【2020年版】PEST分析で予測する国内マクロ動向の変化

PEST分析は「政治」「経済」「社会」「技術」の、4つのマクロ外部環境を分析するためのフレームワークです。外部環境を把握することで、これから到来するビジネスの変化に対応ができます。すなわちチャンスを逃さず、ピンチをカバーできる可能性が高まるということです。

詳しくは以前に投稿したPEST分析についての解説記事をご覧ください。

今回は2020年のマクロ環境を観察するためにPEST分析をします。中国・武漢で新型コロナウイルス(COVID-19)が発生し、未曽有の大混乱が発生しているからこそ、2020年は特にマクロの外部環境を観察しながら経営を進めましょう。

 

2020年のPESTはとにかくコロナショックによる影響に注意

2019年11月、中国で発生してから世界的に大流行を巻き起こしている新型コロナウイルス(COVID-19)はPEST全体に大きな影響をもたらしました。はじめに新型コロナウイルスによるPESTの変化を見ていきましょう。

 

新型コロナウイルスによる政治動向

政治面では検疫法医療制度などの法律改正が急ピッチで完成しています。また休業を強いられた企業に向けての助成金や補助金、国民への10万円給付など、大きなインパクトを与えました。

 

新型コロナウイルスによる経済動向

経済面では飲食業やサービス業をはじめとする幅広い業種が一時的に休業に追い込まれるなど、コロナショックによる倒産は全国で150件にも及んでいます(参考:経営破たんが全国で150件)。また国内で10~20兆円、世界で940兆円ほどの経済損失が予想されています。

 

新型コロナウイルスによる社会動向

また社会面での影響が最も大きいでしょう。東京オリンピックが中止になり、ユニバーサルスタジオジャパンやディズニーランドをはじめ、各地の観光施設が休業になりました。「STAY HOME」という合い言葉がトレンドになり、ソーシャルディスタンスを取ってのコミュニケーションや、テイクアウトでの食事、リモートワークでの仕事など、対面を避ける「新しい行動様式」が広まっています。

 

新型コロナウイルスによる技術動向

最後に技術面での影響です。出社ができなくなり、半ば強引にリモートワークを導入した企業が増えました。その結果、技術開発に拍車がかかったのが遠隔ツールです。ZoomやGoogle meetなどのツールが流行し、LINEにも画面共有機能が搭載されるなど、テクノロジーが進化しました。

 

PEST分析で解説する2020年のマクロ環境の動向

では、新型コロナウイルスによる2020年のPESTの変化について述べたところで、その他の項目について解説していきましょう。

 

1. 政治Politics

2020年には、いくつかの法改正が施行されます。新法に備えた社内外に向けて措置をしなくてはいけません。2019年11月現在、決まっている法律の制定、改正などを労務・社会的なものを中心にご紹介します。

1. パワーハラスメント対策の義務化

社内でのパワハラ防止のために措置を取ることが義務化されます。中小企業に関しては3年以内の努力措置が必要です。女性の職場生活の向上が主な目的になります。

2. 女性活躍推進法の改正

女性活躍推進法の改正によって、女性活躍に関する情報を公表する義務がある企業規模が300人以上から100人以上に変更になります。

3. プラチナえるぼし(仮)の創設

女性活躍に関する取組が特に優良な事業主は「プラチナえるぼし(仮)」に認定され、特例制度を受けられるようになります。

4. セクシュアルハラスメントへの対策強化

労働者がセクハラを事業主に相談した場合、国や雇用主の責務を明確化するようになります。

5. 被保険者のオンライン確認の開始

社会保険や国民保険などの被保険資格者をオンラインで確認できるようになります。

6. 求人不受理が新卒のみから一般求人に拡大

月の労働時間が長いなどの問題を抱える企業について、ハローワークなどが求人申し込みを不受理にできる法律です。これからは一般求人にも拡大します。

7. 派遣労働者の同一労働・同一賃金の原則

派遣労働者と派遣先の社員との労働環境をまったく同じものにすることが法律によって義務化されます。

8. 改正資金決済法の施行

仮想通貨を「暗号資産」と名称変更し、安全に使えるような環境を整備するのが狙いです。これによって、暗号資産を国が保護し、正常に使えるように整備します。

 

2. 経済Economy

東京五輪にまつわる特需が予想されていましたが、2021年に延期になりました。先述した通り、新型コロナウイルスによって大規模な経済損失が予想されます。特にオンラインでのアクションを取れない小売業や飲食業、サービス業などの業界では、外出自粛が解かれたあとも倒産が相次ぐ可能性があると言われています。

また米中間の貿易摩擦が進行する可能性も考えられます。もともと摩擦がありましたが、このたび新型コロナウイルスを受けて、さらに米中間の関係が悪化しています。仕入れ費などの変動がある可能性も出ますので、関係する方は観察をしておきましょう。

 

3. 社会Society

さまざまなトレンドの変化が予測されていました。コロナウイルスを受けて、あらかじめ決まっていた予定が変更になったこともあるので、変化に注目しなくてはいけません。箇条書きで列挙しましょう。

1. 東京オリンピック開催2021年に延期予定(※2020年5月17日追記)

海外からの観光客が増加するだけでなく、各地でパブリックビューイングが開かれるでしょう。それぞれの土地でスポンサーが集まります。2021年に延期が決まりました。見込まれていた効果は得られませんが、企業としては開催に備えて準備をする時間を確保できるというメリットもあります。

2. アイドルグループ・嵐の解散

経済効果は3,000億円ともいわれます。

3. SUPER NINTENDO WORLD(※2020年5月17日追記)

ユニバーサルスタジオジャパンに「SUPER NINTENDO WORLD」がオープン。大阪にビジネスチャンスがありそうです。オープン予定でしたが現在、パーク自体がコロナショックを受けて閉演状態になっており、オープンが伸びる可能性が濃厚です。

4. キャッシュレス化の促進

国策によるブーストもかかり、電子決済が促進されます。現金を用いる人数が大幅に減少することが予測されています。

 

4. 技術Technology

テクノロジーの進化を予測するためにはガートナー社が発表する「ハイプサイクル」を観察することが最適です。2019年版のハイプサイクルは以下の通りになっています。

ハイプサイクル2019

(引用:https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20190830

なかでも5Gに注目でしょう。これによって、高速化だけでなく多接続と低遅延などのメリットが発生します。レベル5の自動走行が2~5年のうちに主流採用といわれている通り、自動運転や遠隔医療など、さまざまな分野で影響を与えるでしょう。

またガートナー社は2019年の11月に「2020年における戦略的テクノロジートレンドのトップ10」を発表しました。

01. ハイパーオートメーション
02. マルチエクスペリエンス
03. 民主化
04. ヒューマンオーグメンテーション(人間拡張)
05. 透明性/トレーサビリティー
06. エッジ機能の拡張
07. 分散型クラウド
08. 自律的なモノ
09. 実用的なブロックチェーン
10. AIのセキュリティ

以上が10項目です。産総研が発表した人間拡張ギアのように、人力×テクノロジーによる限界領域の突破(人間拡張)などが話題に上がっています。そのほかクラウドを通さずに通信が可能になるエッジ機能なども2020年には実用化に進むでしょう。

最新のテクノロジーを導入するうえで重要なのが「商材の透明性」です。フェイクニュースに代表されるように、機性性が高まるにつれて、消費者の懐疑的な視線も高まっており情報の可視化などが迫られます。

また同時にセキュリティの強化も重要になります。特にAIにおけるセキュリティを高める必要があり、シャドーITならぬシャドーAIなども危惧しましょう。

 

 

2020年のPEST分析を総括

ウィズコロナ、アフターコロナの変化に対応できるようにしておく

2020年のPESTはとにかく新型コロナウイルスによる影響を見ておかなくてはいけません。

政治面では新たな医療関係の法案成立、また助成金や給付金などの支援関係に注目です。経済は大きく落ち込むことが予想されます。改めて予算や価格設定を見直したり、社内の無駄を省いたりしましょう。

社会は何と言っても五輪の延期が大きなトレンドになりました。またいわゆる「新しい行動様式」や「リモートワークの拡大」などに注目することでビジネスチャンスを発見できます。最後にテクノロジー。業界問わず働き方が大きく変わるので、新たな技術開発をすることでBtoBビジネスを促進する商品を制作できます。

BtoCに関してもデジタルサービスを用いた食事やオンラインでの飲み会などは市民権を得ていくでしょう。

 

新型コロナウイルス以外の変化にも引き続き注目

政治面では働き方に関する法改正が多くありますので、性別を問わず誰もが同じ立場で満足に働ける職場整備が必要でしょう。

経済面では米中関係の悪化による経済状況の変化にも注目です。社会面はコロナショックにより動向が読みにくくなりますので、常にターゲットのトレンドを追いかけることが必須になります。

技術面では5Gなどの新世代テクノロジーの変化に注目しましょう。そのぶんセキュリティや信頼性の構築が迫られる1年になります。

PEST分析をすることによって、未来のマクロ環境の変化を予測できます。自然と利益が出る部分や損失の危険性も分かりますので、ぜひお試しください。

 

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