優秀なマネージャーほど「管理しない」。ハイレベルなチームをつくる方法

営業や運営、開発、制作、業務と部署問わず必要な役職である「マネージャー」

プロジェクトチーム全体を監督する役目を担っており、マネージャーがいなければ統率が取れません。
しかし、プレーヤーからいきなりマネージャーに抜擢された人にとって、すぐにマインドを変えるのは難しいことです。まったく違うスキルが求められるので、慣れるまでは苦心することもあるでしょう。周りにアドバイスを求めたり、書籍やネットでマネージャーのスキルを調べたりすると、出てくる言葉は「メンバーの責任をとる」「部下をフォローする」「スケジュールを管理する」などの当たり前のことばかり。「優秀なマネージャーの働き方」を知らない方も多くいらっしゃるでしょう。

今回は「チーム全体を成功に導けるマネージャー」として活躍するために必要なスキルについてご紹介します。またそのために必要な6種類のフレームワークについても掲載いたしますので、マネージャーとしてのスキルアップを考えている方は、ぜひご覧ください。

 

 

プロジェクトマネージャーには戦略的な思考が必須

チームを率いるマネージャーは「プロジェクト」という“小さな会社”を率いている存在です。当然、戦略的な思考法が要ります。これは以前お伝えした「営業マン」の記事でもご紹介しました。詳しくは下記の記事をご覧ください。

行き当たりばったりではなく、目的や目標、プランを明確に決めたうえでプロダクトやサービスを顧客に利用してもらえるようなストラテジーを練ることが必須でしょう。

 

 

マネージャーの悩みの代表格である「板ばさみ」

ではチームとしての目的、つまり「ゴール」はどこに設定すればいいのでしょう。当然、会社としてのゴールとリンクさせなければいけません。経営陣が定める会社の方向性をしっかりと認識し、チームに共有することがマネージャーには求められます。

これができないマネージャーはいわゆる「上層部と部下との板ばさみ」に悩むでしょう。会社全体で取り組んでいるゴールとプロセスを把握しなければ、チームメンバーにも意義を伝えられません。全体のモチベーションを下げてしまいます。不満が続出しするとともに、チーム全体の士気が低下して生産性も効率性も最悪の状況になってしまうのです。
すると経営陣からは「君のプロジェクトはどうなっているんだ」と責められます。マネージャーとしては改善しようと、チームメンバーに気を遣うようになる。でも経営陣の目も気になる。だんだんと自身が疲弊してしまうのです。

 

 

「経営陣」の考えを「チームメンバー」に伝える

真っ先にマネージャーに求められているのは「会社のビジネスモデルをしっかりと把握しておくこと」です。「他社にはない価値は何か」「顧客にどんな変化をもたらしているのか」などを認識しましょう。それがチーム全体の「目的」や「目標」「プラン」に大きく関係します。

その考えを「チームメンバーに正しく伝えること」が重要です。自分たちがつくったり、販売したりしている商材が、誰にどのような価値をもたらすのかを、改めて説明しましょう。働く意義を把握すると、メンバーにとって共通の指針ができます。充足感を得ながら働けるでしょう。

 

 

最終的には「管理しない」マネージャーを目指す

しかし「メンバーが働く意義を感じ、指示を出したらすぐに行動に移してくれること」は、決してマネージャーとしてのゴールではありません。マネージャーとしての理想は「チームメンバーを管理しないこと」です。

チームメンバーが自発的に最善の行動を取れる環境を構築しましょう。あらゆるフェーズにおいて指示を出し過ぎると、メンバーはだんだんとやりがいを感じなくなります。自発性がなくなり「やらされている感」が増すので、発言や行動に積極性がなくなる恐れもあります。いわゆる「指示待ち人間」が増えて、チームとしてのバックボーンが弱まるのは確かです。例えばマネージャーであるあなたが長期休暇を余儀なくされた場合、メンバーの生産性はガタっと落ちるでしょう。

自発的なチームをつくるために必要なのが「企業として、またチームとしてのビジネスモデルをより具体的に伝えること」です。目的に達するまでの詳細なプロセスを伝えることで、いま自分が何をやるべきかが明確になります。

 

 

優秀なマネージャーになるための6つのフレームワーク

ここまでの話を踏まえて、マネージャーが使いこなすべき6つのフレームワークをご紹介します。戦略的な思考を培う際や、会社全体のビジネスモデルを把握する際、共通言語としてチームメンバーにシェアする際、ビジネスモデルや事業の目的を具体化する際に役立ちます。

 

1. ジョブマップでニーズを再定義する

顧客が自身のニーズを満たすことを「ジョブ」と「ハイア」という2つの言葉で解説したのが「ジョブ理論」です。「ジョブマップ」は「ジョブ理論」を基礎として組まれたフレームワークになります。顧客のジョブを4つの種類に、またジョブを解決するまでの流れを8つのフェーズに分けることで、顧客に「ハイア」してもらえるような商材を定義しやすくできるのが魅力です。会社のサービスがなぜ顧客に用いられているのかを具体化できます。顧客の心情を可視化することでメンバーも動きやすくなるでしょう。

 

2. 共感マップで、より顧客の感情や行動をリサーチする

商材を利用してくれる「ペルソナ」を設定したうえで、6つの枠を使ってペルソナの感情や行動を可視化するのが「共感マップ」です。顧客の思考や行動を、よりリアルに可視化していくのです。マネージャーとしては経営陣とチームメンバーをペルソナにすることで、共感ポイントを探るのにも役立つでしょう。

 

3. ビジネスモデルキャンバスで、より詳細なモデルを構築

その名の通り、ビジネスモデルを俯瞰的に可視化するのがビジネスモデルキャンバスです。「顧客セグメント」や「提供する価値」「リソース」「コスト」などの項目で、自社のビジネスモデルを設定します。A4用紙1枚で完結できるので、俯瞰的にチーム全体で確認できるのがメリットです。自社のビジネスモデルを記すことで共通言語を設定するのにも役立ちます。

 

4. 移り変わる外部環境に対応するための事業環境マップ

自社のビジネスの現在と、今後を予測するツールが「事業環境マップ」です。「市場」「産業」「トレンド」「マクロ経済」の変化を予測することで、今後、チームで目指すべき方向性をフィックスできます。何か変化が起こっても、自分たちで考えて行動できる自発的な思考が磨かれるでしょう。

 

5. MVPキャンバスで、コストを下げて効率よく質を高める

MVPは「最小限の機能を搭載したプロダクト」という意味です。いわゆるβ版やプロトタイプを指します。方向性が決まっても、いざ実践すると失敗する可能性もある。だからこそ、まずできるだけコストを抑えたバージョンで、市場のリアクションを得るのが得策です。仮説と検証を進めるツールになります。
例えば営業部を任されているマネージャーであれば、顧客へのアプローチ方法が決まったときに活用できます。制作や開発チームであれば新しいサービスやプロダクトをリリースする際に使うでしょう。マーケットや顧客のリアクションを踏まえてブラッシュアップしましょう。

 

6. 逆損益計算書(リバース財務ツリー)で、信憑性があるマネタイズを

マネージャーにとってコストやマネタイズの計算も必要不可欠です。そこで「逆損益計算書(リバース財務ツリー)をおすすめします。一般的なフローだと、データをもとに「単価×個数」を考えたうえで、コストを加えて、最終的な利益を計算します。しかし、ロジカルな数字ではないので、いざサービスがスタートすると予想に反して損をしてしまう可能性があるのです。逆算思考を踏まえた「逆損益計算書(リバース財務ツリー)」ならば、妥当な売り上げとコストを論理的に計算できます。

 

 

「指示待ち人間」がいない、ハイレベルなチームを

「Manager」を直訳すると「管理者」となります。言葉の意味からチームメンバーを管理するのが仕事だと思われていますが、実は違うのです。優秀なマネージャーほど、メンバーが自発性に行動できる環境を整えています。

「指示待ち人間」がいないプロジェクトチームを築くためには、会社全体の方向性を踏まえたうえでプロジェクトの目的や、達成するまでのプロセス共通言語としてシェアしなくてはいけません。

そのために今回は6つのフレームワークをご紹介しました。BizMakeではこれらのフレームワークを誰でも簡単に利用できますので、ぜひお気軽に使ってみてください。

 

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