニーズとしては「安価で美味しいコーヒーを飲みたい」、「待ち時間を短縮したい」などが挙がります。反対に「店内でゆったりと過ごしたい」というニーズは当てはまりません。

 

2. 競合

第一の競合はスターバックスです。競合との差別化のために価格帯を下げています。また店内でのホスピタリティよりもテイクアウトのコーヒーに力を入れているのも重要なポイントです。するとマクドナルドやコンビニのカウンターコーヒーなども競合になります。コーヒーの品質を高めることで、どちらの層にも当てはまらないようポジショニングをしている印象です。

 

3. 自社

自社の強みとしては「高品質なコーヒーを低価格で飲めるうえ、待ち時間がいらない」という点です。顧客のニーズに当てはまっていますし、ポジショニングもうまくできています。

 

 

ラッキンコーヒーは今後、黒字にもっていけるのか

急速に店舗数を拡大し、積極的にキャンペーンを仕掛けているラッキンコーヒー。ユニコーン企業からの脱却をしましたが、実はまだまだ大幅な赤字です。さらに今後数年はシェアを拡大するために投資を続けるそう。この戦略が吉と出るか凶と出るか。注目の存在になっています。

今回は3C分析の作り方をラッキンコーヒーの事例でご紹介しました。BizMakeではどなたでも無料で3C分析ができます。そのほか18種類のフレームワークも使えますので、ぜひご登録ください。

 

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