カスタマージャーニーは「購買」がゴールではない!「購買後」の描き方を解説

カスタマージャーニーとは顧客行動モデルを軸に自社のタッチポイントや行動を定義するフレームワークです。あらかじめ「顧客は誰なのか」を定義したうえで「顧客がどうやって自社のサービスやプロダクトの存在を知るのか」「どうやって興味・関心を抱くのか」「どのように競合や代替品と比較するのか」「購買を決断するのは何が動機なのか」を把握したうえで、集客から教育・啓蒙、コンバージョンまでを定義していきます。

カスタマージャーニーのモデルは企業によってさまざまですが「購買」で終わってしまっているものも多くあるはずです。しかし現代のビジネスにおいて「購買」はあくまで通過点であり、ゴールではありません。今回はゴールはどこに設定すべきなのか、そもそもゴールは存在するのか、購買後のカスタマージャーニーマップはどのように描くべきなのかついてご紹介します。

 

 

数十年前は大企業が中小企業を圧倒していた

はじめに「購買」をゴールにしてはいけない理由について解説するために、これまでのマーケティングの変遷について触れましょう。

数十年前からビジネスの舞台は大きな変化を繰り返してきました。数十年前であれば、市場において大企業が圧倒的なパイを持っており、中小企業は大企業を凌駕できるような術がなかったのが実情です。その背景には「リソースのある企業が勝てる状況」がありました。

 

 

なぜ大企業(リソースが潤沢)だけが顧客を総取りできたのか

ではなぜ数十年前は大企業だけが顧客を総取りできたのでしょうか。その背景はさまざまあります。大きく分けると「テクノロジーの独占」「集客手法がマス向けに画一化」「顧客の選択の余地がない」という3点が挙がるでしょう。この3点は決して独立したポイントではありません。サイクル化して大企業を大きくしてきた要因です。

 

テクノロジーの独占

まだテクノロジーが発達しきってないころは大企業のみが新たな技術開発に投資できる状態がありました。今のように調べれば何でも情報が回ってくる時代ではありません。また秘密主義の文化も大きく、開発者が簡単に自分のスキルを開放することもしていませんでした。そんななか技術投資ができるのは潤沢な資金を持つ大企業のみだったのです。つまり中小企業が独自の開発を進められる状況ではありませんでした。

 

集客手法がマス向けに画一化

集客手法といえば現在であればcookieを取得したうえでのWeb広告やSEO・SNSなどのWeb集客が主になっています。しかし当時はもちろんWebでのアプローチはできません。テレビやラジオ、新聞、看板、看板などのディスプレイといったオフラインかつマスに向けた広告が主です。ターゲットを絞ったものは展示会など限定的なものしかありませんでした。マス向けの広告はもちろん、お金がかかってしまいます。そのうえナレッジが必要になるのも確かです。中小企業は満足のいく認知活動すらできませんでした。

 

顧客の選択の余地がない

上記のようなビジネス活動のなかで、顧客は購買の際に選択をすることすらできませんでした。新しい技術を生かした製品や、名前を知っている企業の商品ばかりを買うようになります、その結果、大企業が力をつけていき、さらに中小企業との格差が開いてしまう、といったサイクルが発生していたのです。

 

 

「フロー収益」から「ストック収益」に変化しているマーケティング手法

しかし皆さんご存知の通り、ここ十数年でビジネスは圧倒的に変化しました。GAFAをはじめとする世界的な企業がイノベーションを起こし、テクノロジーが民主化されて、ターゲット広告を打ってデータを取得しながらマーケティングをするようになりました。顧客は自分のニーズに合わせてさまざまな製品から好きなものを選べるようになったのです。またベンチャー企業やスタートアップ企業が次々に誕生し、ときには大企業を脅かす存在になりました。

画一的だった市場はVUCAといわれるほど混乱し「顧客のニーズを満たす商材」が求められるようになりました。今や大企業といえども油断はできなくなっています。それまでは安定した成長ができていたのが、いつの間にか売り上げが止まってしまっている、といった状況にもなってしまいました。

 

 

フロー型の問題点と限界に気づく

当時のファイナンスは基本的にフロー型でした。売り切り型ともいわれる手法で、1つの商材を1回で売り切るものです。消費財の小売りのモデルを見ると分かりやすいでしょう。例えば家具を買う場合、顧客は購買時にすべての価格を払います。フロー型の販売方法は長く用いられてきました。しかし顧客がさまざなな企業の商材を選べるようになるにしたがって、この売り方の問題が明らかになってきたのです。

 

顧客への価値を満足に提供できない

どの商材にしても、フロー型の場合、顧客は一度購入してしまうと、そのアイテムを使い続けることになります。購入したあとに問題点に気づいても、しぶしぶ使わなければいけません。それが安価なものであるならば、トラブルを把握したうえで買い直せますが、高価なものである場合は買い直すことも難しくなります。また消費財の場合は長く使い続けた場合に劣化をしてしまいます。状況が変わって使えなくなるかもしれません。その際に返品や交換ができず、満足な価値を提供できなくなるのです。

 

自社の成長曲線が安定しない

フロー型の場合は毎月、ゼロからのスタートになりますので、きっちりと販売して目標を達成しなければ、成長曲線を描けません。また市場にいる顧客のパイは限られていますし、競合が次々に現れてパイを奪っていきます。ゼロからのスタートでは継続的な成長が難しくなってしまうのです。

 

 

フロー型からストック型への転換

その結果、数年前からストック型への転換が一気に進みました。サブスクリプションモデルが流行したのもそのためです。ストック型に変更することによって、顧客は初期投資が少なく済みますし、要らなくなったらいつでも解約できます。企業としてははじめのほうこそ収益に苦しみますが、一度売ってしまえば、継続的な収益が入ってくるようになります。

先述した通り「顧客への価値をいかに提供するか」を目指すのが現代のビジネスです。SNSなども発達し、サービスやプロダクトの評価がすぐに市場全体に拡散されるようになりました。そんななかでストック収益型のモデルによって以下に顧客を獲得し、ファンを増やしていくかが重要になってきたのです。

 

ストック型モデルでの成功は「購買後」によって決まる

ただしストック型のモデルにはもちろん問題点もあります。それは早いうちに解約をされてしまうと、売り切り型よりも少ない売り上げになってしまう点です。例えば1点3万円の家具を、月額1,000円のストック型で売る場合、回収するために30カ月が必要になります。フロー型であれば売れた瞬間にペイできますが、ストック型の場合は、その前に解約をされると損失になってしまいます。

だからこそ購買後が重要なのです。「いかに解約率を下げるか」「いかにロイヤルカスタマーを増やすか」がカギになります。

 

カスタマージャーニーも購買後が本番だと意識する

当然、現在いまだにフロー型ビジネスだけで勝負をしている企業はストック型への転換を視野に入れなければいけません。ストック型のビジネスをしている企業は、購買後の顧客行動について仮説を立ててマーケティングをしなければいけません。解約率(チャーンレート)をいかに下げればいいのかを達成するために「購買後の顧客はどんな行動をするのか」「何に困っているのか」「何をされたら嬉しいのか」を考える必要があるのです。

 

 

購買後に活躍するポジションもここ数年で急増

ここ数年で、カスタマーサクセスやチャットボットを含むカスタマーサポートなどの役職も重要になり始めています。LTV(ライフタイムバリュー)という指標が以前よりも重要になりました。顧客の人生全体を見た際に、どれだけ投資をしてくれるのか、という長期的な視野でビジネスを見ることが重要になっているのです。

購買後にも顧客とのタッチポイントを見出して、継続的に関係を保ちましょう。特にサブスクリプションやSaaSといわれるサービス・プロダクトの形態をとっている企業は力を注がなくてはいけません。

 

 

購買後のカスタマージャーニーマップの描き方・Salesforceの場合

では実際に購買後のカスタマージャーニーについてどのように描くべきなのでしょうか。今回は以前もご紹介したSFAツールのSalesforceを例に紹介しましょう。Salesforceはカスタマーサクセスに力を入れている企業として非常に有名です。

購買後のカスタマージャーニーについても、購買までと同様の1枚の画と一緒に描きましょう。購買後にどんな悩みがあるのかについて描き、登場人物と施策を並べます。Salesforceの場合は比較的難易度が高いツールですので、購買後に使い方に悩んでしまうことが予想されます。そのため、カスタマーサクセスを含む担当者チームが窓口になって、導入企業からの質問に答えているのです。またフォーラムや定期的な活用方法のウェビナーを開催することで、顧客が実用的な使い方ができるように支援しています。

ユーザー同士の交流にも積極的であり、コミュニティの形成を通して、ロイヤルカスタマーを増やしているのも特徴的です。まずは難なく使えるような状況を構築すること、またSalesforce導入企業同士のコミュニティを形成することを目指しているのがよくわかります。

 

 

新規顧客より既存顧客が大事な時代に

今回は「現代のビジネスで購買後のカスタマージャーニーが重要な理由」について紹介してきました。フロー型の際には新規顧客の獲得数が最も重要なKPIになることでしょう。しかしストック型の場合は既存顧客の解約率が最も重要になります。究極的にいうとゴールはありません常に顧客の声を収集して価値を与えながら、製品をブラッシュアップし続ける必要があります。

そのためにカスタマーサクセスやカスタマーサポート、グロースハッカーなど必要な役職を設置し、きちんと既存顧客とコミュニケーションを取りましょう。カスタマージャーニーマップも同様に購買後の行動に関しても観察をして施策を打つことが重要です。

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