中小企業にこそマーケティングが必要な理由と具体的な手法

新規事業をスタートしたとしても、戦略を立てていなければ商材は売れないし、会社の規模も成長しません。事業を起こす際には、必ず入念なマーケティングが必要です。そこで今回はマーケティングを改めて見つめ直すとともに、中小企業だからこそ、特にマーケティングが重要な理由について解説します。

 

中小企業にこそマーケティングが必要な理由

中小企業には大企業ほどのリソースがありません。ですので、マーケティング担当者を置けずに、ルーティン化した仕事をしてしまうこともあるでしょう。場合によっては下請け・孫請けのままビジネスを進めているかもしれません。

しかし現在のビジネス環境においては中小企業でもマーケティング次第でシェアを獲得できるような環境があります。以前であれば、開発技術を大企業が独占しており、中小企業が一気に躍進する術はありませんでした。しかし現在では開発技術は民主化されています。またコードを使わない「ノーコード」のツールが広く出回っていますし、海外市場への進出も以前に比べると非常に楽になりました。

また大企業がすべての顧客のニーズをカバーできているわけではありません。大企業がカバーできていない顧客のインサイトを見出すことでイノベーションを起こすことも可能なのです。つまり現在のマーケティングは以前ほどコストがかからないのです。中小企業にこそ、大企業に対抗するためのマーケティング施策が重要になっています。

 

マーケティングをするうえで大切なこと

マーケティングは顧客のニーズを知ることから始まります。「どのような不足があるのか」「どのような願望を抱いているのか」をリサーチする必要があるのです。ただ、個人的に思いついた革新的なビジネスアイディアだけをもとにサービスやプロダクトを作成してはいけません。それはマーケティングではなく「売り込み」です。売り込みの場合、利用者数が見込みを下回ると「なんで買ってくれないんだ」と顧客を責めることになります。自分勝手なビジネスモデルでは成功するはずがありません。あくまでもマーケティングは「求められていること」を満たしてあげるところからスタートします。

「顧客のニーズ」を叶えられる商材に自身のビジネスアイディアを盛り込んで、まだマーケットにないサービスやプロダクトを完成させましょう。

 

 

ニーズの他にウォンツにも注目

「顧客のニーズ」という言葉に加えて「顧客のウォンツ」という言葉もあります。「顧客のウォンツ」とはまだ顧客自身も気づけていない欲求のことです。

たとえば「電子たばこ」を例に出しましょう。十数年前まで、たばこは紙巻きタイプしか売っていませんでしたよね。そんななか登場した電子たばこは「健康への害を最小限に留めるうえに、紙巻きたばこを吸った気にさせるたばこ」というメリットを打ち出してマーケットに革命をもたらしました。紙巻きたばこしかなかった当時、電子たばこが隆盛するなど考えもしなかったでしょう。

これが「顧客のウォンツ」です。顧客自身も考えつかなかったサービスやプロダクトを提供してあげることで「パイオニア」として大きな利益を得られます。

 

 

自社のビジネスモデルとニーズ・ウォンツを照合する

ニーズやウォンツを把握することは大切ですが、決してすべてを満たそうと考えてはいけません。商材がブレてしまい、逆に強みが薄れてしまう可能性があります。自社が提供できるサービスを把握したうえで合致するようなビジネスモデルを構築しましょう。ビジネスの基本として「選択と集中」という言葉がありますが、まさしくその通りです。

 

 

マーケティングの4Pを念頭に置く

マーケティングをするうえで必要な「4P」があります。「商材(Product)」「価格(Price)」「販促(Promotion)」「流通(Place)」の頭文字をとって4Pです。これらの要素はマーケティングに欠かせません。どの要素もターゲット像によって左右されますので注意が必要です。

 

1. 商材Product

先述したとおり、顧客が求めている商材を作りましょう。特に中小企業の場合は、すでにあらゆるサービスや製品が揃っている大規模な市場で勝負するのではなく、ニッチなエリアを攻める必要があります。小規模なマーケットで1番になってから事業規模を拡大していくのが一般的な流れでしょう。

 

2. 価格Price

3つのヒントから最適な価格設定を目指しましょう。1つ目は「自社プロダクトの製造コストを踏まえる」。利益が確保されるように設定する必要があります。2つ目が「競合他社の価格を参考にする」。似たサービスであればもちろん安いほうが選ばれます。ただし自社と他社の機能を比較しましょう。3つ目が「顧客視点で考える」。顧客が払ってくれそうな金額を予想しましょう。現在は無料サービスが顕在化していますので、何か付加価値をつけて売らなくてはいけません。

 

3. 販促Promotion

どうすれば顧客の関心を惹けるのかについて考えましょう。現在はオンライン広告をかけたほうが低コストかつ効率的にPRできます。バナーやSNS、インフルエンサーなどを使って販促について定めましょう。

 

4. 流通Place

自社のサービスやプロダクトがどのようにして消費者の元に届くのかについて考えましょう。もしメーカーであれば卸業者と小売業者を押さえなくてはいけません。「ロット数はどうするのか」「間には何社挟むのか」など、流通経路によってコストの設定も変わってくるでしょう。

 

 

中小企業のマーケティングは特に顧客を意識するべし

マーケットのトレンドは時代とともに変遷してきました。「プロダクトアウト型」のビジネスでは予算のある大手企業に太刀打ちできなかったでしょう。しかし「マーケットイン型」のビジネスに変わるに連れて、リソースに限りがある中小企業でもマーケットを選べば勝てる可能性が高まってきたのです。マーケティングとはいわば「勝てる市場」を探すことに近いでしょう。ニーズやウォンツをカバーしたマーケティングでこそ中小企業が輝く時代なのです。

顧客のジョブに着目したニーズの探索には「ジョブマップ」というフレームワークをご利用ください。世界的に注目されている「ジョブ理論」に基づき、顧客の行動をすべて洗い出すことが可能です。

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