
アフターコロナではデジタルトランスフォーメーション(DX)が流行、どの業界にチャンスがある?
前回の記事ではデジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションの違いについてご紹介しました。今回の記事ではいよいよデジタルトランスフォーメーションを巻き起こしている業界と、そのツールについてご紹介します。今回のコロナ禍によってデジタルトランスフォーメーションが加速するともいわれておりますので、今後のビジネスモデルデザインについて興味のある方は、ぜひご覧ください。
目次
デジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションの違い
あらためて、簡単にデジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションの違いについてご紹介しておきましょう。デジタライゼーションとは企業の普段の業務にデジタルツールを取り入れることで、生産性や効率性を高めることを指します。一般的にこの動きがデジタルトランスフォーメーションと思われがちですが、本来のDXはその先にあるものです。
デジタライゼーションにより最終的には顧客や消費者の生活までを変えるインパクトを持つものをデジタルトランスフォーメーションと言います。詳しくは前回お伝えした記事をご覧ください。
デジタルトランスフォーメーションがコロナで促進する理由
今回のコロナ禍で、デジタルトランスフォーメーションが話題に上っています。アフターコロナには、ビジネスモデルデザインのトレンドとしてデジタルトランスフォーメーションが話題になりますし、各企業が製品を開発・提供するともいわれています。ではその理由を2つに分けて、考えていきましょう。
1. テレワークが一般化するから
テレワークはコロナショック下においてトレンドワードといっていいでしょう。出勤せずとも働けることに多くの企業が気付いたきっかけになりました。しかしアナログツールだけではなかなか、普段通りの業務を進められません。クラウドツールを用いなければデータはすべて会社にあるので確認できませんし、電話やメールだけではスピード感を持って報連相ができません。デジタルトランスフォーメーションが実現できているからこそ、テレワークができるようになるのです。顧客や消費者の生活スタイルが変化しています。
2. オフラインからオンラインに購入の場が切り替わるから
今回のコロナ禍で最も痛手を被ったのは飲食業やサービス業、美容業でしょう。つまり顧客が実際にリアルで店舗に赴きサービスを購入する必要がある業界です。そしてこれらの業界が生き残るためにはオンラインに購入の場を設けて、顧客に届ける必要があります。飲食店はオンラインサービスを用いてテイクアウトを進めなければいけません。美容業界などは施術から美容用品の販売などに切り替える必要があります。今後はよりリアル店舗がデジタルトランスフォーメーションを進めることになるでしょう。こちらも消費者の購買の場が変わっていることになります。
コロナ禍で注目! デジタルトランスフォーメーションを加速させるプロダクト
では実際にデジタルトランスフォーメーションによって、企業とその先の顧客の生活に変化を及ぼしている企業についてご紹介します。顧客の生活までが変化していることに注目すると非常に分かりやすいでしょう。
UBER
タクシーと並ぶ移動の選択肢として新たな手段を顧客にもたらしました。またコロナ禍でも注目を浴びたようにUBER eatsも同様に生活のスタイルを変えました。飲食店としては新たな提供手段が生まれましたし、消費者は在宅で食事を摂れるようになりました。また配達員は自転車1つで働けるようになったのもデジタルトランスフォーメーションでしょう。
PayPay
他にもバーコード決済アプリはいくつもありますが、後発ながら一気にシェアを伸ばしたPayPayはやはり特筆すべき存在でしょう。店側にデジタルツールを導入することで会計のスピードが高まりましたし、釣銭などのミスもなくなりました。また消費者は財布を持ち歩かなくても支払いができるようになったのです。
Zoom
オンライン会議ツールとして利用されていたZoomはコロナ禍によって消費者全体が使うプロダクトに成長しました。流行している「オンライン飲み」は今後も変わらずに活用されるでしょう。また企業の社員がリモートワークをするうえでも、必要なプロダクトであり、多くの人の生活に溶け混んでいます。
オンライン診療
コロナ禍では病院に行くのも嫌悪感を覚えていました。来院時に疾患がうつってしまうのでは?と不安な方もいたでしょう。そこで注目されているのがオンライン診療です。そもそも高熱時には辛くて通院できない方もいたでしょう。オンライン診療はコロナが去った後も需要があるに違いなく、日本の法律が改正されると一気に広まっていくことが予想されています。
デジタルトランスフォーメーションの先にある「アフターデジタル」の世界
(出所:尾原和啓著「アフターデジタル」を参考に作成)
このようにアナログからデジタルにシフトすると、だんだんとオフラインとオンラインの区切りが薄くなっていきます。オフラインとオンラインが明確に分かれているわけではなく、デジタル世界のなかにリアルな体験が含まれるイメージです。
例えばオンライン決済導入率50%以上の中国では、既に現金で支払いをすることが少なくなっています。また私たちは食材や日用品などもオンライン上で買うでしょう。リアルな生活のなかにデジタルが入り込んでいる状態です。
これまでは、こうしたリアルとWebの違いを明確に分けることで企業のマーケティング活動に生かしていました。アパレル業界ではECサイトに購入ページは作るものの、リアル店舗での購買をメインにしており、オンライン購買はあくまでな副産物として捉えていたのが事実です。
しかし今後はその線引きがだんだんと曖昧になり、リアルな生活のなかにオンラインでの活動が含まれていくとされています。これをGoogle Chinaの元CEO季開復は「OMO(online merged offline)」と表現しました。
Webとリアルが複合されている世界で販売をするためにはオンラインとオフラインを明確に分けることをせず、両方のデータを統合して考える必要があります。
例えば中国のZhima銀行(芝麻銀行)では、顧客の信用をオンラインとオフラインの両方のデータを用いてスコアリングしています。
オフライン
①学歴や職業などのデータ
②不動産などの資産情報のデータ
オンライン
①アリペイなどのネット決済の履歴データ
②SNS上でどれだけスコアの高い人とつながっているかのデータ
このようにだんだんとオンライン・オフラインの線引きは曖昧になります。両方のデータを同じ土俵に置くことで、「OMO」の世界を生きられるようになるのです。OMOはデジタルトランスフォーメーションの先にある概念だともいえます。アナログな世界にデジタルが入り込んできて人の生活スタイルは変わっていく。リアルな生活のなかでスマートフォンやPC、タブレットなどで私たちは活動をするようになるのです。
エンドユーザーの変化を考えることでデジタルトランスフォーメーションは達成される
コロナによって今後もデジタルトランスフォーメーションが進んでいくといわれています。単に企業の業務効率化までを視野に入れてしまうとデジタライゼーション止まりになってしまいます。デジタルトランスフォーメーションを達成するために必要なのは、顧客の顧客です。最終的なエンドユーザーの生活に変化をもたらすことを目指しましょう。
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