【2021年版】国内のマクロ状況をPEST分析で解説

PEST分析は「政治・経済・社会・技術」の4つの観点から、マクロの視点で外部状況の変化を捉えるためのフレームワークです。こうした広域での外部環境の変化は企業にとって一大事になります。

例えば法律が改正すると可能になるビジネスもありますし、反対に縮小を余儀なくされる可能性があります。また社会のトレンドが変化するとともに競合が参入してきたり、顧客が離れてしまうケースもあるでしょう。

今回は2021年版のPESTについてご紹介します。新型コロナウイルス(COVID-19)の動向、東京五輪の予測なども含めてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。2020年版のPEST分析については以下の記事でもご紹介しています。

 

PEST分析で予測する2021年の国内マクロ動向

PEST分析では政治・経済・社会・技術の4要素を見ていきます。政治では法律の改正、経済では景気の上下、社会ではトレンドの変化、技術では新技術の開発などを観察することで、ビジネスにどのような変化が起こるのかを予想することが可能です。では各要素について発表されている情報をもとに掲載します。

 

2021年の政治動向の変化

2020年12月現在、2021年に新しく施行される法律はすでにいくつか決まっています。また、コロナウイルス関連の薬事法改正なども想定されるでしょう。では順にご紹介します。

 

1. 新型コロナウイルス関連の法改正

新型コロナウイルスのワクチンに関する法律改正に注目です。2020年12月に改正予防接種法が可決となり、新型コロナウイルスワクチンの予防接種は全額国が負担することになりました。今後は「いつ頃から予防接種が可能になるのか」が争点になるでしょう。アメリカでは12月14日からウォルマートと連携して大規模での接種が始まります。日本でも特例承認となるでしょうが、豚インフルエンザのケースでは承認まで4カ月かかりました。2021年の前半には変化が起きるはずです。

 

2. 【著作権法改正】侵害コンテンツのダウンロード違法化等を新設

「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」の改正後法案が2021年1月1日から施行されます。音楽、映像以外の雑誌、書籍などの違法ダウンロードについて罰則が与えられることになります。こうしたコンテンツの著作権に関する問題は2020年から対策が取られ始めており、今後はより罰則が強化されることも想像される部分です。

 

3. 育児・介護休業法の法改正

両親や配偶者などの介護のために会社を休む「介護休暇制度」が改正されます。これまでは1日単位で最大5日間の休みだけでしたが、今後は1時間単位で5日分の所定労働時間になります。これは年間10万人ともいえる「介護離職」の防止も視野に入れた改正です。今や4人に1人は65歳以上の超高齢社会。40代後半から50代の中堅社員の流出を防ぐために企業は努力しなければいけません。

 

2021年の経済動向の変化

2020年は1~11月で飲食業・介護施設事業などの倒産は過去最多になりました。2021年に入っても前半は新型コロナウイルスの影響で店舗などに人が集まらないこともあるでしょう。こうしたオフラインのビジネスが衰退している一方、オンラインのビジネスは好調です。しばらくはオフラインからどうオンラインに舵を切るか、が重要になるでしょう。

ただしワクチンの接種、感染者数の減少などによって風潮が変わる可能性もあります。これまでの反動で街に人が溢れるようになるかもしれません。一方「新しい生活様式」が習慣化されて、今後も積極的な外出を避けるかもしれません。

2021年の社会動向の変化

では続いて、2021年の社会的な変化について見ていきましょう。延期になった東京五輪の開催など、さまざまなトレンド・社会動向の変化があります。

1. 東京五輪の開催

延期になった東京五輪は世界的に注目されるイベントになりました。新型コロナウイルスの状況にもよりますが、これまで以上に「会場外」で楽しむ方法に注目されるでしょう。各地でのパブリックビューイングはもちろん、リモートツールなどを駆使した遠方地での楽しみ方も広く使われることが予想されます。また360度での「まるで舞台にいるかのような観戦手法」などのテクノロジーにも注目です。

2. 人がいない場所で楽しむ

「日経トレンディ」のヒット予想では「無人駅&辺境グランピング」が1位でした。新しい生活様式の延長として、こうした「人との接触があまりない場所での楽しみ方」が増えてくるでしょう。

3. サスティナブル

すでに2020年から流行している「持続可能な製品(サスティナブル)」は、2021年にも流行することが予想されます。企業のブランディングが重要になっているなか、環境に配慮した製品などによってロイヤルカスタマーを生むといった手法はよりメインになってくることでしょう。

4. よりパーソナルなおすすめ機能

AIの性能が進化して、1人ひとりに合わせたパーソナルなおすすめ機能が強化されます。例えば「すらら」という教材システムでは生徒一人ひとりの苦手な分野をAI判断して、それぞれに合わせた問題を提案してくれるのです。このようなAIを駆使したレコメンド機能などは他の分野にも進出するでしょう。

 

2021年の技術動向の変化

技術動向の変化を観察するためには、アメリカ・調査会社のガートナー社が発表している「ハイプ・サイクル」を見ることをおすすめします。ガートナー社は11月21日に「2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」を発表。以下の9項目を挙げています。

1. 振る舞いのインターネット(IoB: Internet of Behaviors)
2. トータル・エクスペリエンス(TX: Total Experience)
3. プライバシー強化コンピュテーション
4. 分散クラウド
5. 場所を問わないオペレーション
6. サイバーセキュリティ・メッシュ
7. インテリジェント・コンポーザブル・ビジネス
8. AIエンジニアリング
9. ハイパーオートメーション

出典:ガートナー社「2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド

特に注目したいのは「振る舞いのインターネット (IoB: Internet of Behaviors) 」です。顔認識機能や日々の行動データ、ヘルスケアなどのさまざまな情報を総合的に書け合わせて人間の振る舞いを予測(商品の購買など)して生かす、といった手法です。

またやはりセキュリティ機能の強化(サイバーセキュリティ・メッシュ)、これまで以上の自動化(ハイパーオートメーション)なども注目すべき部分でしょう。

 

 

2021年はこれまで以上にビジネス環境が変わる年

新型コロナウイルスという明らかに変化が起こった2020年。2021年はその環境がさらに変化をすることでしょう。経済分野には特に大きな変化が発生します。また東京五輪の開催もあります。世界的に日本の市場に注目が集まっているはずです。新規事業などに臨む方は、必ずあらかじめマクロ環境を観察しておきましょう。

 

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